新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第１話あの長い予知夢の後、アタシは今後、何を目標に、どうすべきか、考えを巡らしていた。 目標は、優先順位の高い順に、自分の精神崩壊の阻止、サードインパクトの阻止、ゼー レの侵攻阻止、碇シンジの救済、加持リョウジの救済、ネルフの防御、といったところ か。 目標を達成するために、何をすべきかが重要だが、これには色々な選択肢や不確定要素 があり、このアタシでもかなり頭を悩ませることだった。だが、色々と考えるうちに、 押さえておくべきポイントは明らかになっていった。 自分の精神崩壊阻止については、あまり対策は必要ないだろう。なぜなら、未来を知っ た自分が、どう考えても同じ目に遭うとは考えられないからだ。ただ、唯一の不安材料 は、使徒の精神攻撃だ。もしかしたら、あれを受けるとアウトかもしれない。 だが、重要なのは、碇シンジだ。彼と初号機がサードインパクトの重要な要素である以 上、彼を救済する必要がある。彼を救済できたら、サ−ドインパクトの阻止、ゼ−レの 侵攻阻止といった目標の達成が、かなり楽になるのだ。 ゼーレの侵攻阻止については、各支部のＭＡＧＩの掌握、戦略自衛隊の掌握、ネルフや 使徒に関する情報の公開といった手段を併用する必要があるが、初号機が戦自相手に戦 えば、かなり勝つ確立が高くなる筈なのだ。 アタシは、自然と碇シンジを救済するため、また、自分の精神崩壊を阻止するために、 心理学を勉強することになった。 心理学を勉強するうちに、何故碇シンジがあのような状況になったのか、徐々に分かっ てきた。また、それを防ぐ方法も。彼は他人から必要とされたいのだ。だから、誰かが 彼を必要とすれば良いのだ。 アタシは、碇シンジの救済と、自分の精神崩壊の阻止と、初号機を思い通りに操るため と、３つの目的を同時に達成するのに最も有効と考えられる方法、アタシが碇シンジの 恋人になる方法を考えついた。 アタシが碇シンジの恋人になれば、彼はアタシの言うことを何でも聞いてくれる様にな るだろう。また、アタシも彼も、精神的に安定するに違いない。一石二鳥、いや三鳥と 言うべきか。 そこでアタシは閃いた。彼をアタシに夢中にさせるのだ。そうすれば、万事思う通りに なるではないか。ナ〜イス。アタシって、やっぱり天才ね。 ＊＊＊ アタシは、大学の友人知人にオトコの扱い方を片っ端から聞いていった。だが、皆大学 生なだけあって、体を使ってオトコを言う通りにさせる方法が多かった。３人ほどの友 人が、現場を見せてくれたが、物凄いショックを受けた。アタシはカエルじゃないし、 犬でもない。あんな変な格好をするのは嫌だった。 だが、多くの友人は、体だけではなく、巧みな会話との相乗効果によってオトコを操縦 していた。これは、かなり勉強になった。相手のオトコによって、効果のある言葉や仕 草などが違うからだ。相手によっては、正反対の効果になることもあり得るらしい。こ れは気をつけないといけない。 また、意外だったのは、多くの友人が、オトコが喜ぶその行為自体は嫌いだったことだ。 嫌な行為の最中はじっと我慢し、その後、オトコと一緒にくっついて寝たり、腕枕をさ れたりということが好きらしい。 理由を聞くと、痛いからとか気持ち悪いとか、人によって様々だった。その行為は、女 にとっては、決して気持ちの良いものではないらしい。もちろん、気持ちが良くて大好 きという友人もいたが、嫌いという者の方が多かった。アタシはどう転ぶか分からない が、なるべくならそんなことにならないようにしたいと思った。 アタシは、嫌ならやらなきゃ良いのにとも思ったが、オトコをつなぎ止めるためには、 全くやらないわけにはいかないらしい。色々と聞いていると、３回連続して断ると、さ すがに気まずくなるらしいのだ。 とは言っても、嫌なものは嫌らしく、友人の中には、いつも握り拳を作って、オトコを 殴ってやろうと思っている者もいた。もし、彼女が行為の最中に握り拳を作っていたら、 気を付けた方が良いだろう。あまり長く頑張ると、彼女に殴られるかもしれない。 アタシはまだ１３歳だから、５年後には覚悟しなければならないかもしれないが、今は 絶対に嫌だ。うまくはぐらかしてやろうと思う。幸い、碇シンジは気が弱いようだから、 ニコニコ笑いながら、『結婚するまでは我慢してね。』と言えば、素直に聞いてくれそ うな気がする。 こうして、アタシは碇シンジの攻略を中心とした『人類補完計画阻止大作戦』を立案し、 着々と準備を推し進めた。使徒が現れるまで半年位あったので、かなりの準備が出来た と思う。ネルフの各支部にも幾らかの協力者を確保し、来るべき日に備えて連絡を取り 合っている。後は、使徒が現れるのを待つだけだ。 「ママ、アタシは頑張るから、見ていてね。」 アタシの戦い、全人類の未来を賭けた戦いは、これから始まるのだ。
つづく（第２話へ） 目次（目次へ） ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき サードインパクトを防ぐ鍵は、やっぱりシンジでしょう。ですから、シンジを押さえる ことがアスカにとって最優先となります。アスカも、シンジのことがまんざらでも無いよ うです。加持については、ミサトの存在が分かったため、以前のようにアプローチをする ことは無いでしょう。 2001.12.31 written by red-x