新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第50話
「おはよう、シンジ！」
「あ、おはよう、アスカ！」
さあて、今日はみんなで買い物に行く日ね。いつのまにか帰ってきたのか、ミサトは大の字
になって、ぐっすりと眠っているようだけど、まあ、ほっといてもいいわよね。
「昨日は、ごちそうさま、アスカ。とってもおいしかったよ。」
シンジはにっこりと笑ったわ。
「ううん、どういたしまして。シンジに喜んでもらえたようで、嬉しいわ。」
アタシもにっこり笑ったの。今日の朝は、清々しい良い気分だわ。
「今日は、僕が朝食を作ったんだよ。だから、一緒に食べようよ。」
ふっふっふ。甘いわね、シンジ。
「シンジ、じゃあ、軽く朝の特訓をするわよっ！食べるのは、それからねっ！」
「ええっ、アスカ。今日は、日曜日なんだよ。特訓なんか、休もうよ。」
「何言ってるのよ。使徒に日曜日が無いように、アタシ達の特訓にも休日なんか無いのよ。
分かったら、さっさと着替えるっ！」
「え〜っ！本当なの？」
「本当よっ！さっさとしなさいよっ！」
こうして、アタシとシンジは恒例の朝の特訓を始めたのよ。
＊＊＊
「はあ、はあ、はあ、アスカ、もう休もうよ。」
「駄目よっ！あと、もうちょっとだから。」
「でも、もう足が動かないよ。」
「しょうがないわねえ。」
アタシは、ゆっくりとシンジの顔に顔を近づけたわ。そして、すでに５回目になるだろう
か、超能力、『エナジー・チャージ』を使ったわ。
エナジー・チャージは、大気中のエネルギーを一旦体に集めて、それを口移しで相手の体
内に直接注入するのよ。これは、特定の男性にしか使えないけど、かなり威力があるの。
疲れた体に、元気をみなぎらせることが出来るのよ。
ほら、シンジも途端に元気になったわ。現金なものね。もしかしたら、シンジはこれを狙
っていたのかしら。
「さあ、シンジ。動けるようになったでしょ。」
「う、うん。」
シンジったら、顔が少し赤くなっているわ。でも、良いわよね。愛しのアタシとキスが出
来たんだから、内心では大喜びのはずだわ。
こうして、今日も休まずに特訓をしたのよ。
＊＊＊
「ふうっ、疲れたあっ！」
家に戻るなり、シンジは倒れ込むようにして椅子に座り込んだわ。シンジの体力は、まだ
まだのようね。もっとも、わずか数日で体力が増える訳は無いし、少しずつ力をつけてい
くしかないけどね。
「はい、お疲れさま。」
アタシは、冷蔵庫から牛乳を取り出して、コップになみなみと注いで、シンジに渡したの。
「アスカ、ありがとう。」
シンジは喉を鳴らして、一気に飲んじゃったわ。
「シンジ、お代わりする？」
「うん、お願いするよ。」
アタシは、シンジからコップを受け取り、牛乳を注いだけど、シンジには渡さなかったの。
「あっ、アタシも喉が乾いちゃった。」
なんて言いながら、牛乳を全部飲んだのよ。
「ア、アスカ。それって、間接キス…。」
シンジが顔を赤くしたけど、アタシは言い返したの。
「あんなに直接キスしておいて、いまさら間接キスもないでしょ。」
「あ、ああ、そうだね。」
ふふふっ。シンジったら、顔をさらに赤くして、可愛いわね。これも、アタシの作戦の内
なのよ。こうして、シンジとのスキンシップを深めていって、シンジをアタシに夢中にさ
せるのよ。それには、こういうふとした出来事の積み重ねが重要なのよね。
「はい、シンジ。お待たせ。」
アタシは、同じコップに牛乳を注いで、シンジに渡したの。シンジったら、ゆでだこみた
いな顔をして、それを飲んだわ。でも、ちょっと間が悪かったみたい。
「あっら〜っ。シンちゃんたら、羨ましいわね。」
ニヤニヤしたミサトが起きてきたのよ。でも、ちょうど良かったわ。ミサトに頼みたいこ
とがあったから。
「ねえ、ミサト。お願いがあるんだけど、いいかしら。」
「うん、何よ？」
「今日ね、アタシ達は友達と一緒にテニスウエアを買うんだけど、ミサトと加持さんにも
来て欲しいのよ。」
「ええっ、今日は加持とデートなんだから、嫌よ。」
「別に、ずっと一緒にいる必要はないのよ。ちょっとだけ顔を出してくれればいいのよ。」
「どういうことよ？」
「みんなの前で、お小遣いを渡して欲しいのよ。アタシ、テニスウエアを１０着は買いた
いんだけど、みんなが買わないと、買いにくいのよ。でね、ミサトがスポンサーになって、
小遣いを渡して欲しいのよ。」
「嫌よ。お金が無いのは、アスカも知ってるでしょ。」
「だ〜か〜ら、お金はアタシが出すの。でも、アタシが出したって分かったら、みんなが
遠慮するでしょ。」
「なんだ、そういうことね。良いわ、任しておきなさいよ。」
「じゃあ、お願いね。」
こうして、ミサトの快諾が得られたの。後は、シンジを悩殺するようなテニスウエアを買わ
なくちゃね。アタシは、ちょっと気合を入れたの。
つづく（第51話へ）
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2002.12.4 written by red-x