新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第87話

「えっ、ゲームなんてどこにあるの?」 ヒカリが首をかしげたわ。まあ、確かにそう思われてもしょうがないわね。アタシが指し 示した場所には、ドアがあるだけだったから。 「あのドアの向こうに最新式のゲームがあるのよ。面白さはアタシが保証するから、やり ましょうよ。」 アタシはそう言いながら、先頭をきって歩き出したの。 「どうする?」 「最新式のゲームやろ。おもろそうやんか。とにかく、やってみて損はないと思うで。」 「そうだな。物は試しって言うし、やってみようぜ。」 「どうする、ユキ?」 「惣流さんがその気ですから、やりましょうよ。」 「はあっ、しょうがないわね。」 なんて会話があった後、みんなもアタシに続いてドアをくぐったの。 「はい、みんな。テーブルの上のものを取ってね。」 テーブルの上には、銃とヘルメットが置いてあったわ。 「おっ、これは銃じゃないか。」 「なんか、おもろそうやな。」 「シューティングゲームかな。」 男共は、なんか期待満々っていう感じね。 「えっ、シューティングゲームなの?私、得意じゃないのよね。」 「私もそうです。どうしましょうか。」 んもう、ヒカリ達はやる気がイマイチね。本当にしょうがないわねえ。アタシは、そっと ヒカリに近付いて耳打ちしたの。 「ヒカリ、これもペアを組んでやるのよ。」 「えっ、そうなの。じゃあ、やるわっ。」 もう、ヒカリったら現金ねえっ。 「それじゃあ、私だけやらないっていう訳にはいかないですよね。」 あら、ユキも物分かりがいいわね。よしよし。アタシは、そこで手を大きく叩いたわ。 「これから、ゲームの説明をするわよ。いいかしら?」 みんな、こくこく頷いたわ。よしよし、ちゃんと聞いてるわね。アタシは続けて説明した わ。 「これから3組に別れて戦うの。武器はその銃よ。普通のゲームと違って、撃てば相手が 倒れるわけじゃなくて、敵の弱点に当てないと駄目なのよ。でも、弱点以外に当てても、 敵の動きが鈍ることになるから、その点は忘れないでね。」 再び、みんながこくこく頷いたわ。 「それから、このゲームの大きな特徴なんだけど、勝ったチームは次のゲームから少し動 きが鈍くなるのよ。逆に、負けたチームは少し動きが早くなるの。これは絶対に忘れない でね。」 「ほんまかいな。続けて勝つのはアカンちゅう訳か。」 「でも、面白そうだな。負けても、次は勝てるかもしれないっていうことだよな。」 「ずうっと負け続けはないんだね。良かった。」 約1名が、後ろ向きの思考をしているけど、今はあえて無視よ。 「それから、最初に全滅したチームは2千点、次のチームは5千点、最後まで残ったチー ムは1万点のポイントがもらえるわ。でも、それ以外に敵を1体倒すと千点、残弾数や全 滅するまでの時間に応じてポイントがもらえるわ。ルールはそんなところね。」 「よっしゃあっ!イインチョ、やったるでえっ。」 「うん、頑張ろうよ鈴原。」 「森川、俺はこういうゲームは得意だから、フォローは任せろよ。」 「はい、お願いします。足を引っ張りそうですけど。」 「大丈夫さ。気にするなよ。」 「アスカ、大丈夫かなあ。」 「アタシが付いてるのよ、泥船に乗った気でいなさい。」 「アスカ、大船じゃないの?泥船じゃあ、沈んじゃうよ。」 「うっさいわね。男でしょ。細かいことは気にしないのっ!」 こうして、各ペアはそれぞれ個室に入っていったの。そこに立体映像が浮かんで、臨場感 満点の効果が得られるのよ。 「じゃあ、始めるわよっ!」 アタシの声を合図に、ゲームは始められたわ。 *** 「アスカ、敵の姿が見えないよ。どうすればいいの?」 「頭を低くして。むやみに立ったらだめよ。」 最初のゲームは、第3新東京市を舞台にしたわ。今のところ、ビルが邪魔になって敵の姿 が見えないの。それで、シンジが少し不安になっているのよ。 「うん、分かったよ。」 シンジは、腰をかがめながらゆっくりと歩き出したの。そしたらね、赤い零号機の姿をし たユキとバッタリ出くわしちゃったのよ。 「うわああっ!」 シンジは目茶苦茶に銃を乱射したわ。もちろん、ユキも同じだったけどね。それでも、運 が良かったのか、ユキの弱点にシンジの弾が命中したの。 「きゃあっ!」 ユキは尻餅をついたわ。そして、あえなくゲームオーバーになったのよ。 「やったな、シンジ!覚悟っしろっ!」 でもね、そこに青い零号機姿の相田が現れて、シンジにたっぷりと仕返ししたわ。 「うわあっ!」 それで、シンジもあえなくゲームオーバーよ。 「ちっ!」 アタシは舌打ちして、ビルの合間に姿を隠したわ。シンジったら、もう少し役に立つと思 っていたのにね。 「おい、惣流。隠れてないで、姿を現せよ。」 ふん、そうはいかないわ。今、アンタを倒すよりも、ヒカリ達を倒した方がポイントが高 くなるはずだもの。先にヒカリをやらせてもらうわよ。アタシは、ビルの谷間を迂回して、 ヒカリのチームの後ろに回り込むことに成功したの。 「ごめんね、ヒカリ。勝負の世界は厳しいのよ。」 アタシは、無防備に後ろ姿を晒した、赤い初号機姿のヒカリに向かって、必殺の一撃を食 らわせたの。 *** 「へへへっ、やっぱりアタシ達の大勝利ね。」 アタシは胸を張って言ったわ。結果は、アタシ達がダントツの1位よ。アタシの大活躍で、 1度も最初に全滅しなかったおかげなの。最初に全滅したのは、どちらかというとヒカリ のチームが多かったわね。 だから、ヒカリのチームが3位なのよ。2度続けて最初に全滅して、次は最後まで残って、 そんなことの繰り返しだったようね。 ユキのチームは、ヒカリのチームが最後まで残った時は最初に全滅していたけど、それ以 外の時はアタシのチームと結構張り合っていたわ。 「参ったなあ。俺はこの手のゲームには自信があったんだけどなあ。」 相田は凄く残念そうな顔をしていたわ。でもね、シンジとユキのレベルは似たり寄ったり だから、アタシと相田の勝負になるでしょ。でも、アタシと相田の一騎討ちになったら、 アタシがいくら動きが鈍くなっていても負けるはずがないのよね。そう、全然レベルが違 うもの。アタシの圧勝になる訳よ。まあ、プロとアマの違いっていう奴ね。 「ワイらは完敗やな。」 「ごめんね、鈴原。足を引っ張っちゃって。」 「そんなこと、あらへん。ワイが未熟やったんや。」 ヒカリ達は、完全に二人の世界に入っているわ。まあ、これはこれでいいけどね。二人の 仲が進展するなら、大歓迎だわ。 「あ〜あ、僕は全然いいとこなしか。」 シンジはすっかり肩を落としていたわ。でもね、上手く出来なくて負けて悔しいっていう 気持ちがあるのはいいことだわ。その気持ちをバネにして頑張ればいいんだもの。 「シンジ、自分の実力が良く分かったでしょ?今日はゲームだったから良かったけど、本 番だったら死んでるのよ。」 「うん、分かってるよ。でも、どうしたらいいの?」 「とにかく、訓練するしかないわね。それに、絶対にアタシの指示に従うこと。それは身 に染みて分かったでしょ。」 「う、うん。」 そう、今日のシンジは独断先行してやられることが多かったわ。でもね、それじゃあ駄目 なのよね。やっぱり、チームワークが重要なのよね。それは、訓練することでしか身に付 かないのよ。 本当は、シンジにバスケかサッカーをやってもらいたかったのよね。テニスじゃ今一つチ ームワークは身に付かないもの。でも、シンジが嫌いなことをやらせても逆効果になる恐 れがあるから、しょうがなかったんだけどね。 それで、アタシはゲームを通じてチームワークを身に付けさせようって考えたのよ。その ために、ヒカリやユキを巻き込んだの。 これはトップシークレットなんだけど、ユキ以外はチルドレンの候補生なのよ。だから、 将来本当に一緒に戦う可能性があるのよ。だから、一緒に訓練して、チームワークを養う のはシンジにとってかなりプラスになるはずだわ。 シンジだって、鬼のように怒るアタシと二人で訓練するよりも、仲間同士で和気あいあい と訓練した方がいいと思うのよね。少なくとも最初のうちは。 みんなでゲームをするのは、シンジの訓練になるし、チームワークを身に付ける練習にな るし、将来仲間になるかもしれないヒカリ達の訓練にもなるし、アタシとシンジの仲が深 まるし、一石三鳥、いや四鳥にもなるのよ。 だから、明日にはこのゲームを相田達が良く行くゲームセンターに設置して、月曜日から は毎日のようにこの6人で通うようにするわ。そして、シンジを一人前のパイロットにす るのよ。 ふふふっ、アタシの作戦に抜かりはないのよ。 つづく(第88話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  今回の旅行で、アスカの真の目的が明らかになりました。3組のペアを作って、ゲーム に模した訓練をするためだったのです。しかも、シンジの腕前をあげるだけでなく、チー ムワークを身につけさせようというもの。上手くいくといいですね。 2003.9.28  written by red-x



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