新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第76話

「ねえ、シンジ。どうしたの。」 ボートから降りた後、シンジはずっと黙っていたままだったわ。だから、アタシは心配し て聞いてみたの。そしたらね。 「ううん、どうもしないよ。」 なんて言うのよ。そんなこと言われても、どうかしているようにしか見えないのよ。まっ たく、直ぐにばれる嘘はつかないで欲しいわよね。 「ねえ、シンジ。さっきのこと気にしているの?」 「ううん、そんなことはないけど。」 「じゃあ、元気出しなさいよね。」 「う、うん。」 「もうっ、さっき約束したばかりじゃない。今日はアタシの言うことを何でも聞くこと。 アタシが楽しめるように努力すること。全然守ってないじゃない。」 「ごめん…。」 「しょうがないわねえ。ちょっと、あっちに行きましょうよ。」 アタシは、少し離れた岩場を指したわ。そして、シンジを引っ張って行ったの。 「さあて、ここならいいわよね。」 アタシは、辺りを見渡したの。そこは、上手く死角になっていて、周りからは良く見えな いようになっていたのよ。 「えっ、どういうこと。」 「こういうことよ。」 アタシは、シンジに抱きついてキスをしたの。そして、心の中で言ったわ。 (『エナジー・チャージ』) そう、これは大気中のエネルギーを一旦体に集めて、それを口移しで相手の体内に直接注 入する超能力なの。これは、かなり威力があるのよ。疲れた体に、元気をみなぎらせるこ とが出来るんだけど、精神的な疲れにも威力があるのよ。 「ア、アスカ。どうしちゃったの。」 唇が離れたら、シンジは少し驚いた顔をして聞いてきたわ。だから、アタシは言ってあげ たの。 「シンジの元気がないからよ。だから、元気になってもらおうと思って。」 「そ、そうなの。ありがとう…。」 ふむふむ、ちゃんと返事をしているわ。これなら大丈夫そうね。ちゃんと効果が出ている わ。でもね、これだけじゃあ心配だから、もう少し超能力を使おうっと。そうね、次のは バイブレーションハンズね。 「シンジ、頭に手を置いて。」 「こう?」 「そうよ。そのままにしてね。」 「アタシはそう言って、シンジの脇の下に手を当てたの。」 (『バイブレーションハンズ』) アタシが念じたら、すぐにシンジは笑い出したのよ。 「ア、アスカ、やめてよ、くすぐったいよ。」 「駄目よ、我慢しなさいよ。」 「あははっ、駄目だよ、我慢出来ないよ。」 そう言いながら、シンジは頭から手を放そうとしたのよ。 「待って!アタシの言うことを何でも聞いてくれるって約束したでしょ。頭から手を放さ ないで。」 「あはははっ、そんなこと言ったって、あはははっ、くすぐったいよ。」 「あと5分我慢したら、一緒にお風呂に入ってあげるわ。それでも嫌?」 「あはははっ、えっ、一緒に?あはははっ、それって冗談なの?」 「ううん、本当よ。それだけじゃあないわ。胸も揉み放題よ。」 「えっ、あはははっ、揉み放題!じゃ、あはははっ、じゃあ、頑張るよ。」 あら、シンジの顔色が変わったわ。何で男ってこんなにスケベなのよ。簡単に元気が出る のはいいけどさあ。 「本当よ。それに加えて、10分我慢したら、もっといいことがあるわよ。」 アタシは、シンジの耳元でこしょこしょささやいたの。そうしたらね。 「あはははっ、う、うんっ!あはははっ、頑張るよっ!」 シンジったら、俄然元気になっちゃって。そうして、結局20分も頑張ったのよ。そう、 大笑いしながらね。 「はあっ、苦しかったあっ!」 さんざん笑ったシンジは、さっきまでに深刻な顔はどこへやら。すっかり吹っ切れたよう な顔になっていたわ。 「どう、思いっきり笑うのって気持ち良いでしょ?」 「う、うん。」 「嫌な考えなんか、吹き飛んだでしょ?」 「う、うん。そうだね、何かすっきりしたような気がする。」 そりゃあ、そうよね。アタシの超能力のおかげよね。さあて、ここでだめ押ししておかな いとね。 「シンジ、ちょっと目を瞑って。」 「えっ、こうかい。」 シンジが目を閉じている間に、アタシは水着のブラをとったの。 「いいわよ、見ても。」 「うん。えっ、ア、アスカ、どうしたの?」 シンジは真っ赤になっちゃったわ。 「アタシの言うことを聞いてくれたご褒美よ。それに、これもよ。」 アタシは、シンジに抱きついたの。 「ア、アスカ…。」 「ふふっ、シンジの心臓の音が聞こえる。」 「そ、そりゃあ、生きてるもの。」 「生きているって、素晴らしいでしょ。そうは思わない?」 「そ、そうだね。」 「だったら、もうあんなことはしないで。」 「そうだね、ごめん、アスカ。」 シンジはそう言って、アタシを強く抱きしめたの。そして、アタシの背中には、何かが流 れ落ちたわ。きっと、なめるとしょっぱいものね。 「アタシ、本当に心配したんだからね。」 (『ラブリー・ティアー』) 心の中で言うと同時に、アタシはシンジの体から少し離れたの。今度の超能力は、愛らし い涙を流して、人の心を動揺させるのよ。 「ア、アスカ。泣いてるの?僕のために?」 そう言うシンジも泣いていたけどね。 「そうよ、シンジが心配させるからじゃない。シンジのバカ…。」 「ごめん、ごめんね、アスカ。僕は、何てバカなんだろう。」 「そうよ、このアタシを泣かすなんて、大バカよ…。」 「ごめん…。でも、どうしたらいいのか分からないんだ…。」 「そんなことは簡単よ。『愛してるよ、アスカ。もう二度と離さないよ。』って言って、 強く抱きしめてくれればいいのよ。」 アタシはその瞬間、にっこりと笑ったの。 (『エンジェル・フェイス』) 今度は、神の力を借りて、我が身に天使を降臨させたの。そして、その天使の力を極限ま で引き出して、顔に笑みを浮かべたのよ。天使の力だけあって、その笑みは、どんな男の 心も奪うことが出来るのよ。 「ア、アスカ。僕は、僕は、アスカを愛してる。心の底から愛してる。決してアスカから 離れない、そう誓うよ。」 シンジは、そう言いながらアタシを強く抱きしめたの。ようし、とどめはこれしかないわ ね。アタシは、シンジの顔を掴んで強引にキスをしたの。 (『エンジェル・キッス』) この超能力はね、神の力を借りて、我が身に天使を降臨させるの。そして、その天使の力 を極限まで引き出して、その強大で特殊なエネルギーを口移しで相手の体内に直接注入す るのよ。その特殊なエネルギーによって、どんな男の心も自由に操ることが出来るのよ。 『エンジェル・フェイス』と一緒に使うと、相乗効果で物凄い威力を発揮するのよ。 もうこれで、シンジはアタシにメロメロになるはずよっ! そうして、アタシ達はしばらくの間、抱き合ってキスしていたの。 つづく(第77話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカの超能力の連続技、5連発です。これでシンジもすっかりとアスカの虜になって しまうでしょう。でも、アスカもまんざらではない感じです。 2003.6.26  written by red-x  



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