新世紀エヴァンゲリオン　外伝　超少女アスカ

第78話

「アスカ…。」

長いキスが終わった後も、シンジはアタシを見つめていたわ。何か照れちゃうわね。

「何よ、シンジ。」

だからアタシは、小首を傾げて聞いたの。そうしたらね、シンジったらこう言うのよ。

「アスカに会えて、本当に良かった。アスカ…。僕は、アスカに会うために生まれてきた
ような気がする。アスカ…。好きだ、愛してる…。」

何よ〜。シンジにはキザな言葉は似合わないっていうのにね。でも、アタシだって女の子
だもん。こういう言葉は嬉しくないって言ったら、嘘になるわ。で、ちょっぴりいい気分
になったのよ。

「ふふふっ、ありがと、シンジ。でも、本当にアタシと会えて良かったと思ってる？」

「うん。」

シンジは力強く頷いたわ。どうやら本心から思っているようね。うん、いい傾向だわ。今
ならアタシの言うことを素直に聞いてくれるかもしれないわね。駄目で元々だから、ちょ
っと言い含めておこうかしら。

「じゃあ、何でアタシと会えたのか分かってるわよね。」

「うん、もちろんだよ。エヴァのパイロットになったからだ。」

「じゃあ、パイロットになって、良かったと思ってる？」

「うん…。最初は物凄く嫌だったけど、あんなのに乗るなんて、いやそうじゃない。あん
な恐ろしい使徒なんてバケモノと戦うなんて嫌だったけど、アスカに会えたから、今では
パイロットになれて本当に良かったと思っているよ。」

「じゃあ、これからもパイロットでいたい？」

「うん。」

「そう、良かった。でも、忘れないでね。シンジはアタシの言う通りに動くのよ。そうし
ないとね、シンジだけじゃなくて、アタシの命にも関わるのよ。それは分かってね。」

「うん、分かったよ。」

「本当に分かったの？」

「うん。」

「本当に、ホント？」

「ホントだってば。信じてよ。」

「ふふふっ、シンジの真似よ。疑り深くなったのよ。逆の立場になると、嫌なもんでしょ。」

「う、うん。分かったよ。」

ふふっ、シンジったら、冷や汗タラ〜リっていう感じね。まあ、いいわ。これくらいで許し
てあげようかしら。

「じゃあ、ヒカリ達のところへ行きましょうよ。様子を見ながらそうっとね。」

「うん、いいよ。」

「それじゃあ、行きましょ。」

アタシはシンジの前を歩いて行こうとしたわ。でもね、行く手を阻む者がいたのよ。３人組
の、いかにもモテなさそうなバカな顔をした、高校生くらいの男たちよ。

「おっ、カワイイ子じゃん。」

「いいねえ。ねえ、カノジョ。そんな男なんてほっといて、俺たちと遊ぼうよ。」

ふん、何よこいつら。あったまくるわねえ。だから、アタシは強い調子で言ったの。

「悪いけど、これから友達のところへ行くの。だから、そこをどいてよ。」

でもね、こいつらは動こうとしなかったわ。

「そう、冷たいこと言うなよ。」

「なっ、頼むよ。」

そう言って、へらへら笑っているのよ。そうしたらね、シンジがアタシの前に出て言ったの
よ。

「すみませんが、そこをどいてください。」

シンジにしては、語気が強かったわ。それが気に食わなかったのか、そいつらは態度を豹変
させたのよ。

「おい、兄ちゃん。舐めんじゃねえぞ。」

「そうだぜ。女の子の前だからって、カッコつけんなよ。」

そう言って、バカ男ズはシンジを睨んだの。

「別に舐めてませんし、カッコつけでもありません。そこを通りたいだけです。」

シンジは、睨む目をものともせずに毅然として言ったわ。そしたらね。

「ほう、そうか。分かったよ、通れよ。」

バカ男ズは、少し下がったのよ。

「さあ、行こう。」

シンジは、アタシの手を握って歩き出したわ。でもね、バカ男ズの脇を通ろうとしたら、
いきなりシンジは殴られたのよ。

「ぐうっ。」

シンジは、岩に頭をぶつけたの。そして、動かなくなったのよ。

「大丈夫っ！」

アタシは、シンジに素早く近寄って様子を見たわ。そしたらね、単に気絶しているだけだっ
たわ。ふうっ、一安心だわ。でも、許せないわね。一つ間違えば、シンジが死んでいたかも
しれないのよ。

「おい、かわい子ちゃん。邪魔な奴はオネンネしたぜ。俺達と遊ぼうぜ。」

ふん、こいつは大馬鹿ね。相手を見てモノを言いなさいよね。

「ええ、いいわ。」

そう言うなり、アタシはそいつの股ぐらを蹴り上げたの。

「ひいっ！」

バカ男１号は、股間を押さえてピョンピョン飛び跳ねたわ。

「何しやがんだっ！」

「優しくしたら、つけあがりやがってっ！」

２号と３号は、アタシを殴ろうとして身構えたわ。ふんっ、でも遅いわよ。

「アンタら、絶対に許さないっ！」

アタシは２号の手を掴んで思いっきり捻ったの。

「ボキッ！」

う〜ん、いい音がしたわ。

「ギャアッ！」

少し遅れて悲鳴が。

「これくらいで泣きわめくなんて、情けないわねえ。」

さらにアタシは３号の両手を掴んで宙に舞ったの。そして、３号の背中に着地したの。

「ボキボキッ！」

う〜ん、いい音ね。今ので両手が折れたはずよ。

「ギャアーッ！」

３号が悲鳴をあげたら、１号が真っ青になったのよ。で、何か言おうとしたけど、アタシ
は聞く気はさらさらなかったわ。

「ギャアアアーッ！」

１号も両手がポッキンよ。でもね、こんなもんで終わりだと思ってもらったら困るわ。何
たって、こいつらはシンジを殺そうとしたんだから、死んでも文句は言えないわよね。

「ボキッ！」
「ギャアーッ！」

「助けてくれーっ！」
「バキッ！」

「ヒイッ！」
「ボキボキッ！」

結局、数分でケリはついたわ。バカ男ズは両手両足を折られて、悶絶しているわ。あまり
の痛さに、声も出ないようね。

「ハンッ！バカな奴らねっ！いい気味だわっ！アタシのシンジに手を出して、生きていら
れるだけ幸運だと思いなさいよっ！」

こいつら、両手両足の骨を砕いておいたから、二度と元の体に戻れないわね。直っても、
リハビリに何年かかかるし、まあ、その間に更正してくれればいいんだけどね。でも、こ
いつらはどうしようかしら。そうだ、一応試してみようかな。

「ミサト！出てきなさいよっ！いるのは分かっているのよっ！」

アタシは、大声で叫んだの。





つづく（第79話へ）

目次（目次へ）

 
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あとがき


　シンジが見ていないため、アスカはバカ男ズを気兼ねなく痛めつけます。でも、アスカ
が本気を出したら、素人のバカ男ズは瞬殺されているはず。やはり、使徒以外には存分に
戦える相手がいない、アスカでした。


2003.7.9　 written by red-x