新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第76.5話 マナの涙

「え〜っ!シンジが研修生達に襲われそうになったって〜っ!どういうことなのよっ!」 「ま、待ってよ、マナ。僕だってはっきりとした情報は掴んでいないんだから。」 首を絞められて、ケイタは苦しそうである。 「襲われそうになったって言っても、女の子に色仕掛けで迫られたらしいんだ。」 「ぬあんですって!ちょっと、どういうことなのよっ!!誰よ、そういう卑怯な真似をす る奴はっ!!!」 マナだって、同じことをしたのにと、うっかり口を滑らせそうになって、寸前でケイタは 堪えた。このため、危うく命拾いをする。そして、知っている限りの情報を話した。 「あ〜あ、やっぱりシンジったら、人気が高いんだ。アスカだけじゃなくって、他の女の 子からも狙われているなんて。アスカだって正面切っては戦えないけど、他の研修生の女 の子達だって、みんなスタイルはいいし、美人も多いし、勝負にならないよお。どうすれ ばいいのよ。」 マナは、いずれアスカがシンジを見限るものと考え、その時に全てを賭けるつもりでいた。 アスカは、明朗快活、スポーツ万能、容姿端麗、頭脳明晰で、そのうえ資産家らしい。さ らにはネルフの広報部でチーフとして一人前以上に働いていると聞いており、世界規模で のスーパーアイドルにもなっている。あらゆる面で、マナはかなわないと考えていた。 だが、長所と短所は紙一重。そんなスーパー美人のアイドルを世間がほっておくわけがな い。きっと、世界中の素晴らしい紳士が、アスカを求めてやってくるはずなのだ。 億万長者も足元に及ばないような資産家、超一流の世界的なスポーツ選手、大国の若手の 有能な政治家、一国の王子や貴族、そういったマナから見れば雲の上の人達が、アスカに はふさわしいと考えていた。 そんな人達と比べると、シンジはさすがに見劣りするのは間違いない。あと5年もすれば、 アスカはお婿さん候補がよりどりみどり。いずれ、シンジよりも礼儀正しく性格も良く、 洗練された品性を持つ紳士達とシンジは見比べられることになる。 しょせん、アスカがシンジとくっついているのは、周りにシンジよりも良い男がいないだ け。シンジよりも素敵な紳士が大勢現れれば、アスカもシンジを見限るものとマナは考え ていた。 だが…。 「もうっ、これじゃあアスカがシンジを見限っても、私にチャンスはめぐって来ないじゃ ない。どうしよう…。うっ、うううっ…。」 ついにマナは泣き出してしまったが、ケイタにはどうすることも出来なかった。 (第77話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  マナちゃん。根はいい子で可愛いんですが、好きになった相手が悪かったようです。  2003.6.21  written by red-x