「今こそ、立ち上がる時だっ！」 「「「「おおっ！」」」」 シリアの首都ダマスカスで、軍の幹部が気勢をあげた。長い間練りに練った計画を実行す る時が来たのだ。その場にいた軍幹部らは、杯を酌み交わした後それぞれの任務を果たす ため、足早にその場を去って行った。 そして、その計画はほどなく決行された。シリアの各地で軍隊が蜂起し、要所要所を制圧 していったのだ。大統領府、国会、主要空港、マスコミ、その他重要拠点が次々と制圧さ れていった。 シリア全土に戒厳令が敷かれ、報道管制が行われた。そしてほどなく、首謀者の将軍の姿 がテレビに映し出された。 「シリア国民のみなさん。私は、トルコに賛同してイラクに攻め入ることをここに宣言す る。皆さんもよくご存じの通り、前政権は国連軍のイラク侵攻に反対した。その結果どう なったか。トルコを始めとする国々で爆弾テロが多発し、わが国でも多数の死者が出た。 こんなことが許されていいのか！悪魔の帝国をのさばらせてもいいのか！イラクに膝を屈 した前政権、腰抜けの国連、惨めに撤退したネルフ、奴らにはもう任せてはおけないのだ。 今こそ心ある者が共に立ち上がって、世界を平和に導くのだ！ トルコ、マケドニア、ギリシャの３国は、世界平和のために立ち上がった。だが、イラク は強い。このままでは正義が負けるかもしれない。それでもいいのか！我々も彼らに続こ うではないか。悪の帝国を滅ぼして、共に世界の平和を守るのだっ！」 その将軍の演説は、シリア国民に熱狂的に受け入れられた。こうして、シリア軍がイラク に攻め入ったのである。 だが、事はそれだけにとどまらなかった。イラク周辺の諸国でも同様の現象が起きていた のだ。 イスラム教国では、トルコの働きかけによって、パキスタン、ウズベキスタン、タジキス タン、アゼルバイジャン、ヨルダン、アルバニア、ボスニアなどで同様なクーデターが発 生していた。 キリスト教国においても、ギリシャやマケドニアの働きかけによって、アルメニア、グル ジア、ブルガリア、ルーマニアなどでクーデターが発生した。 また、イスラエルにおいてもクーデターが発生した。 そして驚くべきことに、それらの諸国の首脳が数日のうちにマケドニアの首都スコピエに て一同に会し、イラク打倒を誓うとともに、世界平和を構築するための新たなフレーム作 りを宣言したのだ。 その内容は、それら諸国はマケドニア、トルコ、ギリシャの３国のいずれかと連邦国家を 結成し、さらにその３つの連邦国家で軍事同盟−スコピエ同盟−を結ぶというものだった。 トルコ連邦は、シリア、ヨルダン、ルーマニアなど旧オスマントルコ領を中心に連邦国家 を結成した。打倒したイラクも加える予定である。 ギリシャ連邦は、アルバニア、キプロス、レバノン、イスラエルなど地中海沿岸諸国を中 心に連邦国家を結成した。 マケドニア連邦は、パキスタン、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トル クメニシタンなどアレクサンドロス大王が支配した地域を中心に連邦国家を結成した。 こうして、僅か数日のうちに世界地図と世界情勢が激変したのである。 （世界地図）
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あとがき
一矢報いたものの、ゼウスの世界征服は着々と進んでいきます。果たしてネルフの運命
は？イラクはこのまま滅びるのか？戦争の行方は？アスカは負けたまま引き下がるのか？
2004.11.11 written by red-x