新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第5部 仕組まれた戦争



第98話 対決!エヴァ対エヴァ

「なっ、…なんてことをっ!」 バグダッドを破壊していくダークグリーンのエヴァを見て、アスカは呆然とした。セカン ドインパクト以前には500万近い人口を誇ったこの中東の大都市には、未だに数百万人 のイラク人が住んでいるはずである。 そのバグダッドがガレキの山となりつつあるということは、数百万人の一般市民がガレキ の下に埋まって死んでいくということを意味するのだ。つまり、想像を絶する大虐殺が行 われていることになる。 「ん、どうしたのアスカ。」 アスカの背中から声がした。シンジである。 「奴ら、バグダッドで大虐殺を行っているのよ…。何の罪もない人々を相手にね…。酷い わ、酷過ぎるわ…。何とかしなくちゃ。」 アスカは涙交じりの声になっていたが、シンジは気付かなかったようだ。 「そうなんだ…。うん、酷いよね。」 などと言いつつも、両手でしっかりとアスカの胸をもみもみしていた。今、家にはアスカ とシンジの二人きりであるため、シンジは落ち込んで元気の無いアスカを慰めるフリをし ながら、胸を揉んだり体のあちこちを触ったりしていた。 アスカは、シンジに励まされると少しは気分が上向きになるため、手が危険地帯に行かな い限りは不埒な行為に目を瞑っていたため、シンジはここぞとばかりにエッチなことをし ていたのである。 さきほどまではそれでもまあいいかと思っていたが、イラクで大事件が起きた今となって はそうも言ってられない。早く行動を起こすべきなのだが、シンジは相変わらずアスカの 身体をまさぐっている。アスカは、そんな無神経なシンジにかなり頭に来たが、怒りを態 度には現さなかった。今はケンカをしている場合ではないと思ったからだ。 「こうしちゃいられないわ。シンジ、ネルフに行きましょうよ。」 アスカは、そう言って立ち上がった。だがやはりというか、シンジは非常に残念そうな顔 をし、動作は緩慢だった。このため、アスカはシンジの耳元で囁いた。 「ネルフに行ったら、続きをしてもいいわよ。だから、早く行きましょうよ。」 「えっ、ホント?」 途端にシンジの動きが素早くなった。 *** 「お待たせしました!」 アスカが呼んでから、ものの10分足らずで迎えが来た。アスカ達を迎えに来たのは、ジ ャッジマンの部下であり、普段は壱中の教師をしているレイリィ・芹香、25歳であった。 「いえ、ちょうど良かったわ。それじゃあ、アタシ達をネルフに送ってちょうだい。なる べく急いでね。」 「はい、分かりました。こちらへどうぞ。」 レイリィが先に歩き、アスカ達はその後を付いていった。アスカは、歩きながら聞いた。 「鈴原達はどうしてる?」 「はい、メルフェイスが向かっています。私とほぼ同時に着きましたから、今頃は到着し ているかと思います。」 「そう、ありがとね。」 メルフェイスはレイリィとおなじくジャッジマンの部下で、壱中の教師をしている。彼女 が向かっているなら大丈夫だろうと、アスカは安堵した。トウジとケンスケは彼女の車で ネルフに向かうはずだ。 マコトとリツコは休日出勤のため、今もネルフ本部にいるはず。カヲルも本部で待機任務 中のはずである。 「さあ、どうぞ。」 玄関前に車が止まっていた。レイリィはドアを開いてアスカとシンジを促す。 「それじゃあ、よろしく頼むわね。」 アスカが乗ると、続いてシンジが乗る。直ぐにレイリィは運転席に座って車を発進させた。 (ん!) 乗ると同時に、シンジの手がアスカの太股の辺りをまさぐり始めた。アスカは少し迷った 末に、シンジの手を掴んでショーツの中へと導いた。そして、あえてシンジにそっぽを向 いて、表情を読まれないようにした。そして、すぐさま本部へと電話をする。 「ああ、リツコ。アタシよ。バグダッドのことは知っているわよね。」 「ええ、さっき見たわ。スコピエの連中、ようやく本性を現したっていう感じね。」 「あんなことをする奴らは許せないわ。これから稼働可能なエヴァ3機をバグダッドに向 かわせて、スコピエの連中をバグダッドから追い出すわ。もちろん、シンジも出撃させる わ。」 ちなみに、現在稼働可能なエヴァは6機だ。海外に派遣しなかったエヴァ5機に、軽微な 損傷であるために稼働可能なエヴァが1機、合わせて6機となる。だが、万一の時の本部 防衛のために3機が待機することになっているので、事実上海外へ派遣可能なエヴァは残 る3機となる。 「あら、シンジ君を出撃させて大丈夫なの?本人は納得してるの?」 「えっ、シンジが納得しているかですって。その点は大丈夫よ。さっき前倒しでご褒美を あげたから。だから、絶対にシンジは断れないわ。」 アスカがそう言うと同時に、止まっていたシンジの手が動きだした。ご褒美ならば、もら えるだけもらってしまおうというつもりらしい。 「分かったわ。そのつもりで準備しておくわね。」 「傭兵部隊全部に非常召集をかけるように加持さんに言っておいて。それから、例の戦自 のトライデント型軽巡洋艦、あいつも用意しておいて。今回万一攻撃を受けたら、守りは 彼らを中心にするわ。」 「ええ、分かったわ。3機全部用意すればいいのね。」 「それじゃあ、よろしくね。」 そこでアスカはいったん電話を切ったが、それからも次々と電話をかけまくって指示を出 していった。 *** ネルフに着くなり、シンジは頬を膨らませて怒りだした。 「アスカの嘘つき。ネルフに行ったら続きをしてもいいって言ったのに。」 だが、アスカは構わずアスカルームへと向かった。もちろん、シンジも文句を言いながら 着いていく。そしてアスカルームへと入った時、アスカは鍵を全てロックした。驚くシン ジにアスカは手を合わせてお願いした。 「お願いよ、シンジ。バグダッドに行ってちょうだい。今奴らを止めないと、バグダッド と同じことが全世界で起きるかもしれないのよ。だから、お願い。」 だが、シンジは頬を膨らませたままだった。 「そんなこと言ったって。アスカは嘘つきじゃないか。嘘をついて僕をここに連れて来て さ。そんなアスカの言うことなんてきけないよ。」 アスカは、シンジの言葉を聞いて思いっきり殴りたくなったが、寸前でとどまった。ここ は一応下手に出た方が良いと判断したからだ。 「嘘は言ってないわ。ここで30分だけ続きをしてあげる。バグダッドに行くなら、こっ ちに来てよ。」 アスカは仮眠用ベッドに潜り込むと、もぞもぞし始めた。 「えっ、何をしてるの。」 近寄るシンジの顔に、何かが当たった。 「あっ!」 良く見ると、それはアスカのシャツだった。そしてスカート、ブラ、ショーツの順にシン ジめがけて飛んできた。 「シンジ、あと29分よ。早くしないと時間が無いわよ。」 「わ、分かったよ。」 シンジは大急ぎで服を脱ぐと、ベッドに潜り込んだ。 「シンジ、分かっていると思うけど、最後までは駄目よ。それ以外なら、大抵のことには 目をつぶるわ。だから、…分かっているわね。」 「う、うん。分かったよ。」 シンジは、アスカの胸にむしゃぶりついた。 *** それから1時間後、シンジはいやにスッキリとした表情でエヴァに乗っていた。そんなシ ンジを、アスカは頬を膨らませながら睨み付ける。 「まったく、この非常時に。30分って言ったのに、10分もオーバーしたじゃない。」 「ごめんよ、アスカ。」 謝るシンジだが、妙にニコニコしている。 「それに、いつあんなことを覚えたのよ。スケベなことを覚えるのだけは、上達が早いわ ね。そういうのはね、もっと別の方面に活かしなさいよね。」 「分かったよ、努力するよ。」 シンジはなおもニコニコしている。 「あんたっていう奴は…。ケホ、ケホ、ケホ…。」 しゃべっている途中で、アスカは突然咳き込み始めた。そして、喉を押さえた。 「あの、やっぱりさっきのアレのせいなの?」 シンジは心配そうにアスカを見る。対するアスカは眉を吊り上げてシンジを睨む。 「あったりまえでしょ。あれから喉が痛いのよ。それに吐き気もするし。アンタねえ、エ ッチなビデオの見すぎじゃないの?」 「ごめんね、アスカ。ついつい、調子に乗っちゃって。」 シンジは俯く。そう、シンジは調子に乗って、アスカに人前ではとても口に出しては言え ないようなことをしてしまったのだ。何をしたのかは、二人だけの秘密である。 「よく覚えておきなさいよ。女の子はねえ、乱暴に扱っちゃだめなのよ。もっと優しくて いねいに扱うの。それにねえ、人に見られるところにこんな目立つものはつけないの。」 アスカは首筋を指した。そこには、くっきりとキスマークがついていた。もちろん、さき ほどシンジがつけたものだ。 「でもさ、絆創膏か何かでごまかせないの。」 「そんなんでごまかせるのは、アンタみたいな鈍い奴だけよ。女の子同士だったら、一発 で分かっちゃうわ。まったく、どうしてくれるのよ。」 アスカは、未だに怒りが収まらないようでプリプリしている。シンジは形勢が不利と見る や、話をそらそうとした。 「あの〜、アスカ。急ぐんじゃなかったの?」 「はっ。そ、そうよ。まったく、アンタのせいで貴重な時間を無駄にしちゃったじゃない。 一体、どうしてくれんのよ。」 そう言いながら、アスカは少し青くなってエヴァの出撃準備をすすめていった。 *** シンジ達がバグダッドに到着したのは、現地時間で翌朝の7時頃だった。スコピエ同盟諸 国の近辺を避けたことで遠回りをしたのと、輸送機の整備状況が万全では無かったために 速度を落としたことから、思った以上に時間がかかったからだ。 だが、時間がかかったのは悪いことばかりではなかった。バグダッドでの大虐殺に脅威を 感じた諸国を焚きつけて、エヴァンゲリオンによる一般市民の虐殺行為を禁じる国連決議 を行うことに成功したのだ。そして、ネルフのエヴァはスコピエのエヴァを捕らえる任務 を与えられることになったのだ。 ちなみに、今回の作戦に参加しているパイロットは、シンジ、カヲル、ハウレーン、マリ ア、ミリアの5名である。いずれもゼーレとの戦いを経験している者達だった。現在のネ ルフでは、最高の戦力である。今はシンジ、カヲル、ハウレーンの3人がエヴァに乗って おり、マリアとミリアが輸送機内で待機している。 対するスコピエ、というよりはゼウスのエヴァは4機だった。数の上では少ないが、パイ ロットの質が違うのでシンジ達が負ける要素は無い。しかも、まさかシンジとカヲルとい う、本部の2強パイロットが来るとは思っていないため、ゼウスのパイロット達は油断し ていた。 そのうえ、シンジの士気は非常に高かった。アスカは、エッチなことをするとシンジが頑 張ると誤解しているが、実際はそうではない。確かに、シンジは人並みにはエッチだが、 並外れてエッチという訳ではない。もしそうならば、アスカはとっくに妊娠しているはず だ。 シンジが頑張るのはエッチなご褒美が欲しいからではなく、愛しいアスカの笑顔を見たい ためと、アスカに誉めてもらいたいからである。もちろん、アスカのことを心から愛して いるからなのだ。 今回、アスカがシンジにエッチなご褒美を与えたことにより、シンジは戦いに勝利すれば アスカが本当に大喜びすることが分かったし、自分は誉めてもらえると考えていた。その ため、シンジはかなり気合が入っていたのである。 「みんな、行くよっ!」 シンジの号令で、戦闘が開始された。シンジのエヴァは他のエヴァよりもかなり先行し、 先頭に立ってゼウスの エヴァに襲いかかった。最初にシンジのエヴァとゼウス部隊の隊 長であるニコリーナのエヴァが激突した。 スマッシュホークが一閃し、ATフィールドを簡単に中和されたニコリーナのエヴァは、 なすすべもなく斜めに真っ二つになった。これで3対3になった。隊長対決は、シンジの 圧勝である。だがこれで、ゼウスのエヴァは強敵と対峙していることに気付いてしまった。 「カヲル君は右を。ハウレーンさんは左の奴をお願いします。僕は、正面のエヴァを叩き ます。」 「ああ、分かったよ。」 「了解した!」 圧倒的勝利に驕ることなく、シンジは冷静に指示を下した。シンジに指示に従い、ハウレ ーンはラビナのエヴァに戦いを挑んだ。互いの武器は共にソニックグレイブであったため、 何度か小手調べの打ち合いをした。 カヲルは、イリスのエヴァと対峙した。こちらは共にスマッシュホークを手に、何度か刃 を交わしたが、徐々にカヲルが押していった。 シンジはケヴィンのエヴァである。こちらも共にスマッシュホークを手にしていたが、ニ コリーナが簡単に倒されるのを見たケヴィンが防戦に徹していたのに対し、シンジは積極 的に攻めていった。 無論、シンジやカヲルに勝てるパイロットがいるはずもなく、ラビナも百戦錬磨の戦士で あるハウレーンに次第に押されていった。 10分後にはケヴィンのエヴァが倒され、エントリープラグを抜き出された。15分後に はイリス、20分後にはラビナのエヴァが倒された。こうして、シンジ達のエヴァが完全 勝利を手にしたのである。 その後はアスカの指示に従い、スコピエ軍の武装解除を勧告した。幸いエヴァに攻撃を仕 掛けて来る無謀な兵士はいなかったため、武装解除は順調に行われた。これには、遅れて やって来た本部と各支部から集めた傭兵部隊、およそ1000人が対応した。 武装解除が済んだ兵士達は飛行場に集めて、国連の輸送機でサウジアラビアへと移送した。 イラクに残しておくと、イラク民衆によって殺害される恐れがあるからだ。だが、この時 に不手際があった。エヴァのパイロットをいつの間にか逃してしまったのだ。 アスカは最優先でエヴァのパイロットを探し出して、身柄を拘束するように指示していた のだが、現場が混乱していたためにアスカの指示は徹底されなかったのだ。 その後は政治の世界である。ゲンドウの工作によって、スコピエと国連との間に休戦協定 が結ばれた。そしてネルフに有利な条件が多数盛り込まれ、イラク、イラン、アフガニス タン、トルクメニスタンそしてクウェートの5か国は国連直轄領となった。これにより、 スコピエの国力は2割近く落ちることになったのだ。 こうして、ゼウスの失策により、ネルフ存亡の危機は去った。それどころか、再び国連軍 の中核としての地位を取り戻したのである。しかもスコピエの国力も落ちて、脅威はやや 小さくなった。 だが、アスカには分かっていた。平和は長くは続かない。近いうちに、再び戦火が世界を 襲うことを。 (第98.5話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジはエッチですが、ここぞという時はやはり頼りになります。 2005.3.11  written by red-x



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