新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第70.5話  ため息

「はああっ、まいったなあっ。」 マナは、深いため息をついた。結局、連休中はシンジに会えずじまい。一度は良い雰囲気 になったシンジだが、今では遠い存在に感じる。 「テリー君達の協力も得られそうにないしなあ。」 そう、例の一件がリョウジの耳に入り、マナはリョウジからやんわりと注意を受けてしま ったのだ。それ以来、テリー達とは連絡が取れない。学校で見かけても、テリー達は逃げ てしまうのだ。おそらく、アスカの差し金だろうとマナは思っていた。 せっかくネルフ内の情報源を得たと思ったのに、これでは一からやり直しなうえに、シン ジの情報を得られる術が無い。これでは、ますますシンジは遠のいてしまう。 「何とかネルフに入れないかなあ。」 そう思って、一度リョウジに頭を下げたのだが、『おいおい、勘弁してくれよ。アスカに 怒られちゃうよ。』と言われてしまった。 「ムサシとケイタは役に立たないしなあ。」 そう、二人ともエヴァの研修生ではないため、ネルフ内でもシンジとは会った試しが無い という。もちろん、研修生達のスケジュールについても極秘扱いである。スケジュールを 管理している人に聞いてみてと頼んでみたものの、その相手がアスカだと知ってさすがに 諦めた。 「何か良い方法は無いかなあ。」 マナはベッドに転がっていたが、良い考えが浮かぶ分けが無く、少し滅入っていた。 ***  一方、テリーとニールも同じような状況だった。 「あ〜あ、参ったよなあ。アスカちゃんに嫌われちゃったかな。」 テリーが呟くと、ニールも力なく答えた。 「そりゃそうだ。俺達は碇シンジを呼び出して、霧島さんと二人きりにしたからな。伊吹 さんの話だと、アスカちゃんは物凄く怒っていたらしいよ。」 「ああ、伊吹さんが怖くてアスカちゃんに近寄れないって言っていたもんな。俺達がどん な風に思われているのか、予想はつくよな。」 「「失敗したな〜。」」 後悔してため息をついても、もう遅かった。この一件で、二人は正副パイロットのいずれ にもなれないことが確定してしまったようである。 そこに、イギリス支部のイライザとアニーがやって来た。 「あら、ニールにテリー、浮かない顔してどうしたの?」 「ああ、アスカちゃんに嫌われちゃったんだよ。あ〜あ、参ったなあ。」 イライザの問いかけに、ニールが応えた。 「そう、でも惜しかったじゃない。まあ、シンジ様と霧島さんを一緒に閉じ込めるってい う作戦は気に入らないけど、アスカとシンジ様を引き離すのが先決のようね。」 「そうだけど、何か良い方法はねえかなあ。」 「う〜ん、難しいわね。アニーはどう思う?」 「良い方法は無いわね。ってことより、そんなことするの、止めましょうよ。私は、シン ジ様に嫌われるのは嫌だし。」 「あ〜あ、あんな奴のどこがいいのかね。」 テリーの頬がむくれる。 「「そんなことも分からないの!?」」 イライザとアニーがハモって言った。だが、分からないものはしょうがない。テリーとニ ールは、揃って頬を膨らますのだった。 (第71話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2003.3.24 written by red-x



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