新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第15話

アタシ達3人は、昨日と同じで、一緒に眠ることにしたわ。もちろん、アタシとシンジは 手をつないで寝たわ。 *** 「おはよう、シンジ君。」 アタシは、寝ぼけ眼で起きてきたシンジにあいさつをしたわ。 「ああ、おはよう、アスカさん。」 まあ、シンジったら、他人行儀でしょうがないわね。 「アスカよ。」 「あっ、ああ。でも、葛城さんがいるし。」 まあ、シンジったら、動揺しちゃって。 「寝ているから、良いのよ。」 「あ、ああ。おはよう、アスカ。」 そう言って、シンジは恥ずかしそうにしながら、顔を洗いに洗面所に行ったわ。そして、 戻ってきたら、ちょっと驚いたの。 「ア、アスカさ…」 その瞬間、アタシはちょっとキツイ目でシンジを見たわ。そうしたら、シンジは気付いて 言いなおしたわ。そう、実は、アタシ達は、二人きりの時は、名前を呼び捨てにするって 決めたのよ。その方が恋人らしいからって、アタシが強引に…じゃなくて、シンジと合意 の上で決めたのよ。 「ア、アスカ。朝からこんなに食べるの?」 食卓の上には、パン3斤も使ったサンドイッチに、サラダ、コーンスープに加えて、お好 み焼きが6枚が所狭しと置いてあったの。シンジには、多かったのかしら。 「あれ。これって、パンケーキじゃなくて、お好み焼きなの?」 シンジは目を丸くしていたわ。何でかしら。お好み焼きって、好きな材料が使えて、栄養 満点にもヘルシーにも出来るし、中々いいと思うんだけど。ミサトも飲み屋で良く注文す るって言ってたし。 ちなみに、このお好み焼きの材料は、牛の挽き肉、海老、チーズ、コーン、キャベツ、イ カってとこかしら。結構材料費がかかっているのよ。 それなのに、シンジったら、あまり食べたそうな感じじゃないなんて、ちょっと嫌な気分 になったわ。 「あ、ごめんよ。ちょっと驚いただけで、食べたくないなんて訳じゃないんだ。むしろ、 僕はお好み焼きは大好物なんだ。だから、そんな顔しないでよ。」 あら。アタシったら、変な顔をしていたのかしら。でもいいわシンジが分かってくれたか ら。せっかく作ったのに、ケチ付けられるのって、とっても嫌じゃない。やっぱり、ニコ ニコしながら、『おいしい。』って言ってくれなくちゃ。そうじゃないと、作りたくなく なるのよねえ。 「まあ、良かったわ。じゃあ、一杯食べてね。今日は訓練があるから、お腹一杯食べてね。 シンジの好きなお肉もたくさん入っているからね。」 「えっ、お肉って?」 「良く見てね。ハンバーグサンドやカツサンドがあるでしょ。お好み焼きの中にも、お肉 が入っているわよ。」 「え、どれどれ。」 シンジはそう言って、お好み焼きを最初に食べたわ。 「あっ、本当だ。キャベツも一杯入っているけど、肉もたくさん入っているね。うわあ、 イカやエビまで入ってる。これって、結構材料費がかかっているでしょ。」 「ふふふっ。良く分かったわね。」 そうよ。このお好み焼きは、生地の中に挽き肉をたくさん炒めて入れてあるから、普通の に比べて、お肉たっぷりなのよ。まあ、普通の人なら少し食べれば分かるけどね。 「あっ、それにソースも、市販のものじゃないね。もしかして、イスラエル製かなあ。」 「まあ、良く分かったわね。もっとも、味が強いかもしれないと思って、日本製のソース も混ぜているのよ。」 「うん、でも良い味だね。マヨネーズも普通のじゃないね。」 「そうよ。それは、知り合いにマヨネーズに凝っている娘がいるから、分けてもらったの。 いわゆる、自家製っていうものね。さすがに、アタシは作れないから。」 「うん、凄くおいしいよ有り難う。アスカも、見てばかりいないで、一緒に食べようよ。 その方がおいしいよ。」 「うん、分かったわ。いただきます。」 こうして、アタシ達は二人して、和気あいあいと朝食を楽しんだの。えっ、ミサトですっ て。そんなお邪魔虫のことなんか、強制的に忘れているわよ。決まっているでしょ。 でも、シンジったら、良く食べるわよねえ。あっと言う間に、お好み焼きが2枚無くなっ たわ。サラダも半分しか残っていないし、サンドイッチも、もう半分近く無いわ。それと も、アタシが小食なのかしら。ちょっと聞いてみよう。 「ねえ、シンジ。いつもそんなにたくさん食べるの?」 「ううん、いつもはこんなに食べられないよ。」 「えっ、じゃあ何でそんなに食べられるのよ。」 「だって、おいしいし、何と言っても、その、す、好きな女の子が作ってくれたから…。」 それを聞いて、アタシったら、思わず顔が赤くなっちゃったわ。でも、それを誤魔化そう として、ちょっと強がってみたの。そう、ちょっとだけね。シンジが傷付かないように。 「あら、シンジったら、お世辞がうまいのね。それに、思った以上にプレイボーイね。今 まで、何人の女の子を泣かして来たのかしら。」 「えっ、誤解だよ。僕は、思っていないことは言わないし、こんなことを女の子に言うの は、アスカが初めてだよ。本当だよ。」 「分かったわ。シンジのこと、信じてあげる。アタシもシンジのこと、好きになっちゃっ たみたいだから。」 「じ、じゃあ、僕達は両想いっていうことでいいのかな?」 あら、シンジったら、今更何を言うのかしら。 「今更、何言ってるのよ。アタシの恋人は、どこのどなたかしら。アタシの目の前にいる アタシ好みの男の子だと思っていたんだけど、アタシの勘違いだったのかしら。」 アタシは、ちょっと拗ねたような顔をしたわ。そうしたら、シンジったら凄く慌てちゃっ たの。 「そ、そんなこと無いよ。ただ、アスカみたいな可愛い女の子が恋人だなんて、信じられ なくて、もしかしたら夢じゃないかなんて思ったんだ。」 「まあ、お上手ね。でも、今日からの訓練は手を抜かないわよ。何と言っても、シンジの 命がかかっているからね。」 「えっ、訓練って?」 「ん、もう。忘れちゃったの?シンジは、エヴァンゲリオンのパイロットになったから、 これから、地獄の特訓が待っているのよ。」 「えええええええええええええええええええええっ!」 シンジは、思いっきり嫌な顔をしたわ。 「ねえ、シンジ。シンジはアタシのこと好きなんでしょ?」 「う、うん。」 「アタシがピンチになったら、逃げる?それとも、助けてくれる?」 「も、もちろん、助けるよ。」 「うわあ、嬉しいな。じゃあ、そのためにも特訓は必要よね。良かったあ。シンジがアタ シを守る為に、特訓するなんて。女として、こんなに嬉しい事は無いわよね。」 その瞬間、アタシは『エンジェル・フェイス』を使ったわ。これで、シンジは大喜びで特 訓をするはずよ。 「う、うん、分かったよ。僕は、アスカのために、特訓するよ。」 「嬉しい。じゃあ、まずは基本のランニングからね。コーヒーを飲んで、ちょっと休んだ ら出発するわよ。」 「うん、分かったよ。」 こうして、アタシはまんまと、シンジに特訓させることに成功したの。さあて、シンジは、 今日は何回悲鳴をあげるかしら。アタシは、思わずニコニコしたわ。それを見たシンジも ニコニコ笑顔を返してきたわ。 ああ、シンジったら、これから体験する地獄の特訓を知らないから笑えるのよね。もし、 知っていたら、恐怖に顔が引きつるものね。そんなことを思いながら、朝食の時間は、楽 しく過ぎていったわ つづく(第16話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  さて、シンジは今日一日、無事に過ごせるのでしょうか。 2002.4.9  written by red-x