新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第2話
2015年の5月中旬のことだった。アタシは、訓練を名目に、ドイツからエヴァン ゲリオン弐号機を輸送機で運び出すことに成功した。そして、一路第3新東京市へ向か っていた。行き先を偽ったため、後でお叱りを受けるのは間違いないが、もうすぐ、第 3使徒が現れるのだから、そんなことは言ってられない 「アスカ、使徒が現れたみたいよ。」 仲間の言葉に、アタシは拳を強く握った。人類の運命を変える日が来たのだ。 「アスカ、行くわよ!」 アタシは、気合を入れた。 *** それから数時間後、シンジが乗る初号機が、地上に現れた。自分が乗らなければ人類が 滅ぶと、半ば脅された、シンジの乗る初号機が。 「いいわね、シンジ君。」 「は、はい。」 「最終安全装置解除、エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ。」 初号機は、拘束を解かれ、ゆっくりと歩きだした。だが、バランスを崩し、倒れ込んだと ころ、使徒に左腕を掴まれてしまった。使徒が力を加えたため、初号機と同調しているシ ンジの腕に激痛が走った。と、その時…。 「ドスッ!」 使徒の背中に、巨大なナイフが突き刺さった。使徒は、初号機の腕を放し、背中のナイフ を抜こうともがいた。その隙に、シンジは使徒から離れることが出来た。 「ドッカァーン!」 その使徒めがけて、紅い巨体が蹴りを食らわせる。アスカの乗った、弍号機だった。超高 高度からスピードの乗った蹴りだ。使徒の体に穴があくと同時に、粉塵が舞い上がり、辺 りの視界が遮られた。 *** 「しめたっ。」 アタシは、自分の幸運に狂喜した。これで時間が稼げる。アタシは、使徒のS2機関を弐 号機に取り込むことにした。そして、粉塵が晴れようかという時、何とかS2機関の取り 込みに成功した。 「さあて、ミサトはいるわよね。」 アタシは、本部のたった一人の知り合いである、ミサトと話をつけることにした。そして、 発令所と連絡をとった。 *** その少し前、発令所では、てんやわんやの大騒ぎだった。使徒の背中に、巨大なナイフが 刺さったかと思うと、突然、使徒が爆発したように大きな音がして、辺りに粉塵が舞った からだ。 「リツコ、一体何が起きたの?」 ミサトがいち早く我に返ってリツコに聞いた。だが、リツコも、何が起きたのか分からず、 呆然としていた。粉塵は、まだ収まっていなかった。 「…ナイフを映すんだ。」 ゲンドウの低い声が聞こえてきた。マヤが素早く反応し、巨大なモニターにナイフが映っ た。 「こ、これは、プログナイフ。」 リツコの顔が引きつる。 「なんてこと、それじゃあ、あれは…。」 ミサトが言いかけたその時、モニターに、見慣れた美少女が映った。 「ハロー、ミサト。お久しぶり。」 その緊張感の無い笑顔を見て、発令所の皆が絶句した。 「使徒の反応、消滅しました。使徒殲滅を確認。」 だが、シゲルの報告が聞こえると、皆安堵した。 その時、皆からすっかり忘れ去られたシンジは、一人腰を抜かしていた。シンジが回収さ れたのは、それから1時間後であった。 *** 発令所に呼び出されたアスカは、質問責めにあったが、うまくかわしていた。一番の疑問 である、何故ここに来たのかという問いかけに、『ちょっと訓練を兼ねて近くにきたら、 使徒の出現を聞いたから。』といって押し通した。本当のことを言っても、誰も信じない からだ。 そして、1時間ほどしたら、『疲れたから、シャワー位浴びさせて。』と言って、発令所 を抜け出した。無論、しばらく放置されていたシンジが、帰還したのを確認したからであ る。 アスカがケイジに付いた頃、ちょうどシンジがエントリープラグから出て、降りてくると ころだった。そして、シンジは、心細そうにきょろきょろしだした。そんなシンジに、ア スカは元気に声をかけた。 「あなた、碇シンジ君かしら。」 シンジは、はっとした様子でアスカの方を向いた。心なしか、少し顔が赤くなったようだ。 アスカの発育の良い体を見たからか、それともアスカの美しい顔に見とれたのだろうか。 だが、それも束の間。シンジは小さな声で答えた。 「は、はい…。そうです。」 おそらく、アスカのことを、年上だと思ったのだろう。敬語を使ってきた。 (あら、シンジったら、緊張しているのね。さあて、最初が肝心ね。第一印象が勝負よ。) アスカは、内心意気込みながらも、そんなことはおくびにも出さず、ニコッと笑った。 「本日、わたくし、惣流・アスカ・ラングレーは、碇シンジ君に会うために、はるばるド イツから、このスーツを着てまいりましたぁ〜〜〜!!!」 そして、その場でクルンと一回転する。アスカの長い髪が、ふぁさっともちあがる。そう して、もう一度、満面に笑みを浮かべて、シンジを見る。 「え、ええっ。」 あまりの急な展開に、シンジは、その場で固まってしまった。
つづく(第3話へ) 目次(目次へ) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき アスカが主人公なので、最初っから出すことにしました。さて、アスカは、シンジをど うやって落すか考えた末に、霧島マナの真似をすることにしました。さて、その結果はい かに。 2002.1.8 written by red-x