新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第36話

「さあて、行くわよっ!」 お昼休みの鐘が鳴ったら、アタシはみんなに声をかけたわ。そして、運動場の脇に広がる 芝生へと向かったの。今日は良い天気だから、外で食べるのもオツなもんね。 アタシとシンジで1つずつ紙袋を持って、少し早足で階段を降りて、さっさと靴を履いて 外へ出たの。アタシ達の後ろからは、ヒカリに鈴原と相田が付いてきたわ。 実は、クラスメイトの中で、アタシとお昼を食べたいっていう話が出ていたらしいんだけ ど、そんなのぶっちぎったわ。でも、あれだけのことをしてもアタシとお昼を一緒に食べ たいっていう物好きがいるなんて、本当に分からないわね。 アタシが超絶天才美少女だからかしら。やっぱり、美しいって罪なのね。でもね、どうせ、 一緒に食べたいなんて言うのは男どもだろうから、そんなの無視よ、無視。 *** 「ねえ、アスカ。どこで食べようか。」 「そうねえ、あの辺りが良いかしら。」 アタシは、芝生の隅の方にある一角を指し示したわ。そこは、少し木の陰になっていて、 直射日光が当たらない位置にあったのよ。 「分かったよ。ちょっと待ってて。」 シンジは紙袋の中からビニールマットを取り出して、素早く敷いたの。結構広くて、5人 位なら余裕で座れるわ。 「じゃあ、みんなも座ってよ。」 シンジが促すと、ヒカリは控えめに、鈴原と相田はどっかと座ったわ。でもね、男共は、 シンジの左右に座ったのよ。それで、アタシが座れるのは、ヒカリと鈴原の間になっちゃ ったわ。だから、アタシはこう言ったの。 「あ、アタシはシンジの隣だから、鈴原君はこっちに座ってね。」 「えっ、そっ、そうやな。」 鈴原は、頭を掻き掻き、ヒカリの横に座ったわ。まっ、ヒカリったら、少し赤い顔をしち ゃって、分かりやすいわねえ。 「じゃあ、お弁当を広げるわね。シンジ、手伝って。」 「ああ、良いよ。」 アタシはシンジの手を借りて、お弁当を広げたの。 「お〜っ!こりゃあ、おいしそうやなあ。」 「そうだね。豪華じゃないか。」 「す、すっごいわね。」 あら、3人とも驚いているわ。そりゃそうよ。今日は気合を入れて、かなり高価なお弁当 にしたもの。 今日は木曜日だから、メインのおかずは魚なの。で、どうしようか色々考えた末に、マグ ロのお刺身にしたのよ。ちゃんと保冷しておいたから、きっと美味しいはずよ。アタシは あまり好きじゃないけど、シンジが好きだって言うから、たくさん用意したの。 おそらく、みんなはこれを見ただけで、豪華だと言ったのね。まあ、それもそのはず。こ れって結構高かったのよね。あら、鈴原と相田だけじゃなくて、シンジの目も輝いている わね。 でも、お刺身だけだとアタシが物足りないから、本当は火曜日のメインのおかずである、 エビフライも用意したの。自分も一杯食べたかったから、1人当たり10個にしたの。 後は安直に、ポテトサラダ、ミニコロッケ、たこ焼き、スパゲッティーなんていう感じね。 でも、種類も量も多いし、メインのおかずがお刺身だから、豪華に見えなくもないわ。 そして、主食は3段重ねの海苔ご飯よ。それが男3人分ね。アタシは、可愛くサンドイッ チにしたわ。でも、それ以外にもミニおにぎりをたくさん用意したのよ。シャケ、オカカ、 梅、シーチキン、タラコっていうところね。 「じゃあ、食べましょうか。いただきま〜す。」 アタシが言うと、みんなもそれに倣ったわ。 「いただきます。」 「いっただきま〜す。」 「いっただきや〜っ。」 「い、いただきます。」 いただきますを言うと、ヒカリが声をかけてきたわ。 「あの、私もいただいていいかしら。」 「もちろんよ。一応、言っておくけど、お刺身は5等分よ。エビも同じよ。それ以外は早 いもの勝ちでいいわ。」 「ええっ。私は、そんなに食べられないわ。」 「じゃあ、一杯食べそうな鈴原君にでもあげればいいじゃない。」 「え、ええっ。」 「そら、良い考えや。イインチョ、ワイだったら、幾らでもいけるから、平気や。」 「そ、そう。じゃあ、鈴原に食べてもらおうかな。」 へへへへへっ。ヒカリったら、真っ赤になっちゃって、かっわい〜っ。 「じゃあ、アタシはシンジにお刺身をあげようかしら。」 「うん、じゃあちょうだい。」 シンジはニコニコしたわ。でも、ちょっと相田が可哀相ね。 「あっ、シンジ。相田君も欲しそうだから、少し分けてあげなさいよ。」 「えっ、良いのかなあ。俺、お刺身は大好きなんだ。」 相田は、途端に笑顔になったわ。現金ねえ。 「ああ、ケンスケ、どうぞ。」 相田は、アタシのお刺身の4割位を持って行ったわ。で、残りがシンジの所へ行ったの。 「ああ、美味しいな。シンジは羨ましいな。こんな可愛い彼女に、こんなに美味しいお弁 当を作ってもらえるなんて。」 あら、いやだ。相田ったら、本当のことを言っちゃって。照れるじゃないのよ。 「でも、アスカ。これって凄くお金がかかったんじゃない?良いのかしら。」 まあ、ヒカリは流石に良く分かっているわね。 「まあね。でも、今日は転校初日だから、かなり奮発したのよ。まあ、お近づきの印って 思ってくれれば良いわ。」 「でも、良く、こんな量を作ったわね。食べきれないなんて、思わなかったの。」 「それは大丈夫よ。残飯処理をしてくれる人がいるから。」 「ふうん、そうなの。じゃあ、少し残そうかしら。」 「あっ、良いのよ。無理に残さなくても。知り合いのお姉さん達の夜食にしようと思った だけだから。食べられるなら、みんな食べてよ。」 「じゃあ、お言葉に甘えるわ。」 「ええ、どうぞ。お弁当にこれだけ作ってくるなんて、今日が最初で最後だから。」 「はあっ。そうか、残念や。」 「そうだな、俺も残念だよ。」 鈴原と相田は、肩を落としたわ。 「あら、そんなに良かったのかしら。じゃあ、こういうのはどうかしら。実は、さっきヒ カリと話していたんだけど、アタシはヒカリからお料理を教わることにしたのよ。で、月 に2〜3回、アタシ達の家で、お料理の練習会をするの。作っても、食べる人が少ないと 張り合いが無いから、鈴原君と相田君が試食するっていうのはどうかしら。」 「おう、良い考えや。ワイは賛成や。」 「俺も賛成だな。是非お願いしたいよ。」 「アスカがいいなら、良いよ。」 「じゃあ、残るはヒカリね。」 アタシはヒカリに微笑んだわ。 「ええ、良いわよ。」 ふふふっ。ヒカリは少し驚いた後に、顔を少し赤らめたわ。それもそのはず。お料理会の ことなんて、今言い出したんだもの。でも、鈴原が来るから、ヒカリは反対しないで話を 合わせたのね。 「じゃあ、決まりね。早速だけど、次の日曜日なんてどうかしら。都合の悪い人は、いる かしら。」 アタシの問いかけに、みんな頭を横に振ったわ。 「じゃあ、次の日曜日の3時に、3人ともアタシの家に来て。アタシとヒカリは、料理の 準備。シンジはアタシ達の手伝い。鈴原君と相田君は、お買い物。それで良いわね。」 こうして、急きょお料理会が決定したの。 つづく(第37話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  少し強引に、3バカトリオを作ろうとするアスカです。それに、ヒカリとトウジの仲を 近づけようとするのも忘れません。でも、あぶれたケンスケの運命はいかに。そして、一 体いつになったら、レイちゃんが出てくるのでしょうか。 2002.9.3  written by red-x



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