新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第98話

「さあて、抜き足、差し足、忍び足と…。」 ヒカリの惚気話が終わった後も、アタシ達はおしゃべりを楽しんだのだけれど、夜中の2 時を回る頃にはヒカリもユキもうつらうつらしだしたのよ。それでお開きにして眠ること にしたの。 でも、アタシはしばらく寝たフリをしていたんだけど、ヒカリやユキが眠りに付いている のを確認すると、部屋を抜け出していったわ。そう、向かうのは、ミサトの部屋よ。 *** 「で、どうだった?」 アタシがミサトに問いかけると、ミサトはにっこり笑ったわ。そうそう、今、この部屋に はアタシとミサトの二人しかいないの。 「アスカの予想した通りね。アメリカ、ロシアを始め、ヨーロッパやアジアの組織が大挙 して乗り込んで来たわ。」 そう、やっぱり思った通りね。アタシ達エヴァのパイロットが鉄壁の守りを誇る第3新東 京市から出たもんだから、ここぞとばかりに行動を起こしたって訳ね。 「そう…。それで、敵対的な行動をとった組織はどれ位あるの?」 「え〜と、アスカを誘拐のターゲットにした組織が30くらいかしら。シンちゃんをター ゲットにした組織は無し。パイロットの命を狙おうとした組織は無し。単なる様子見の組 織が200くらいかしらね。」 「ふうん、まあそんなもんかしらね。」 アタシはそう言ったけど、思った以上に敵対的な組織が多かったのに驚いたわ。まあ、ア タシは誘拐されるようなヘマはやらないけどね。 でも、シンジを狙った組織は無しか。最初の戦果があれじゃあ、無理もないわね。それに、 シンジは一応司令の一人息子だし、シンジに手を出したらネルフを完全に敵に回すことに なることくらい、誰にでも分かるものね。 「それでっと、実際に行動を起こそうとしたメンバーは全員確保してあるわ。日本内での 拠点も、全て警察を使って捜索したわ。これで、当分の間、パイロットにちょっかいを出 せるような組織は無くなるわよ、きっと。」 「サンキュー、ミサト。相変わらず見事な手並みね。助かるわ。」 ミサトはズボラに見えて、その実ズボラなんだけど、ここぞと言う時にはきっちり仕事を するのよねえ。普段の様子からは考えられないんだけど。 「何言ってるのよ。せめてパイロットには、使徒との戦いに集中してほしいからじゃない。 当然のことよ。」 「それでも、ありがと。これからもよろしくね。」 「まあ、任せておいて。」 ミサトは胸を張ったけど、アタシはチョッピリ釘を刺すことにしたの。そう、あのにっく きバカ男ズの件よ。 「でもさ、変な奴らがシンジを殴ったわよね。あいつら、背後関係はなかったの?」 アタシがそう言ったら、ミサトの顔が少しだけ引きつったわ。やっぱり、あの件は気にし ていたのね。 「ああ、あれね。本当に偶然だったようね。身元は洗ったから、間違いないわ。」 「でもねえ、偶然でもあんなことがあったら困るわよねえ。」 「悪いわね。不審人物の接近には、今まで以上に気をつけるわ。」 ミサトは手を合わせて、ゴミンと言って頭を下げたわ。 「まあ、シンジに大した怪我が無かったからいいけど、シンジに何かあったら使徒との戦 いに大きな支障が出るわよ。」 「そうよねえ。怒り狂ったシンちゃんのフィアンセに、作戦部長がボコボコにされるかも しれないしね。そうならないようにしないとね。」 むっ、ミサト。何て事言うのよ、頭きちゃうわ。でも、アタシはシンジにべた惚れってい うことになっているから、反論出来ないわ。ちっ。 「バカ男ズみたいになりたくなかったら、頑張りなさいよ。」 「あはははっ、分かってるって。」 「でも、あいつら、結局どうなった?」 「ああ、3人とも近くの病院に運んだわ。全治3カ月から半年位のようね。」 「そう、まだ生きてるんだ。いつ殺すの?」 「ちょ、ちょっと、アスカ。何を言うのよ。そんなこと、出来る訳ないでしょ。」 「冗談よ。でも、簡単に許す訳にはいかないわ。もし、奴らの受ける処罰が軽かったら、 アタシが直々に殺しに行くわ。それは覚えておいて。」 「ううっ。アスカ、怖いことを言わないでよね。分かったわ。最低1年は社会復帰出来な いようにするから、それでいいかしら。」 「駄目よ。アタシが普通の女の子だったら、アタシは酷い目に遭っていたわ。下手すると、 絶望して自殺したかもしれないわ。あんな危ない奴ら、野放しには出来ないわよ。」 「わ、分かったわよ。じゃあ、3年でどう?」 「まだ短いわね。それじゃあ、アタシが安心して戦えないわ。」 「じゃあ、5年は?」 「まあ、それくらいならいいか。」 「分かったわ。手配しておく。あっ、そうそう。そう言えば、変な組織があったわよ。」 「えっ、変って?」 「なんかねえ、日本の暴力団組織が含まれていたのよ。」 あら、ミサトがニヤニヤ笑っているわ。あちゃあっ。こりゃあ、バレてるかな。 「ふうん。それで、その組織はどうなるの。」 でもね、アタシはすっとぼけて聞いたの。 「日本の組織だから、徹底的に潰すことにしたわ。中途半端は良くないしね。構成員は、 少なくても5年は刑務所の中よ。微罪をかき集めれば、それ位は大丈夫みたい。」 おそらく、その組織はユキのお父さんの借金取りをしていた組織よ。加持さんに頼んで、 奴らがアタシを襲うように仕向けたの。日本国内の組織だったら、ネルフの力で壊滅させ ることも可能でしょ。 でも、ミサトにはお見通しだったみたい。アタシが頼む前に潰してくれるなんて、それ以 外には考えられないわ。ミサトって、意外に頼りになるのね。 「そう、ありがとね。」 アタシは、ミサトに心からお礼を言ったわ。これで、ユキのお父さんは当分安泰ね。ユキ に被害が及ぶこともないわ。もちろん、シンジに悪影響が及ぶこともないわ。 アタシは、肩の荷が少し下りたような、そんな気がしたわ。 つづく(第99話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカの奇計で、ユキのお父さんの借金取りをしていた暴力団組織は壊滅するようです。 これで、ユキは安泰ですね。それに、チルドレンを狙う組織も一網打尽。ミサトも、やる 時はやるようです。 2004.1.3  written by red-x



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