新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第49話

「「「「いただきます!」」」」 子供達は、大きな声を張り上げて、目を輝かせながら、夕食を物凄い勢いで食べ始めたわ。 「これって、すごくおいしいよね。」 「レストランで食べてるみたい。」 「こんなに一杯あるなんて、嬉しいね。」 「一杯食べようっと。」 そんなことを言いながら、ワイワイ食べているわ。でも、気のせいかしら。ユキが子供の 方を睨んでいるような気がするのよ。でも、きっと気のせいね。 「どう、おいしい?」 アタシが聞いたら、子供達はニコニコしながら応えてくれたわ。 「うん、とってもおいしいよ。」 「こんなにおいしいの、初めて食べるよ。」 「綺麗なお姉さんだと、料理もおいしいんだね。」 「僕の本当のお姉さんになって欲しいな。」 あら、またユキが睨んでいるような気配がしたわ。そのせいか、ユキの妹さんと弟さんは、 少しだけ顔色を変えて、また、食べるのに没頭しだしたわ。 「さあて、アタシ達の分も作りましょう。」 アタシは、ヒカリとユキに声をかけたの。もちろん、二人とも頷いたわ。 *** 小さい子供達が食べ終わったら、アタシ達が食べる時間ね。本当は、コース料理みたいに したかったんだけど、そうすると、一緒に食べられなくなる人間が出てくるから、結局や めたのよ。 それに、小さい子達も最初に食べてもらったわ。これは、ユキのやヒカリのことを考えて のことね。だって、うるさい妹が一緒に食べていたら、気が散って、おいしく食事を楽し めないじゃない。 こうして、アタシ達6人で一緒に食べることにしたわ。 メニューは、チキンの照り焼き、フィレステーキ、舌平目のムニエル、ロブスター、エビ ピラフ、カニピラフ、ポテトサラダ、野菜サラダ、何種類かのスパゲッティー、カボチャ のスープというところね。 ロブスターと舌平目のムニエルだけは各自1皿あって、後は早いもの勝ちなのよ。といっ ても、余らせて明日の朝御飯にするつもりだったから、かなり大量に作ったの。 「ワイが全部食べたるう〜!」 なんて鈴原が言っていたけど、やっぱり無理で、結構余っちゃったわ。でもね、シンジは 嬉しそうな顔をしてお腹一杯食べたみたいだし、ヒカリと鈴原も、なんか仲良くなった感 じがするし、めでたし、めでたしっていう感じなのよ。 お腹一杯食べた後は、もちろんデザートよ。女の子は、デザート用のお腹、通称別腹を持 っているから、いくらお腹が一杯でも、デザートだけは食べられるのよ。 今回のデザートは、お店で買っておいたケーキに、プチプリンとシャーベットなの。そし て、各自コーヒーか紅茶か、好きな方を飲むのよ。 食べながらの話題は、もちろん、ヒカリと鈴原のことしかないわね。話がしやすいように、 小さな子供達は、別の部屋でゲームをさせるようにしたのよ。 「で、鈴原君は、いつからヒカリのことを気になっていたの?」 「そ、そんなの、分からへんわ。」 むっ。男らしくないわね。 「正直に言いなさいよ。」 「だから、分からへんて言うとるやろ。」 「あれっ、トウジ。2年生になったばかりの頃じゃなかったっけ。」 相田が突っ込みを入れたわ。 「おのれっ、ケンスケっ!そっちがその気なら、ワイもバラしたる。おのれは、1年生の 頃から、森川のことを気に入っておったやないか。」 あら、鈴原は、逆切れしたみたい。 「ト、トウジ。ま、待ってくれよ。」 相田の顔が真っ青になったわ。ユキの顔も真っ赤になったけどね。 「い〜や、待たん。全部バラしたる。」 「頼むよ〜。」 しょうがない、助け船を出してあげましょうか。 「ちょっと、鈴原君。今日は、あなたが主役なんだから、正直に全部白状しなさいよ。」 「なっ、なんでワイが…。」 「だって、ヒカリの生乳、揉んでたじゃない。」 「そっ、それは誤解や。触れただけや。」 「あら、やっぱり、ヒカリの生乳を触っていたのね。男って、なんてドスケベなのかしら。」 「だから、誤解やって、言うとるやないか。」 「だって、触ったんでしょ。」 「あっ、あれは、不可抗力や。」 「触った後、揉んでたじゃない。」 「揉んでなんか、あらへん。」 「本当なの、ヒカリ。」 「えっ、ええ。あれは、本当に不可抗力だったと思うわ。」 「へえっ、キスも不可抗力なの?」 「!!!」 ヒカリと鈴原の顔が、一気に真っ赤になったわ。ふふっ。人をからかうのが、こんなに面 白いなんて、初めて知ったわ。こりゃあ、やめられないわね。 こうして、ヒカリと鈴原を肴にして、2時間位盛り上がったのよ。本当に有意義な時間が 過ごせたわ。 *** 「鈴原君、ちゃんとヒカリを家まで送るのよっ!」 「おお、分かっとる。任せてや。」 「相田も、ユキをお願いね。」 「ああ、分かったよ。」 「それから、子供達にはお土産ね。」 アタシは、小さい子達に紙袋を渡したの。夕食の余り−といっても、食べる前に分け置い ていたフィレステーキ、舌平目のムニエル、ロブスターなんかだけど−に、プリンやアイ スといったデザート類をね。 アタシが中身を言ったら、子供達は、嬉しそうな顔をして、何度もお礼を言ってくれたわ。 そしてね、また来たいって言ってくれたのよ。 シンジにも結構懐いちゃったようだったわ。シンジにも、また遊んでねって、言っていた もの。 で、お休みのあいさつをして、みんなは帰って行ったわ。 「ふうっ、アスカ、お疲れさま。」 「ううん、大したことないわ。あっ、そうそう。協力してくれて、ありがとう。」 「ううん、いいよ、そんなこと。トウジ達は付き合うようになったんだから。」 「でも、鈴原君がヒカリのことを好きだったなんて、結構意外だったわ。」 「そうだね。両想いだったなんてね。」 「アタシ達は、良いことをしたのね。」 「そうだね。それよりもアスカ、本当にありがとう。アスカは、僕のことを考えて、お料 理会を開くなんて言ってくれたんだね。やっと分かったよ。」 「あら、どうして気づいたの。」 「トウジと洞木さんをくっつけようとした時さ。アスカって、他人のために、本人に分か らないように色々としてあげるじゃないか。だから、今回のことも、そうじゃないかって 思ったんだ。 そう思ったら、今回、誰が喜ぶのか考えてみたんだ。そうしたら、友達と仲良くなれる、 僕が一番喜ぶって分かったんだ。トウジやケンスケとも仲良くなれたし、妹や弟を持った ような気分も味わえたし。 なんか、僕って今まで、家族っていうものを知らなかったんだけど、なんかあったかくて、 良いなあって思ったんだ。そして、やっぱり一人より、多くの仲間や家族が居た方が、い いなあって思ったんだ。 それも、これも、アスカのおかげだよ。本当にありがとう。」 「良いってことよ。でもね、忘れないでね。今のシンジは、一人じゃないのよ。アタシも いるし、ミサトもいるのよ。」 「うん、そうだね。」 あっ、シンジったら、なんて屈託のない笑顔なのかしら。ちょっとだけ、クラッときちゃ ったわ。 「じゃあ、片付けは明日にして、今日はもう寝ましょう。でも、エッチなことは禁止よ。 分かった?」 「う、うん、分かったよ。」 何よ、今の間は。ちょっと気になるけど、まあいいわ。アタシはさっさとお風呂に入って、 湯船につかりながらニヤニヤと笑ったの。えっ、何でかって。 ふふふっ。実はね、悪巧みは終わっていないのよ。 つづく(第50話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2002.11.26  written by red-x



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