新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第54話

「おはよ〜っ、シンジ。」 「あっ、おはよう、アスカ。」 あら、シンジの顔が赤いわね。さては、昨日のことを思い出しているのかしら。まったく、 男ってイヤらしいわね。 「何よ、シンジ。顔が赤いわよ。何か変なことを考えているんじゃないでしょうね。」 アタシは、少しだけ目を吊り上げて見たわ。 「そ、そ、そ、そ、そんなことないよ。」 何よ、思いっきりどもっちゃって。怪しいわね。ようし、そっちがその気なら、アタシも 容赦しないわよ。 「ねえ、シンジ。昨日はバッチリ見ちゃったの?」 「な、な、な、な、何を。」 ふん、何をそんなに慌てているのよ。 「決まってるじゃない。アタシの、あ・そ・こ。」 「み、み、み、み、見てないよ。」 ふん、嘘おっしゃい。アンタの怪しい挙動を見れば、一発で分かるわよ。 「ふうん、そうなの?まあ、いいわ。で、もう一回みたい?」 「う、ううん、もういいよ。」 あら、本当なのかしら?いいえ、絶対に嘘ね。 「嘘?もう一回くらい、見たいんでしょ?正直に言いなさいよ。」 「そ、そ、そんなことないよ。」 ホントかなあ?ちょっと試してみようかしら。 「あら、そうなんだ。シンジは婚約者だから、もう一回だけ、見せてあげようかなあって 思ったんだけど、じゃあいいわね。」 「えっ、み、見たいっ!もう一回みたいっ!見せてくれるのっ!」 なっ、何よ、シンジったら。がっついちゃってさ。本当にドスケベなんだから。 「ふっふっふっ。やっぱり、み〜た〜の〜ね〜。」 「あっ、しまった!」 シンジったら、簡単に引っかかったわね。 「ふん、シンジのドスケベ!ああいう時はね、直ぐに目を閉じて、絶対に見ないようにし なきゃいけないのよ。」 「そ、そんなあ。」 まあ、なんて情けない顔をして。 「もう、知らないっ!」 アタシは、プイとシンジに顔を背けたの。 「ごめんよ、アスカ。でもさ、僕だってわざとじゃないんだよ。そんなに怒らないでよ。」 むう、確かにそうね。でもね、女の子って、理屈じゃないのよ。それくらい、分かってよ。 「でも、シンジは嘘を言ったでしょ。それが許せないのよ。」 「それは、僕が悪かったよ。だから、許してよ。」 あら、シンジったら素直ね。しょうがない、許してあげようかな。 「しょうがないわね。じゃあ、エヴァに乗るテストを受けてくれれば許してあげる。」 「えっ、本当。良かったあ。」 あら、シンジったらホッとしたような顔をしてるわ。ちょっと、罰が軽かったかしら。で も、良く考えたら、シンジは何も悪いことをしていないのよね。だから、まあいいか。 「さあ、それじゃあ訓練の開始よ。さっさと準備するわよっ!」 こうして、アタシとシンジは、早朝訓練を始めたの。 ***  早朝訓練が終わって、朝食の時間になったら、アタシはシンジにこれからのスケジュー ルについて、話をしたの。昨日の夜、あれからミサトと結構話し込んだのよね。 「ねえ、シンジ。実は、昨日ミサトとも話したんだけど、ネルフには週に3回は行ってほ しいんだけど、いいかしら。」 まあ、駄目だって言っても許さないけどね。 「ええっ、そんなに行って何をするの?」 ふん、今更そんなこと聞いても遅いわよ。良く聞かないで承諾するのが悪いのよ。 「あの、エヴァンゲリオンっていうのに乗って、色々なテストをするのよ。」 「どんなテストなの?」 「そうねえ、最初は乗るだけよ。そして、エヴァンゲリオンとの相性が良いかどうか、調 べるのよ。それから、徐々に色んなテストが増えていくわ。」 「例えば、何をするの?」 「そうねえ、実際の機体を動かす前に、シミュレーションを一杯やるのよ。あの、エヴァ ンゲリオンっていうのは、動かすのに物凄くお金がかかるらしいのよ。だから、おいそれ とは動かせないの。」 「変なの?お金をケチるなんて。」 「そうは言っても、お金や資源だって、無尽蔵にあるわけじゃないのよ。だから、しょう がないのよ。」 まあ、確かにシンジが言う通りだけどさ。使徒って、本当に現れるのかどうか、信じてい ない人の方が多かったんだから、しょうがないのよね。 「まあ、アスカが許してくれるならいいけどさ。でも、アスカとは別メニューなのかな?」 おっ、シンジにしては、前向きな答えね。 「シンジはどっちが良い?」 「そりゃあ、アスカのと一緒の方が良いよ。」 ふふふっ、嬉しいこと言ってくれるわね。 「分かったわ。じゃあ、シンジとアタシは一緒にテストするように、リツコに頼んでおく わ。アタシも、シンジと一緒の方がいいしね。」 「ホント?嬉しいな。」 まあ、シンジったら、にやけちゃって。 「じゃあ、今日はネルフに行くわよ。良いわね」 「うん、アスカと一緒なら。」 こうして、シンジはエヴァのテストを受けることを承諾してくれたの。やっぱり、いやい やエヴァに乗せても、良い結果はでないと思うのよ。だから、これは良い兆しだわ。 シンジが主体的にエヴァに乗ってくれるようになって、目的意識を持ってくれると、作戦 行動も取り易いんだけどね。それには、少しずつシンジの意識改革をしていくしかないわ。 でも、道は開けてきたわ。アタシとシンジの二人で、力を合わせて使徒を撃退するのよ。 お互いに助け合い、傷ついた仲間をかばい合う、そんな関係になれたら最高だわ。でも、 その日は遠い未来ではないわ。 つづく(第55話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  ようやく、アスカの作戦が軌道に乗り、シンジの心が癒されていきます。そして、シン ジはエヴァに乗ることを何とか承諾しました。後は、アスカにしごいてもらうだけ? 2003.1.11  written by red-x



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