新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第69話

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ! 不潔よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!」 うわっ。ヒカリったら、物凄い反応ね。こりゃあ、参ったわね。 「ちょっと、ヒカリ。落ち着いてよ。」 「ほ、洞木さん。落ち着いて下さい。」 アタシとユキの二人がかりでヒカリを落ち着かせようとしたんだけど、うまくいかないの よ。 「い、いやらしいわっ!不潔よっ!」 ヒカリは、アタシのことを汚いものでも見るような目で見ているわ。う〜ん、ヒカリがこ れほどとは思わなかったわ。しょうがない、超能力を使うしかなさそうね。 最初は、マインドコントロールを使ったのよ。でも、全然駄目だったわ。ヒカリったら、 興奮していたから、アタシの超能力を受け付けなかったのよ。そうなると、次はバイブレ ーションハンズを使う番ね。 えっ、バイブレーションハンズが何かって?それは、両手を振動させて特殊な電波を発生 させるの。そうして相手の体にくっつけると、相手の神経に特殊な効果を及ぼして、顔に 笑みが浮かぶっていう訳なのよ。 アタシは、ヒカリの脇の下に手を差し入れて、超能力を使ったの。そうしたら、効果はて きめんだったわ。 「キャーッ!くっ、くすぐったいわよ、アスカ。やっ、やめてよっ!」 ヒカリの顔に、笑顔が浮かんだわ。えっ、超能力の効果じゃないんじゃないかって。そん なことないわよ、変なこと言わないでよね。ようし、次の手よ。 「あっ、鈴原君よっ!」 アタシが叫ぶと、ヒカリはくるりと後ろを向いたの。 「今よっ!」 アタシは、ユキに目配せをしてヒカリの口を塞いだの。ユキは、ヒカリの両手を抑える役 よ。 「ねえ、ヒカリ。ここはホテルなのよ。大きな声を出さないでよ、みっともないでしょ。」 アタシがヒカリの耳元でささやくと、ヒカリも少し落ち着いてきたみたい。 「ねえ、ヒカリ。おとなしくする?そうすれば手を離すけど。」 アタシが問いかけると、ヒカリは頷いたの。だから、アタシはもう大丈夫だと思ったんだ けど、念のためにこう言ったわ。 「人の冗談を、真に受けないでよね。」 そう言いながら手を離したの。 「えっ、アスカ。さっきのは冗談だったの?」 「もちろんそうよ。信じちゃった。」 「なあんだ。びっくりしたわ。驚かせないでよね。」 ヒカリはそう言って、肩をすくめたの。何を言ってるのよ、ヒカリ。驚いたのはアタシの 方だってーの。まあ、不用意なことを言ったアタシも悪いんでしょうけどさ。ヒカリの反 応は凄いわよね、絶対。まあ、これからは気をつけないとね。 「それよりも、早く部屋に入りましょうよ。みんなが見ていますよ。」 いつのまにか、ユキが鍵を片手に立っていたの。 「そうね、そうしましょう。」 「え、ええ。」 こうして、アタシ達は逃げる様にその場を離れたわ。 *** 「うわあ、見てくださいよ、惣流さん。良い景色ですよ。」 部屋に着いたら、ユキが窓際に陣取ってはしゃぎだしたわ。 「どおれ?」 アタシはユキの側に寄って行ったの。そうしたら、空が蒼く澄み渡っているうえに、青い 海が広がっていて、物凄く良い景色だったのよ。 「ねえ、ヒカリも見てみなさいよ。」 「どうしたの、アスカ。あっ、とても良い景色ねえ。」 「来て良かったですね。」 「そうね。でも、今日はこれからよ。早速準備するのよっ!」 アタシはそう宣言して、水着に着替えたの。そうしたら、ヒカリとユキが寄って来たわ。 「うわあ、惣流さんて、やっぱり水着になると目立ちますねえ。」 「そうよね、プロポーションも良いし、肌も白いし。なんだか、水着になるのは気が引け ちゃうわ。」 「何言ってるのよ。そんなこと言ってちゃ、鈴原君をモノに出来ないわよ。」 「なっ、何を言うのよアスカ。」 「だって、ヒカリは鈴原君と仲良くなりたいんでしょ。」 「そ、そりゃあ、そう思うわよ。」 あら、今日はやけに素直ね。 「だったら、さっさと水着に着替えなさいよ。そうしないと、鈴原君の気を引けなくなる わよ。それでもいいの?」 「いいわけないわよ。」 「そう、その意気よ。そしてね、背筋をピンと伸ばして胸を張るのよ。それだけでも結構 雰囲気が変わるはずよ。何たって、男はみんなスケベだから、胸を大きく見せておいて、 損はしないわよ。」 「そ、そうかしら。」 「そうよ、だからさっさと着替えてよ。」 「わ、分かったわよ。」 ヒカリは、渋々着替え始めたわ。次は、ユキね。 「ユキも着替えるのよ。」 「でも、ちょっとこれって派手じゃないですかね。」 「まあ、アタシ用に買った奴だからね。でも、とにかく着てみなさいよ。」 「でも、どっちにしましょうか。」 「そうねえ、アタシが赤と白のストライプで、ヒカリが青と白のストライプだから、ユキ は黄色と白のストライプにすればいいんじゃないかしら。」 「は、はい。じゃあ、そうします。」 もう、ユキったら自分の意見は無いのかしら。ちょっとムッとしたから、からかっちゃお うかしら。 「ユキ、向こう見て。」 「えっ、何ですか。」 ユキが背中を見せたから、アタシはユキに抱きついたの。 「きゃっ、何をするんですか、惣流さん。」 「あらあ、ユキったら結構胸があるのね。」 「ちょ、ちょっと惣流さん。胸をもまないでくださいよ。」 「あら、いいじゃない。相田君にいきなりもまれても大丈夫なように、アタシが鍛えてあ げるわ。」 「相田君は、そんなことしません。」 「そんなわけないでしょ。そんなこと言うなら、もっともむわよ。」 「や、やめてくださいよお。」 何よ、ユキったら。情けない声を出して。 「いいじゃない、女の子同士なんだし。」 「だめですよお。立てなくなっちゃいます。」 えっ、もしかして。ユキってズーレなの。アタシは、ちょっと気が引けてきちゃったわ。 「あっ、よかった。もうっ、惣流さん。こういうことは、やめてくださいよお。」 「あら、怒ったの?」 「えっ。いいえ、怒ってはないですけど。」 「ふうん、じゃあ、またやろうっと。」 「そ、そんなあ。勘弁してくださいよお。」 ユキが情けない声を出したけど、アタシは気にしなかったわ。ふふっ。ユキは胸が弱点だ って分かったもの。利用しない手は無いわよね。 アタシは、ニヤリと笑ったわ。 つづく(第70話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  超能力を使って、アスカはうまくピンチを切り抜けました。さて、ユキの意外な弱点が 判明しましたが、アスカはどう利用するのでしょうか。 2003.5.10  written by red-x