新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ


第7話

 アタシは、玄関に向かって、元気に言ったわ。 「おかえりなさ〜い。」 その声を聞いて、ミサトはびっくりして、こちらを向いたわ。 *** 「いっただきま〜す。」 色々あったけど、アタシ達は、ご飯を食べることにしたわ。シンジには、前もって言い含 めておいたから、何も言わなかったし、ミサトもビールの山を見たら、目がハートマーク になって、大歓迎って感じだったわ。ミサトって、本当にビールに弱いわね。 「かんぱ〜い!」 早速ミサトはビールを飲みだしたわ。アタシとシンジは、ジュースで乾杯ね。でも、驚い たことに、シンジったら、たくさん食べるのよ。何でも、今までは、居候だったから、あ んまりお肉を食べられなかったんですって。だから、嬉しくって、ついつい食べちゃうっ て言うのよ。 アタシは、それを聞いて、涙がホロリとこぼれそうになったわ。シンジって、結構苦労し てきたのね。まあ、アタシの万分の一位だけど。 「シンジ君。お肉はたくさん買ったから、好きなだけ食べて良いわよ。」 そう言うと、シンジは本当に嬉しそうな顔になったわ。あらまあ、すき焼きで大当たりね。 それに、ミサトも食べること。普通は、1人当たり200gも食べれば良い方なのに、こ れは、出した分は全部食べ尽くしそうな勢いね。まあ、それでもいいけど。 実は、アタシって、大金持ちなの。理由は分かるわよね。ママの遺産が元々あったので、 それを元に財テクで稼いだのよ。ネルフの給料も多かったし。そうねえ、今じゃあ一億ユ ーロ以上、日本円にして、100億円以上の資産があるのよ。 だから、毎日豪華な食事っていうのも可能ってわけ。もちろん、無駄遣いするつもりはな いけどね。ミサトはアタシの財力をもって、ビールで買収することに決まりね。ドイツ時 代から、ミサトにはビールを奢りまくっていたから、ミサトはアタシに頭が上がらない筈 よ。もう、ここにシンジと住むのは、決定事項ね。 でも、そんなことを考えながらも、アタシはにこやかに食事をしたわ。やっぱり、食事は 楽しく食べなくっちゃ。シンジはお肉があって、ミサトはビールがあって、とっても嬉し そうで、思った以上に話が弾んだわ。 話題は、ドイツ時代のミサトの失敗談が中心になったわ。アタシの話も、少し混ぜたけど、 やっぱり、ミサトの行動って、結構笑えることが多いのよ。だから、アタシ達はその話で 大いに盛り上がったわ。 ミサトって、元々性格が良いし、ビールで機嫌を取っているから、気まずい雰囲気にはな らなかったわ。これがリツコだったら、夏でも木枯らしが吹いたかもね。この点はミサト に感謝ね。 皆で楽しく食べたら、1Kg出したお肉が、全部無くなっちゃったの。驚きね。シンジが 半分、ミサトが3割、アタシが2割ってとことかしら。 でも、アタシが用意したデザートのアイスクリームを二人とも平らげたわ。二人とも、大 食らいなのね。 コーヒータイムになって、アタシはミサトにこの家に住みたいって言ったの。そうしたら、 ミサトもシンジも目を丸くしたわ。 「あの、アスカ。悪いけど、シンジ君がこの家に住むことになっているのよ。」 ミサトは申し訳なさそうに言ったわ。でも、アタシはこう答えたの。 「あら、ちょうどいいわ。アタシが先輩として、色々とエヴァのことを教えられるわね。」 「でも、年頃の男女が同じ屋根の下っていうのも、まずいんじゃあ。」 「あら、何でまずいのよ。ねえ、シンジ君、あなた、女性を襲ったことでもあるの。」 「そっ、そんなこと無いよっ。」 「アタシがここに住むと、何か変なことをしちゃいそうかしら。」 「そ、そんなこと、しないよっ。」 シンジは、いきなりの質問に大慌てだったわ。 「じゃあ、問題ないじゃない。」 アタシは、ミサトの方を向いて言ったの。でも、ミサトは気まずそうな顔をしたわ。 「でもねえ。」 「アタシなら、襲われても大丈夫だから。」 「えええええええええええええええええええええっ。」 今度は、シンジが奇声を上げたわ。 「あっ、シンジ君、違うの。アタシは戦闘訓練を受けているから、普通の男の子だったら、 襲われても、簡単に撃退出来るのよ。」 「はははっ、そうだよね。」 あら。シンジが乾いた笑いを浮かべたわ。もしかして、アタシがOKしたら、エッチなこ とをするつもりなのかしら。ちょっと用心しなくちゃね。 「ま、とにかく、そういうことで。シンジ君はいいわよね。」 「う、うん。」 「ミサトも、そういうことで。」 「アスカ、あなたねえ。」 ミサトは困ったような顔をしたわ。 「駄目ならしょうがないわね。じゃあ、シンジ君。荷物のビールを運ぶから、手伝って。」 アタシがそう言って立ち上がったら、ミサトが慌てだしたの。 「ちょ、ちょっと、アスカ。ビールって、どこにあるのよ。」 「バルコニーに、10ケースあるの。まあ、本部の皆に振るまうわ。」 アタシがそう言うと、ミサトの顔色が変わったわ。アタシは、ここぞとばかりに、念を入 れて、『マインドコントロール』の力を使ったわ。ミサトがアタシの同居を認めるように ってね。 その効果は直ぐに現れたわ。アタシが超能力を使うのとほぼ同時にミサトがこう言ったの。 「でも、せっかく運んだビールをもう一度運ぶのも大変でしょう。ええいっ、分かったわ。 アスカはここに住んでもいいわ。」 「良かった。アタシ、ミサト以外の知り合いがあまりいないから、心細かったのよ。じゃ あ、これからよろしくね。シンジ君が運ぶのを手伝ってくれるなら、またビールは買って おくわ。」 「アスカ、サンキュー。」 ミサトは苦笑いを浮かべたわ。でも、ミサトって、何でこんなに酒に弱いのかしら。 こうして、アタシはミサトの家に住むことになったわ。シンジと一緒にね。これから、面 白くなりそうね。 つづく(第8話へ)

目次(目次へ)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカとシンジの同居生活が、早くも実現します。このままいくのか、それとも邪魔が 入るのか…。 2002.2.12  written by red-x