新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第81話

「きゃあっ!チカンよ〜っ!」 再びヒカリの大声が聞こえてきたわ。ふふふっ、面白そうだから行ってみようっと。おっ と、タオルも余分に持っていかないとね。 *** 「もうっ!エッチ!チカン!スケベ!」 「覗きなんて、酷いですよ〜っ!」 あらあら、露天風呂では大騒ぎが続いているようね。少し離れたここでさえ、大きな声が 聞こえてくるもの。 「ちょ、ちょっと待ってえや。ワイらは男湯に入ったんや。」 「そ、そうだよ。覗くつもりなんてなかったんだよ。」 「じゃあ、何でここにいるのよっ!」 「そうですよっ!おかしいですよっ!」 ふんふん、やってるわね。でも、アタシが出て行く前に確認しておかないとね。胸も腰も 青いタオルで巻いてあるし、濡れていても透けていないわね。これならよしと。それに、 ヒカリとユキの分のタオルもあるわね。さあて、そろそろ声をかけようかしら。 「どうしたのよっ、みんなっ!」 アタシが声をかけると、4人ともいっせいにこっちを見たわ。 「聞いてよ、アスカ。鈴原達ったら、女湯に入って来たのよ。酷いでしょ。」 「そうですよ、信じられませんよっ。最低ですっ!」 ヒカリとユキは、凄い剣幕ね。それに対して、鈴原と相田は、ヒカリ達に背中を向けて、 小さくなっていたわ。 「ご、誤解や。ワイらは男湯から来たんや。本当や。」 「そうだよ、まさか森川達がいるなんて、思わなかったんだよ。」 あらあら、相田なんて殆ど涙声になってるわね。ちょっと可哀相かしら。 「ちょっと、鈴原君も相田君も、そのまま向こうを見てね。お願いだから、しばらくの間 動かないでね。」 「お、おおっ。」 「分かったよ。」 返事をすると同時に、二人の顔はアタシ達の反対方向へと向いたわ。さてと。お次はヒカ リ達ね。 「どうしたのよ、二人とも。青いタオルを忘れてたわよ。」 「「へっ!」」 ヒカリもユキも、口をポカーンと開けていたわ。 「もうっ。いいから、二人ともこれを身に着けてよ。」 アタシは、タオルを2枚ヒカリに渡したの。そうして、ユキを立たせて、胸と腰にタオル を巻いたのよ。 「これで、よしっと。ヒカリはどう?」 「ええ、こんな感じでいいかしら。」 「どれどれ。」 うん、しっかりとタオルが巻いてあるわ。これなら簡単には取れそうにないわね。アタシ は、二人ともタオルをしっかり巻き付けたのを確認すると、お湯に浸かるようにと二人を 促したわ。二人とも、不思議そうな顔をしながらも、渋々と従ったけどね。 「えっと、鈴原君に相田君。もう、こっちを見てもいいわ。」 「「えっ!」」 鈴原も相田も、少し意外そうな顔をしてこちらを見たわ。 「ごめんなさいね。ヒカリもユキも、注意書きを良く見なかったようなのよ。ここはね、 露天風呂は混浴なのよ。だから、鈴原君や相田君は悪くないっていう訳なのよ。」 「な、なんや。そういう訳かいな。」 「そ、そうだよ。本当に驚いたよ。」 鈴原達は、ほっとした様子だわ。一方、ヒカリ達は真っ青になっちゃったのよ。 「ア、アスカ、本当なの?」 「惣流さん、本当なんですか?」 「そうよ、本当よ。脱衣所に、注意書きが書いてあったでしょ。二人とも、気付かなかっ たの?」 「え、ええ。」 「私もです。」 二人とも、申し訳なさそうに言ったのよ。でもね、アタシ達が入った時には確かにそんな 注意書きは無かったわ。だから、あなた達が悪いんじゃなくて、しょうがないんだけどね。 騙してごめんね。 「アタシも気付かなかったんだけど、露天風呂にさっきの格好で行くのは恥ずかしいじゃ ない。だから、何かないかと脱衣所を探したら、この青いタオルと注意書きが目に入った のよ。ここの露天風呂は混浴だから、女性が露天風呂に行く時は、青いタオルを着用下さ いって書いてあったわ。」 「そ、そうだったの。」 「き、気付きませんでした。」 ごめんね、騙して本当にごめんね。でも、最初から混浴だって分かっていたら、二人とも 露天風呂に入らなかったでしょ。そう思って、わざと注意書きを一時外しておいたのよ。 心の中で謝るから、どうか 許してね。 「じゃあ、鈴原君達もお湯に浸かってもいいかしら。さすがにあのままじゃあ、風邪をひ いちゃうと思うんだけど。」 「あ、ああ、そうね。ええ、いいわ。」 「はい、いいです。」 「そういう訳だから、鈴原君も相田君も、こっちに来なさいよ。」 「お、おお。ええんか。」 「良かったあ。風邪をひくところだったよ。」 鈴原達は、ほっとした様子でこちらにやって来たの。 「じゃあ、鈴原君はヒカリの隣ね。相田君は、ユキの隣よ。」 アタシの指図に従って、鈴原も相田も湯に浸かって座ったの。 「ごめんね、鈴原。私達の誤解で。」 「すみません、相田君。」 今度は、ヒカリ達が小さくなっちゃったわ。だから、アタシは助け船を出したの。 「鈴原君も相田君も、怒っていないわよね。ヒカリとユキのことが好きなら、ね?」 そしたら、二人とも大きく頷いたわ。うん、うん、いいわねえ。 「も、もちろんや。」 「ああ、怒ってなんかいないよ。」 それを聞いて、ヒカリもユキもほっとしたわ。でも、甘いわね。アタシの言葉には、続き があるのよ。 「ヒカリ、ユキ。二人とも怒っていないようだけど、謝りなさいよ。でもね、ただ謝るん じゃなくて、そうね、キスするとか、鈴原君達が喜ぶようなことをしてあげたらどう?」 「ええっ、ここで?それは嫌よ。」 「そ、それはちょっと…。勘弁してくださいよー。」 さすがに二人ともためらったわ。まあ、そうくるとは思っていたけどね。 「じゃあさ、手を繋ぐとか、腕を組むとか、それくらいならいいわよね?」 ふふふっ、最初からこんなことを言ったら断られるけど、キスしたらって言った後だった ら、『まあ、キスよりかはいいかも。』と思って、OKしやすくなると思ったのよ。でも ねえ、それでも二人は渋ったのよ。ちょっと作戦失敗かしら。 「あれ?みんな、どうしたの?」 そこにシンジがやって来たわ。ナイスタイミング。 「シンジ、ここに座ってよ。」 アタシは立ち上がって、今まで自分が座っていたところへシンジを座らせたの。で、シン ジが座ったら、アタシはシンジの前に座ったのよ。そして、シンジに寄り掛かったの。ち ょうど、シンジの胸がアタシの背中にくっつく感じにね。 「よいしょっと。あーあ、背もたれがあると楽ちんね。」 アタシはニコニコ笑ったけど、ヒカリもユキも顔を引きつらせていたわ。そう、アタシは シンジに後ろから抱きしめられるような体勢だったのよ。一方で、鈴原と相田は羨ましそ うな顔をしていたわ。 さあて、ヒカリ達を上手く騙して、混浴の露天風呂に入れさせることには成功したけど、 これから一体どうなるのかしら。とっても楽しみだわ。 つづく(第82話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  アスカの策略で、ヒカリ達は混浴の露天風呂にトウジやケンスケらと一緒に入ることに なってしまいした。果たして、これからどんな展開になるんでしょうか。 2003.7.28  written by red-x  



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