新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第126話

今日は、シンジの誕生日。でも、シンジは朝早くから、ネルフでエヴァに関するテストが あるの。だから、シンジだけお出かけっていう訳。もちろん、これは嘘。午前中はシンジ を家から遠ざけるために、リツコやミサトに協力してもらったのよ。 「シ〜ンジ、早く帰って来なさいよね!」 アタシが元気よく送り出そうとしたのに、なんだかシンジは元気が無かったわ。 「う、うん。分かったよ。」 なんて言って、ウジウジしてるのよね。アンタねえ、2・3発ビンタを食らわしてやろう かしら。はっ、いけないわ。せっかくの誕生日にそんなことしたら、シンジがいじけてし まうもの。アタシがどうしようか喪酔っていたら、そこに、タイミング良くミサトが声を かけたの。 「はいはい、シンジ君。元気出しなさいよね。愛しのアスカから、少しの間離れるだけな のにね。そんなにアスカのことが好きなのかしらね。」 ミサトは、チェシャ猫みたいな顔をする。 「ミ、ミサトさん。なっ、何を言うんですか。」 突然ミサトにからかわれ、シンジの顔が真っ赤になったわ。ふう、良かったわ。どうやら イジケ虫から立ち直ったみたい。それに、運良くというか、やっぱりというか、シンジは、 アタシの計画には全然気付いていないようね。 「まあ、いいから。さっさと行ってきなさいよね。お昼には、ヒカリやユキも来るから。 2バカもね。まあ、ささやかだけど、皆で祝ってあげるから。」 そして、シンジの耳元で囁く。 「シンジ、お誕生日おめでとう。」 すると、シンジの顔が、ぱっと花が咲いたように明るくなったわ。 「う、うん。ありがとう、アスカ。早く行って、なるべく早く帰って来るよ。」 なんて現金な奴。アタシはちょっと機嫌が悪くなったけど、表情はスマイルのまま。 「うん、いってらっしゃいね。」 アタシは、玄関の外に出て、笑顔でシンジを見送ったわ。 *** 「もう、来てもいいわよーっ。」 シンジとミサトが出かけてからしばらくして、頃合いを見て、アタシはケータイでヒカリ 達を呼んだの。すると、少し離れたドアが開いて、ヒカリとユキがこっちにやって来たの。 「おはよーっ。」 「おはよう、アスカ!」 「おはようございます、惣流さん。」 ところがなんと、ヒカリやユキの後から、クラスの女子がぞろぞろと付いて来たのよ。え っ、一体どうしたの?アタシが目をまん丸くしていると、ヒカリが教えてくれたの。 「つまみ食いOKって言ったら、助っ人がこんなに来たのよ。」 まったく、みんな食いしん坊ね。でも、人手が足りないから大変だと思っていたから、大 助かりよね。本当に心強いわ。アタシは、思わずにっこりと笑ってお礼を言ったの。 「皆さん、今日はお手伝いしていただけるそうで、ありがとうございます。」 「いいのよ、アスカ。気にしなくて。みんな、食べ物が目当てだから。」 ヒカリがてへっと笑う。ユキも苦笑い。でも、助かるのは事実よ。ありがたいわ。 「さあて、そんなことはいいから、さっさと始めましょう。」 それから、ヒカリの采配で役割分担が素早くなされ、女子軍団は各々の持ち場に散らばっ て行ったわ。アタシは、2人の女子と一緒にお部屋の準備。本当は料理をしたかったんだ けど、アタシの家のことは、一番良く知っているアタシがやるべきというヒカリの意見に 反論出来なかったのよ。 シンジにアタシの作った料理を食べさせてあげるという当初の計画は、早くも挫折したわ。 しょうがないから、シンジの食べる肉くらいはアタシが焼こうかしらね。おっと、考え事 している暇はないわ。早く準備を始めないと。 「じゃあ、お願いするわね。」 こうして、アタシの指図で我が家の準備が始まったわ。 *** 「ふうっ、疲れたわねえ。」 「結構大変だったわね。」 「でも、誕生会らしくなったじゃない。」 9時半になって、一旦休憩することに。でも、3時間近く費やした結果、料理以外の準備 は殆ど終わったわ。誕生会らしい飾りつけも、そこそこ形になってきたわ。そこに、ヒカ リの所から伝令が。 「あっ、こっちも休憩?丁度良かったわ。みんなでつまみ食いしているから、おいでよ。」 「「「うん、行く行く。」」」 丁度お腹が減ってきたアタシ達にとって、渡りに船だったわ。 で、アタシ達がヒカリの所へ行くと、皆でわいわい言いながら、既につまみ食いは始まっ ていたのよ。男子がいないもんだから、みんな足を崩して気楽な格好だったわ。スカート がめくれていても、全然オッケー。男子がいないと、やっぱり雰囲気が全然違うわね。 「うわあ、これ美味しい。」 「こっちもいいわよ。」 「私はこっちね。」 みんな、凄い勢いで料理にパクついているわ。あのー、食い尽くさないわよね。 みんなが食べていたのは、割合早く出来るものだったわ。一番人気はお寿司。トロとかい うのが見る見るうちに減っていたわ。二番人気は、海老フライとカニピラフ。 なんでステーキに人気がないのか聞いてみたら、理由は単純。ステーキは一人1枚あるか らなんですって。今食べると、後で食べられないからとか。ふん、絶対に嘘ね。アンタ達 の胃袋が底無しなのは、よっく分かったわ。 で、しばらくちょっと遅い朝御飯を食べていたんだけど、頃合いを見計らってアタシはと っておきのデザートを出すことにしたの。 「はーい、皆さん。今日はありがとう。冷たいデザートはいかが?」 アタシは冷凍室を開けて、本当は明日出す予定だった超高級アイスクリームを披露したわ。 ハーゲンダッツ並の小さなカップのアイスクリーム。でも、中身はハーゲンダッツを遥か に凌駕するほど美味しいアイスクリーム。それをみんなに配ったの。 そうしたら…。 「なに、これっ!美味しいーっ!」 「これ、本当にアイスクリームなのっ!」 「すっごーい!なんて濃い味なのっ!」 「んまーい!」 女子軍団からは、感嘆の声が上がったわ。まあ、値段を聞いたらもっと驚くでしょうけど ね。 こうして、シンジの誕生会の準備は着々と進んでいったのよ。 つづく(第127話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジに内緒で、誕生会の準備。果たして、次回以降のシンジの反応はいかに。 2006.2.6  written by red-x