新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第121話

「え〜っ!アスカ達が戦っていたの〜っ!」 げっ。大声は止めてよね、ヒカリ。お昼休みに、アタシとシンジがエヴァに乗って戦って いるってヒカリに言ったら、案の定ヒカリは凄く驚いて大声で叫んだの。 「ちょっと、ヒカリ。これはあんまり知られたらまずいんだから、小さな声でお願いよ。」 「え、ええっ。ご、ごめんなさい。」 アタシが少しきつめに言ったら、今度は一転してヒカリはしおれちゃったわ。 「まあいいわ。驚くのは当たり前だから。これから気をつけてくれればいいわよ。」 「そう言ってくれると助かるわ。でも、本当に驚いたわ。アスカが戦っているなんて。」 アタシが優しく言ったら、ヒカリはほっとしたみたい。そこに相田が口をはさむ。 「洞木だけじゃないぞ、驚いたのは。俺だってびっくり仰天だよ〜。」 それにユキも続く。 「私も驚きましたよ。もう、びっくりっていう感じです。」 そしてジャージも。 「ワイも驚いたわ。惣流はともかく、シンジもとはな。」 なによ、『惣流はともかく』ってどういう意味なのよ。アタシは突っ込みたくなったけど、 ヒカリやユキの手前我慢したの。 「じゃあ、最初から順を追って話すわね。いいかしら。」 アタシが言うと、皆ウンウンと頷いたわ。それからアタシは、今までの話と辻褄が合うよ うに、事実と嘘を程よく混ぜて説明したの。 シンジのお母さんとアタシのママが親友で、アタシとシンジは幼なじみで仲良く遊んでい たこと。その時にお互いが気に入って、将来結婚する約束をしたこと。 シンジの両親がネルフの幹部で、お母さんが事故で亡くなってからは、お父さんとは離れ ばなれになって暮らしていたこと。その時からアタシとシンジが離ればなれになったが、 電話や手紙のやりとりは続けてきたこと。 アタシも幼い頃に母親を亡くして、その後はロボットのパイロットになるべく訓練をして きたこと。但し、そのことはシンジには内緒にしていたこと。 アタシがパイロットであることを知ったシンジが、同じパイロットになりたいと志願した こと。それが半年位前で、訓練のためにシンジがドイツに行ったこと。その時から、二人 が本格的に付き合いだしたこと。 なんとか1人前になったシンジが日本に来たら、来たその日に使徒に襲われたこと。でも、 アタシとシンジが力を合わせてなんとか使徒を倒したこと。 「…という訳なのよ。」 アタシが話し終わると、ユキの目が輝きだしたわ。 「凄いですねえ。10年にも及ぶ長距離恋愛、惣流さんのためにパイロットになることを 決意した碇君、共に戦う恋人同士、なんて素敵なのかしら。」 なんて言いながら、手を合わせてうっとりしだしたの。 「シンジ、お前はなんて偉いんや。恋人のために戦うとは、男の鑑や。」 ジャージも感激して、泣きそうになったわ。ヒカリも無言でウンウン首を縦に振っている。 ありゃりゃ、何か騙しているようで心が痛むわね。シンジの顔も、心なしか引きつってい るように見えるわ。しょうがない、話はここで終わらせようっと。 「この話はこれでおしまい。分かっていると思うけど、絶対に秘密にしてね。」 アタシが低い声で言うと、皆は首を縦に振ったわ。 *** 「アスカ!上手くいったわよ!」 部活の後にネルフに行ったら、ミサトが満面の笑顔で出迎えたわ。 「えっ、ホント?」 「ええ、シンちゃんが大活躍したからよ。だから、訓練内容は変更無し。やっぱり、論よ り証拠というか、結果が全てと言うか、シンちゃんの活躍を見た人は、皆驚いていたわ。 どうやってこんな短期間で、シンちゃんを一人前の戦力にしたのかって。」 ナーイス!これで今まで通り、シンジと一緒に訓練出来るわ。 「そりゃあもちろん、アタシが優秀だからよ。それにシンジも、大好きなアタシのために 頑張ったしね。」 アタシは思わず笑みを浮かべた。実は、今のシンジの扱いについてとやかく言う輩が多か ったのよ。訓練時間が全然足りないとか、訓練内容が悪いとか。 だからアタシは言ってやったの。何も知らない素人に、いちいち口をはさんで欲しくない。 アンタ達を安心させて使徒に負けるのと、アンタ達言うことを聞かないで使徒に勝つのと、 どっちがいいのかって。 そうしたら、次の使徒が来た時のシンジの働きが悪ければ、訓練内容は変更。テニス部も 退部。シンジはレイと同じ訓練メニューにすることになったの。逆に、シンジの働きが良 ければ、訓練内容はアタシに一任するっていうことになったのよ。 結果は、予想を遥かに上回るシンジの大活躍。ミサトですら、シンジが直ぐにやられて、 アタシが使徒を倒すって思っていたみたいだから、ネルフの教官達は全員顔が真っ青よ。 だってそうでしょ。自分達が無能だってことが、明らかになったんだもの。 何年も訓練をしてきたレイよりも、アタシが3週間弱の訓練を行ったシンジの方が良い動 きをしていて、成果をあげているんだもの。誰が見ても、モロ分かりよね。 そんなことを思っていたら、ミサトはシンジに顔を向けたのよ。 「そうなの、シンちゃん?」 ミサトは、シンジをニコニコしながら見たけど、シンジは真っ赤になっちゃったわ。でも ね、小さい声だけどはっきりと言ったの。 「はい、そうです…。」 「ふふっ、ごちそうさま。」 ミサトは、より一層ニコニコしたわ。 *** その後家に帰ったら、シンジと一緒にお風呂に入ったの。昨日は結局、疲れていたから帰 ってすぐ寝ちゃったから。 「ア、アスカ。綺麗だ、大好きだよ…。」 「ふふふっ、嬉しいわ。ありがと、シンジ。」 アタシは、シンジに後ろから抱きつかれて胸を思いっきり揉まれたんだけど、決して怒ら ずに我慢、我慢。それどころか、笑みを浮かべたわ。くうっ。なんか、ストレスで胃に穴 があきそうよ。 シンジは調子に乗って腰を密着させてくるし、ちょっと気持ち悪い感触だわ。それに誰に 教わったんだか、いきなり耳たぶを噛まないでよね。声が出ちゃうじゃない。 「アスカ、今度は逆になろうよ。」 「ええ、いいわよ。」 今度は、アタシがシンジを後ろから抱きしめる。そして、シンジに言われるままにシンジ の体を洗うの。前と後ろを同時にね。シンジの背中はアタシの体で、前はスポンジで。 「次は、ここを洗ってよ。」 「ええ、いいわよ。」 アタシは、石鹸で手を泡立ててからシンジに言われた所を洗う。スポンジでは洗えない、 女の子の体にはついていないものを。げえっ、なによこれ。変な感触で気持ち悪い。 「うっ、いいよアスカ。すっごくいいよ。」 アタシの気持ちと裏腹に、シンジは気持ちが良いって、ハアハア言い出したわ。心臓の動 悸も早くなったの。そして…。 「うっ!」 そう言った後、急にアタシが洗っていたモノがしぼんでいったの。なっ、何よ。一体何が 起きたのよ。アタシは、何が起きたのか理解出来なかったわ。 「アスカ、ありがとう。凄く嬉しいよ。」 アタシに分かったのは、シンジがとっても気持ちが良かったということくらいね。全く、 男って良く分からないわ。 つづく(第122話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジは、とーっても良い思いをします。逆に、アスカはじっと我慢の子でした。   2005.2.17  written by red-x  



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