新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第64.5話 定例中隊長会議

 月曜日の夕方、ジャッジマンは、各傭兵部隊の中隊長を招集した。 本部の機動部隊は、ジャッジマンの部隊1個中隊、レッドアタッカーズ2個中隊、ワイ ルドウルフ1個中隊、ヴァンテアン1個中隊の、計5個中隊である。 それぞれの責任者は、ジャッジマン、レッドウルフ、マリア、ハウレーンが務めている。 だが、レッドウルフは特殊任務を行っているため、滅多にこのような打ち合わせには出 てこないため、代わりに、アリオスとマックスが出席していた。 2人ともジャッジマンの部下であり、『サグ』のメンバーであるが、レッドアタッカー ズの代表者がレッドブルという男に代わり、そのレッドブルが『サグ』の傘下に入るこ とを決めたため、2人はレッドアタッカーズのネルフ駐留部隊の中隊長になったのであ る。 「さて、各自、部隊の状況を報告してくれ。最初はアリオスだ。」 「はい。では、私から報告します。我が部隊は北部を守っていますが、不法侵入者をこ の1週間で597人発見、拘束しました。その大半が惣流アスカ目当てであり、説教し たうえで釈放しました。」 「ふうむ、多いな。次、マックス。」 「はい。私の部隊は、西部を守っていますが、不法侵入者をこの1週間で367人発見、 拘束しました。こちらも、その大半が惣流アスカ目当てでした。」 「次、マリア。」 「はい。私の部隊は南部を守っていますが、不法侵入者をこの1週間で256人発見、 拘束しました。こちらも、その大半が惣流アスカ目当てでしたが、一部他国の諜報員が いたため、尋問中です。」 「次、ハウレーン。」 「はい。私の部隊は東部を守っていますが、不法侵入者をこの1週間で296人発見、 拘束しました。こちらは全員厳しく尋問中です。」 それを聞いた全員が苦笑する。ハウレーンは、まじめで融通がきかないため、少々注意 して釈放しても良いような者まで厳しく尋問してしまうのである。 「分かった。では、特に大きな問題は無いということでいいな。」 「「「「はい。」」」」 こうして、定例中隊長会議は、特に問題なく終わった。 「ねえねえ、少しお茶しない。」 会議の後で、マリアがみんなに声をかけたが、やっぱりと言うか、ハウレーンが反対した。 「そんなことをしている暇があったら、訓練すべきだろう。」 だが、今日はマリアも食い下がった。 「でもね、アスカから頼まれ事があるのよ。だから、作戦会議っていうことでお願いでき ないかしら。」 「ううむ、そういうことならしょうがないか。」 ハウレーンは、シンジとアスカの言うことなら、割合素直に聞くことが多かった。だから、 マリアはそれを利用したのだ。 *** 「ねえ、新しい研修生のことなんだけど、何かギスギスしていないかしら。」 マリアの問いかけに、ハウレーンを除いて頷いた。 「何か、みんなが仲良くなるような方法はないかしら。」 次のマリアの問いかけには、みんな、首を捻るばかりである。 結局、1時間ほど話したが、妙案は浮かばなかった。そこで、何か問題が起きそうな兆候 があったら、直ぐにお互いに連絡を取り合おうということとなった。 後は、第3新東京市に、ゼーレの残党が入り込まないようにするにはどうしたら良いか、 テロを防ぐにはどうしたら良いのかという話に終始した。 一応、現在の第3新東京市は、テロ対策を理由にして、他都市からの流入を制限しており、 市内に正規ルートで入るには、身分の明らかな者でもかなり厳しい制限がある。事実上、 ネルフ関係者以外は入り込めないようになっていた。 これは、エヴァンゲリオンのパイロットの保護を名目にしているが、実際には、アスカや シンジ目当てでやってくる観光客やファンの締め出しが主目的である。 おかげで、不法侵入者は後を絶たないが、それを理由にして、さらに警戒を厳重に出来た りもしている。 だが、その反動で、なんとなく閉塞感があり、息苦しい感じがするのだ。そのため、研修 生達もカリカリしだしているのだ。 「何も起きなきゃいいんだけど。」 マリアは呟いたが、平穏無事な状態は、そう長続きはしないのであった。 (第65話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2002.12.15 written by red-x