新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第67話
「私は、話すことなんて無いわよ。」
ヒカリは、すっとぼけたわ。ふん、嘘おっしゃい。必ずゲロさせてやるわよ。
「ふうん、それにしては最近浮かれているじゃない。」
「そっ、そんなことないわよ。」
「あら、そ〜お。どう思う、ユキ？」
「そうですね、洞木さんは最近怪しいですね。」
「でしょっ。やっぱりね。」
「ふ、二人とも何言ってるのよ。」
「ねえ、ヒカリ。あれから何回鈴原君とキスしたの？まさか、していないなんて言わさな
いわよ。」
「そうですよ、正直に言ってください。」
「そ、それは…。ア、アスカやユキから先に言いなさいよ。」
「あら、ユキ。ヒカリったら居直っちゃったわ。どうする？」
「そうですね。鈴原君に直接聞いちゃいましょうか。」
「あっ、それって良いわね。そうしようか。」
「まっ、待ってよ。そんなこと言うなら、私も碇君や相田君に聞いちゃうわよ。」
ふふふっ、バッカねえ。そんなこと言っても、アタシには何の効果も無いのに。
「どうぞ、シンジに何でも聞いたら。アタシも鈴原君に聞くから。ヒカリのお墨付きがも
らえて良かったわ。」
「私もいいですよ。相田君に何でも聞いてください。」
「じゃあ、ユキ。早速聞きましょうか。」
「ええ、そうしましょうよ。」
それを聞いたヒカリは、ちょっと声が震えてきたみたい。
「わ、分かったわよ。言うわよ。だから、トウジには聞かないで。あれから、その、１日
１回はキスしてるの。キャッ、言っちゃった。」
まあ、ヒカリったら、イヤイヤしているわ。面白いわね。
「ええっ、もうそんなに進んでいるんですか。洞木さんて、もっと真面目だと思っていた
のに、意外ですねえ。」
「そうよねえ。ヒカリだったら、『不純異性交遊は禁止よっ！』なんて言いそうだもの。」
「そ、そんなこと、アスカには言われたくないわよ。男の子と同棲してるくせに。そっち
の方がよっぽど不純異性交遊でしょ。」
むっ。ヒカリったら、そういうことを言うのね。だったら、アタシも言わせてもらうわよ。
「ねえ、ヒカリ。何か忘れていない？この婚約指輪は何かしら？保護者も認めているのに、
何が不純なのかしらねえ。そうだ、ヒカリのお父さんに、鈴原君のことを認めているか、
聞いちゃおうっと。」
「ま、待ってよ、アスカ。降参するわ。参ったわ。」
「ふうん、言うことはそれだけなの？」
「わ、分かったわよ。ごめんなさい。アスカと碇君は、同棲じゃなくて同居よ。ついつい、
口がすべっちゃったのよ。」
「まあいいわ。ヒカリだから許してあげる。」
でも、ちょっとやりすぎたかしら。そろそろ本題に入った方が良さそうね。
「じゃあ、ユキは３カ月後の初体験のために、ヒカリはユキに遅れをとらないように、頑
張るのよっ！そのための作戦会議をするわよっ！」
「ちょっと待ってくださいよ。その３カ月後って、何を根拠に言うんですか。」
「アタシが決めたのよ。それが根拠よ。何か文句ある？」
「べ、別に文句は無いですけど、私はまだ相田君のことを好きになった訳じゃないんです
よ。」
「駄目よっ！そんなことじゃあ、アタシとヒカリが困るのよっ！ユキ、頼むからそんなこ
と言わないでよっ！」
「ど、どうして惣流さんと洞木さんが困るんですか？」
「だって、ユキと相田君と付き合わないとすると、相田君はシンジや鈴原君を誘って遊び
に行こうとするわよね、多分。そうすると、アタシやヒカリはデートの回数が減るじゃな
い。それって、すごく困るのよ。」
「た、確かにそれはこまるわね。トウジと相田君は仲が良いから、私の方が余計に割りを
食うかもしれないわね。」
「そ、そんなあ。私の都合はどうなるんですか。」
「そこよ、そこ。それをはっきりさせなきゃね。ユキは相田君のことが嫌いなの？もしそ
うなら、アタシも無理強いはしないわ。相田君に言って、きっぱりユキのことを諦めさせ
るから。」
「えっ、私はそこまでしなくても良いんですけど。」
「じゃあ、ユキは相田君が嫌いじゃないのね。」
「え、ええ、まあ。惣流さんをテニス部に勧誘するお手伝いをしてくれましたし、何かと
今までも助けてもらっていますし、この前変な人に絡まれた時も体を張って守ってくれま
したし。嫌いになんか、なれませんよ。それに、相田君が嫌いだったら、海になんか行き
ませんよ。」
あら、良いこと聞いたわね。まあ、予想はしていたんだけど、相田はテニス部の女の子か
らはあまり良く思われていないようだから、ちょっと不安だったのよね。
「嫌いじゃないのは分かったわ。じゃあ、好意は持っているのね。」
「ええ、そうですね。」
「でも、異性として好きと言えるかどうかまでは分からないと。」
「そうですね、そんなところです。それに、私は、妹や弟の面倒を見たりするのが大変で、
男の子と付き合うなんて、まだ早いと思っていましたから。」
「でも、相田君なら妹さん達ともうまくやっていたし、デートに妹さん達を一緒に連れて
行きたいって言っても大丈夫かもしれないわよ。相田君は、ああ見えても優しいわよ、き
っと。」
「そうですね、そうかもしれません。」
「で、提案なんだけど、とにかく付き合ってみたらどうかしら。それで、気に入らなけれ
ば別れればいいんだし。」
「そんな、簡単なことじゃないと思うんですけど。」
「でも、考えすぎても駄目だと思うのよ。だって、付き合ってみなければ、相田君が自分
に合うかどうかなんて分からないわよ。離れたところからだと良く見えても、近寄ると実
は悪いところが見えるってこともあるじゃない。それは逆もあるけど、とにかく近寄らな
いと分からないことは多いわよ。」
「ええ、確かにそうですけど…。」
おっ、もうちょっとで折れるわねきっと。もう一押しだわ。
「ユキ、あなたには決断力が欠けているわ。アタシがそれを補ってあげるわ。ユキ、アン
タは相田君と付き合いなさい。それで、もし自分と合わないと思ったら、アタシに言いな
さい。その時は、アタシが相田君に言って、必ず別れさせるから。それで良いわねっ！」
「は、はいっ…。」
こうして、ちょっと強引だったけど、ユキと相田を付き合わせることに成功したのよ。で
もって、その後はヒカリの惚気話をた〜っぷり聞かせてもらったけどね。
つづく（第68話へ）
目次（目次へ）
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
とうとう、ユキもケンスケと付き合うことになりました。アスカの思い通りです。押し
に弱いユキの性格を利用した、アスカの勝利？です。
2003.4.26 written by red-x