新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第48話

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」 ヒカリの悲鳴を聞いたアタシは、すぐにバスルームへと向かったわ。そうしたら、裸にバ スタオル一枚姿の鈴原がいたのよ。 「一体、何しているのよ、鈴原君?!」 アタシは、少し怒気を含んだ声で言ったの。 「ワ、ワイは、まさかいいんちょがいるとは、思わなかったんや。」 そう言いながら、鈴原は少し青い顔をしているわ。その向こうには、裸にタオルを巻いた 姿のヒカリがいたの。ヒカリったら、びっくりしちゃって声も出せないみたいなのよ。 「鈴原君、あなた、ヒカリを襲おうとしたのね。最低ねっ。」 アタシは、鈴原に詰め寄ったの。 「ご、誤解や。ワイは、そんなこと、せえへん。」 そう言いながらも、アタシが詰め寄ったから、鈴原はあとずさったの。そして、お約束ね。 足を滑らしてしまったのよ。 「あっ!」 「キャーッ!」 ふっふっふっ。今度は、ヒカリに寄り掛かるようにして倒れてしまったの。 「す、すまん、いいんちょ。」 でも、アタシは見逃さなかったわ。 「鈴原君、ヒカリの胸を触ってる。」 「えっ、ああっ!」 驚いた鈴原は、胸から手をどけようとしたの。でも、ヒカリの上に乗っかっている状況で そんなことをしたから、体が重力に引かれて、ヒカリの体にモロに乗っかっちゃったのよ。 当然、お互いの体が密着しちゃったわ。くっくっくっ、チャ〜ンス! 「鈴原君の変態!何するのよ!すぐにどきなさいよっ!」 「す、すまん、いいんちょ。」 あら、鈴原の顔は、真っ赤になっているわ。でも、慌てているせいか、うまくヒカリから 離れられないみたい。よ〜し、ここが勝負所ね。 「鈴原君、あなたはヒカリが嫌いなのね。だから、そんなひどいことをするのね?」 アタシは、わざと鈴原を挑発したのよ。 「ち、ちがうんや。ワイは、いいんちょのことが好きなんや。嫌いじゃあらへん。」 よ〜し、引っかかってきたわね。 「なら、証拠を見せてよ。」 「証拠?」 「ええ、ヒカリが好きっていう、証拠をね。」 アタシは、そう言うなり超能力を使ったわ。そう、『マインドコントロール』をね。 「わ、分かったわい。」 鈴原は、ヒカリを抱きしめたの。 「い、いいんちょ。す、好きやっ!」 そう言うなり、鈴原はヒカリにキスをしたのよ。濃厚なやつをね。ヒカリも、鈴原に身を 任せてうっとりとしているわ。よしよし、これで、悪巧みは完全に成功したわ。アタシは、 不敵な笑みを浮かべると、そっとその場を離れたの。 アタシがバスルームを出ると、野次馬どもが集まっていたわ。子供達ね。 「はいはい、みんな、あっちに行って。」 アタシは、子供達を追い散らしたわ。そうしたら、シンジが寄ってきたのよ。心配そうな 顔でね。 「ねえ、アスカ。どうなったの?」 「うん、ばっちりよ。シンジの協力があったおかげね。」 そう、今のことは、シンジと協力して仕組んだのよ。二人で示し合わせて、ヒカリの後に 鈴原が裸でバスルームに入るように仕向けたの。そうすれば、何か進展があるだろうとは 思ったけど、予想以上の好結果だったわ。 これで、二人は今日から恋人同士ね。後は、相田とユキをくっつけちゃえば、一丁上がり ね。まあ、ユキ達はもう少し様子を見てからにしようかしら。 「キャーッ!」 あら、またヒカリの声が聞こえてきたわ。さっきから、5分位経ったかしら。きっと、我 に返って、自分が裸なのに気づいたのね。でも、5分もキスしていたのかしら。ヒカリも、 結構やるわね。 *** 「どうしたのよ、ヒカリ?おやつ、食べないの?」 せっかく作ったケーキとプリンに、ヒカリは手を付けないのよ。それどころか、顔は真っ 赤なままだわ。 「うん、ごめんなさい。ちょっと食欲が無いの。」 「じゃあ、鈴原君に食べてもらったら。」 「えっ!」 その瞬間、ヒカリと鈴原の目が合ったのよ。そうしたら、二人とも真っ赤になっちゃって。 「え、ええんか。」 「ええ、食べて。」 ああ、まったく、イライラするわね。せっかくうまくいくと思ったのに、二人ともおとな しくなっちゃって。逆効果だったかしら。 「ちょっと、鈴原君。話があるんだけど。」 「な、なんや。」 「さっきのことだけど、どう責任をとってくれるのかしら。」 「せ、責任やて。」 「そうよ、責任よ。乙女の裸を見て、ただで済むとは思っていないわよね。」 「アスカ、良いのよ。わざとじゃなさそうだし。」 「ヒカリは黙ってて。良い、鈴原君?あなた、自分が何をやったのか、分かっているの?」 「あ、あれは事故や。」 「ふ〜ん、事故で5分もキスするわけ〜?」 「そ、それは…。」 「じゃあ、何か言ったらどうなの。ヒカリを見なさいよ。鈴原に嫌われたんじゃないかと 思って、怯えているじゃないの。鈴原君、ヒカリが嫌いになったの?」 「そ、そんなこと、あらへん。」 「じゃあ、ヒカリのこと、どう思っているのよ。」 「そ、それは、可愛いし、す、好きやと思うとる。」 それを聞いた時のヒカリの顔ってなかったわ。パッと明るくなっちゃって。 「ヒカリも鈴原君のことが好きなのよ。だったら両想いっていう訳ね。だったら、丁度良 いじゃない。今日から付き合っちゃいなさいよ。」 「そ、それは…。」 「あなたねえ、男でしょ。ウジウジしないで、さっさと返事しなさいよ。」 「わ、分かったわい。い、いいんちょ。ワイと付きおうて欲しい。この通りや。」 鈴原は頭を深々と下げたわ。 「えっ、本当なの?私なんか、いつもガミガミ言ってばかりだし…。」 「それでも、ええんや。ワイは、今日やっと分かったんや。ワイは、いいんちょのこと、 好きなんや。だから、付きおうて欲しい。この通りや。」 鈴原は、さらに頭を下げたのよ。でも、ヒカリの返事はなかったの。それで、鈴原は断ら れたかと思って、落ち込んだ表情で顔を上げたんだけど、その鈴原の目に映ったのは、し きりに頷くヒカリの顔だったわ。それを見た鈴原は、ぱっと明るい顔になったわ。 こうして、アタシの活躍で、ヒカリと鈴原は、付き合うようになったのよ。 つづく(第49話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  久々に、アスカの超能力が使われました。これで、ヒカリとトウジは、今日からアツア ツの恋人同士になるでしょう。アスカの悪巧みは、大成功でした。 2002.11.19  written by red-x