新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ


第9話

「は〜い、お待たせ〜。」 ミサトが元気良く、お風呂から出てきた頃には、アタシとシンジは、元通り、いや、前以 上に仲良くなっていたわ。 「じゃあ、次は、アタシが入るわね。」 そう言って、アタシはお風呂に入ったわ。 *** 「あ〜あ、本当は、シンジと一緒にお風呂に入りたかったんだけどなあ。」 そう、ミサトがいるから、シンジと一緒にお風呂に入るなんて、無理なのよ。あと一押し で、完全にシンジの心がアタシのものになったのに、ちょっと残念だわ。でも、一緒にお 風呂に入ったら、シンジったら、鼻血ブーになっちゃうかもね。 「まっ、明日から1週間が勝負ね。」 アタシは、シンジの心を完全にモノにすべく、策略を巡らしていた。もちろん、アタシは お風呂が好きだから、ゆっくりと入っていたわ。 *** 「シンジ君、出たわよ〜。」 アタシは、バスタオルを巻いて、お風呂を出たの。そうして、シンジを呼んだの。シンジ は、アタシと入れ違いにお風呂に入ろうとしたんだけど、ちょっとした事件が起きたわ。 シンジがアタシにぶつかった拍子に、アタシのバスタオルがはらりと落ちたのよ。まあ、 お約束っていう奴ね。 「ご、ごめんよ。わざとじゃないんだ。」 シンジは赤くなって謝ったわ。でも、アタシはにっこりと笑ってこう言ったの。 「アタシは、わざとだった方が嬉しいんだけどね。もちろん、シンジ君限定だけど。」 シンジは、目を丸くしたわ。そして、意味が分かったら、顔を真っ赤にしたわ。 「アスカさん、あんまり僕をからかわないでよ。」 シンジは、ちょっと頬を膨らまして言ったわ。でも、アタシも頬を膨らまして、こう言っ たの。 「あ〜っ、シンジ君て、女心が分かってな〜い。も〜っ、鈍感ね。ふ〜んだ。」 アタシは、舌をペロッと出して、部屋に向かったわ。へへっ。これで、シンジは、アタシ のこと、可愛いって思うわよね。シンジったら、鈍いから、気が付かないわね、絶対に。 でも、そこで気付いたの。アタシの着替えなんて、置いてないじゃないの。さっき、スー パーで買い忘れちゃったのよ。 「あっ、まず〜い。」 アタシは、急いでお風呂に舞い戻ったわ。そうしたら、ちょうどシンジが裸になっていた 所だったの。あら、いやだ。シンジの芋虫さんが、見えちゃったじゃない。 「ごめんね〜っ。アタシの着替えが置きっぱなしだったの。」 そう言って、アタシは危うく洗濯しそうになっていた下着やらを、急いでかき集めたの。 その時、ブラが落ちて、シンジは顔を真っ赤にしていたわ。 「キャッ。」 アタシは、慌てちゃって、思わずコケちゃったの。そして、これまたお約束で、シンジに 抱きついちゃったのよ。これは、本当に偶然よ。嘘じゃないのよ。 (ドキッ、ドキッ、ドキッ…) シンジと裸で抱き合うのは、これで2回目だけど、1回目と違って体が温かいから、今回 は胸が早鐘のようにドキドキしたの。シンジもそれが分かったみたいで、真っ赤になって いるわ。 「シンジ君の胸、思ったよりも広いね。」 アタシがぽそりと言ったら、シンジは我に返ったみたい。 「あ、ごめんね。抱きしめちゃって。」 「嫌、シンジ君、ごめんなんて言わないで。アタシ達は恋人同士でしょ。だったら、どう 言えばいいのか、分かるでしょ。」 「ごめん。本当に何て言っていいのか、分からないんだ。」 「そんなの、簡単よ。女性が喜びそうなことを言えばいいのよ。そ、その、誉めてくれる と嬉しいんだけど。」 「えっ、誉めるっていうと、どう誉めればいいの?」 「そうねえ。シンジ君が、今アタシを抱きしめて、思いつくことを言えばいいのよ。何で もいいから。シンジ君は、アタシを抱いていて、どう感じるのか言ってみて。」 「えっ。あのっ、とても柔らかくて、あったかいなあって思うけど。」 「それでいいのよ。ありがとう。」 アタシは、シンジに素早くキスをしたわ。そして、シンジがあっけにとられている隙に、 着替えを抱えてシンジから離れたの。 「シンジ君、こんな時、あんまりごめんなんて言わないでね。アタシ、ちょっと悲しくな るから。」 アタシはにっこりすると、アタシの部屋となるべき部屋に向かったわ。そして、今度こそ 着替えたの。でも、ちょっと迷ったけど、上に着るのはシンジのTシャツにしたの。その 方が親近感がわくし、外で着ていたものを寝る時に着るのも嫌だったしね。 アタシは、シンジがお風呂に入っているから、安心してシンジの荷物を漁って、シンジの Tシャツを1枚拝借したの。まっ、恋人同士だから、これ位はと〜ぜんOKよね。 アタシは、上はTシャツ1枚、下は下着にホットパンツという姿になって、ミサトのいる リビングへと向かったわ。ミサトとは、大事な話もあるものね。 *** 「え〜っ、3人で寝るの?アスカはそれでいいわけ〜っ。」 ミサトは目を丸くしていたわ。何より、男嫌いで通っているアタシが、男と一緒の部屋で 寝ようって言うなんて、全くの予想外だったみたい。 「ねえ、ミサト。シンジ君は、エヴァに乗る訓練なんてしていないんでしょ。だったら、 今夜は怖くて眠れなくなると思うの。そんな時は、側に人がいると、眠れるんじゃないか しら。」 そう、最初が肝心なのよ。今夜、悪夢でも見て、シンジがエヴァに乗りたくないって言い 出したら困るもの。アタシは、ミサトにその辺の事情を説明したの。ミサトも、作戦部長 っていうのも伊達じゃなくて、直ぐに分かってくれたわ。 「まあ、アスカの言う通りかもね。いいわ。シンジ君がいいならそうしましょう。」 もっとも、さっきミサトがお風呂に入っている時に、シンジからはOKをもらっているけ どね。えっ、理由?あんな化物と戦って、怖いから一緒に手をつないで寝て欲しいって頼 んだのよ。シンジったら、鼻の下を思いっきり伸ばしてOKしたわ。 こうして、ミサトの家で初めて寝る今夜は、3人一緒に眠ることになったの。 つづく(第10話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカのシンジ救済計画は、順調です。果たして、いつまでうまくいくことでしょうか。  2002.2.26  written by red-x



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