新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第46話

「アスカ、色々とありがとう。」 「どうしたのよ、急に。」 ヒカリ達が帰った後、シンジがアタシに話しかけてきたの。 「なんかさ、みんなでワイワイやるのって、楽しいよね。こんな楽しいことって、最近無 かったからね。昨日までは、友達が出来るかなあなんて思っていたけど、それが嘘みたい だよ。それもこれも、アスカのお蔭だなあ、なんて思ってね。」 「何言ってるのよ、水臭いわね。アタシ達は、もう婚約してるのよ。赤の他人じゃないん だから。でもね、アタシと一緒にいると、静かにしていたくても、いられなくなるわよ。」 「うん、それでもいいかなあ、なんて思っているんだ。僕は、今までずっと独りぼっちだ ったけど、それが当たり前になっていたんだよね。だから、何とも思わなかったんだけど、 やっぱり友達っていた方が良いよね。トウジもケンスケも面白い奴でさ、それでいて、結 構思いやりがあるんだ。一緒にいるとさ、何か心があったかくなるんだよね。転校早々、 良い友達に恵まれたよ。それもこれも、アスカのお蔭だよ。」 「良い友達だと思うなら、ちょっとシンジも協力してよ。ヒカリは鈴原君が好きなのよ。 だから、ヒカリの想いが通じるようにしてあげたいの。」 「うん、分かったよ。協力するよ。」 「それにね、相田君って、ユキのことが好きなのよ。だから、二人が仲良くなるような手 助けをすると、相田君は喜ぶわよ。手助けした方が良いかしら?」 「そうだね。でも、念のためにケンスケに聞いてみるよ。」 「そうね、それが良いわね。でもさ、他の二組がうまくいくと、アタシ達はトリプルデー トが出来るわよね。一緒にどこかへ遊びに行ったりもね。2人だけでデートも良いけど、 みんなで楽しくどこかへ行くのも良いと思うのよ。そのためには、恋人が3組の方が何か と都合が良いのよ。だってそうでしょ。アタシを他の男が取り合うと、シンジだって嫌で しょ?」 「うん、そうだね。誰かとアスカを取り合うなんて嫌だし、それが友達なら尚更だよ。」 「じゃあ、相田君とヒカリの恋がうまくいくように、協力してあげましょうよ。シンジ、 良いわね?」 「うん、そういうことなら、喜んで。」 こうして、アタシとシンジは、ヒカリと相田のために、一肌脱ぐ事にしたのよ。 *** 「キャーッ、アスカったら何やってるの!」 ヒカリがいきなり叫んだの。 「あっちゃあ〜っ!どうしてこうなるのよ〜っ!」 あっ、やっちゃったわ。 「惣流さん、早く火を消して下さいっ!」 今度はユキね。 「えっ、あっ、やっちゃったあ〜っ!」 げっ。また失敗しちゃった。 翌日、朝の10時にヒカリとユキが来て、最初は昼食の準備をしたのよ。でも、アタシは 慣れないもんだから、結構失敗しちゃったのよね。でも良かった、あんまり難しいのにし なくて。 本当は、シンジも手伝うなんて言っていたんだけど、子供達の相手を押しつけたのよ。お かげで、無様な姿を見られなくてすんだわ。まあ、声は聞こえているかもしれないけどね。 そう言う訳で、シンジはヒカリの妹とユキの妹と弟相手に、テレビゲームをしているわ。 マリオパーティー17っていうやつで、最大で8人まで遊べるゲームなのよ。大勢でやる と、楽しいらしいわ。 シンジは、子供達と一緒にきゃあきゃあ言って、楽しそうに遊んでいるわ。これはこれで 良かったわ。シンジが楽しそうにするのって、とっても良い事だもの。 「アスカ、あと少しよ。頑張りましょう。」 「ええ、ヒカリ。分かってるわ。」 「惣流さん、その調子です。頑張りましょう。」 でもね、ヒカリもユキも、小さい頃から家族のために料理を作ってきたのよ。いくらアタ シが天才美少女でも、追いつくのは難しいのよね。それでも、何もやらないよりは良いと 思うから、こうして頑張っているんだけどね。 *** 「お〜い、シンジ。来たぞ〜っ!」 「ワイもや。お邪魔するでえ。」 「駄目でしょ、お兄ちゃん。ちゃんとあいさつしてよっ!私が恥ずかしいじゃない。」 あらあら、相田達がやって来たわね。ちょうどお昼ご飯が出来て、一息ついたところね。 良いタイミングだわ。 「ねえ、ヒカリ。そろそろお昼にしない?」 「そうね、キリが良いから、そうしましょうか。」 こうして、みんなでお昼を食べることにしたのよ。だって、お客さんをお待たせしちゃ、 悪いもの。 それで、席順なんだけど、アタシが決めておいたのよ。 テーブルの一方は、ユキの弟、相田、シンジ、鈴原、鈴原の妹が順に座ったわ。 そしてもう一方は、ユキの妹、ユキ、アタシ、ヒカリ、ノゾミちゃんという順番ね。 この席順だと、アタシとシンジ、鈴原の妹とノゾミちゃんが話し出すと、鈴原はヒカリと 話すしかなくなるし、ユキも相田と話すことになるからよ。 どうやら、鈴原以外はアタシの悪巧みに気付いたみたいね。ユキ、ヒカリ、相田の3人の 顔が、少し赤くなっているわ。でも、アタシは素知らぬ顔をして、いただきますの号令を かけて、食べ始めたのよ。 そうしたら、小学生達が食べること、食べること。物凄い勢いで食べ出したわ。もっとも、 食欲魔人の鈴原には負けるけどね。 一人当り20個のお寿司があったんだけど、鈴原と小学生達は、ものの5分とかからずに 食べ切ったのよ。それでも、まだ足りなさそうに他の人のお寿司を見てるのよ。 「お寿司が好きなのか?俺のを食べていいぞ。」 たまりかねて、相田がユキの妹達にお寿司を分けてあげたの。 「わ〜い、お兄ちゃん大好き!」 そう言って笑う妹達とは対照的に、ユキの顔は引きつっていたけどね。 「私のもあげるわ。」 ヒカリが、自分のお寿司を鈴原達の前に差し出すと、鈴原と妹、それにノゾミちゃんの3 人の箸が伸びてきて、あっという間に無くなったわ。そこで、アタシのお寿司をヒカリに あげたんだけど、ヒカリはそれも鈴原達に差し出したの。 「お姉ちゃん、ありがとう。」 「いいんちょ、すまんな。」 でも、ヒカリは鈴原とその妹にポイントを稼げて、良かったみたいね。 「ヒカリ、もう少し多めに作れば良かったね。」 「でも、高くなりそうだから。」 とヒカリ。 「そうですよ、惣流さん。高いものは、あんまり多くしちゃ駄目ですよ。料理は、安い材 料で、美味しいものを作らないと。」 とユキ。 確かに正論だけど、寿司ネタが少なかったのも事実なのよねえ。だから、この次はもっと たくさん買っておくわ。でも、焼きそばとサンドイッチを大量に作っておいたお蔭で、鈴 原達はお腹一杯になったみたい。とりあえずは、成功と言えるかしら。 こうして、悪巧みの第1ラウンドと言えるお昼ご飯が終わったわ。 つづく(第47話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  さて、アスカのお料理会は、順調な滑り出しのようです。 2002.11.5  written by red-x



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