新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第26話

「じゃあ、今日はこれで特訓終了よ。お疲れさま。」 アタシはそう言った後、シンジにキスをしたわ。もちろん、シンジの顔はにやけていたわ。 *** 「あっ、まずいわ。もう、こんな時間になってる。」 気付いた時には、ミサトとの待ち合わせ時間が迫っていたわ。 「シンジ、速攻でシャワーを浴びて、急いで着替えるわよ。」 「う、うん。でも、シャワーは一つしかないよ。アスカが先に使う?」 そうねえ。当然、レディーファーストよねえ。シンジもそれ位は分かっている訳ね。でも、 アタシが先にシャワーを浴びていたら時間が無いわ。 「普通ならそうだけど、今は時間が無いから、一緒に浴びるわよっ!良いわねっ!」 もちろん、シンジが断る訳がないわ。 「う、うん。分かったよ。」 流石に、嫌がらなくなったわ。でも、アタシはちょっとだけ考えて、こう言ったの。 「変なことは考えないでね。今は急いでいるから。変なことしたら、ぶん殴るわよ。」 「えっ、も、もちろん、そんなことはしないよ。」 そう言いながらも、シンジは少しがっかりした様子だったわ。やっぱり、シンジったら、 何か良からぬことを考えていたのかしら。それとも、単に淡い期待を抱いていただけなの かしら。 ***  バスルームには、シンジに先に入ってもらったわ。そして、シンジがシャワーで頭を洗 い終わった頃に、アタシが入ったの。シンジは約束通り、こちらに背を向けていたわ。ア タシは早速頭を洗い出したわ。でもアタシったら、髪の毛が長いから、洗うのに時間がか かるのよねえ。 「ねえ、アスカ。もうそろそろ洗い終わるんだけど。」 げっ。早いわ。早すぎるわよ。アタシは大慌てになったわ。 「駄目よ、シンジ。もっと念入りに洗いなさいよ。」 「ええっ。」 「文句言わないの。さっさと洗うのよ。」 アタシがちょっとだけ強い口調で言うと、シンジは特に文句も言わずに、再び洗い始めた わ。ちょっと悪かったかしら。でも、シンジも洗う時間が短いような気がするわね。少な くとも、このアタシの婚約者になるんだから、清潔にしてなくっちゃ嫌よね。 こうして、アタシが髪の毛を洗い終わるまで、シンジには体を洗わせたの。でも、それだ けでは終わらないのよ。何と言っても、シンジの心をしっかりと掴んでおく必要があるか ら、あらゆる機会を捉えてシンジの心を揺さぶらなくちゃ。そして、シンジの心をしっか りとアタシで一杯にしなくちゃね。 そのためには、心の触れ合いと体の触れ合いが一番有効なのよ。だから、アタシは自分の 髪の毛を洗い終わり、頭にタオルを巻き終わって自分の体を洗い始めたら、こう言ったの。 「シンジ、アンタはもうやることないんだから、アタシの背中を流してよ。」 アタシは、凄く恥ずかしかったけど、シンジに気付かれないように、平然と言ったわ。で も、当然のごとく、シンジは戸惑ったの。 「えっ、ええええええっ。僕がアスカの背中を流すの?」 シンジは素っ頓狂な声を上げたわ。 「急いでいるんだから、しょうがないでしょう。男の子だったら、うだうだ言わないの。」 「う、うん、分かったよ。」 シンジはアタシの剣幕に押されて、渋々頷いたわ。 「じゃあ、お願いね。背中よ。背中だけなのよ。手を前に持ってきて、胸を揉んだり、股 間を触ったりしたら駄目だからね。」 「そ、そんなことしないよっ。」 そう言うと、シンジはアタシの背中を洗い始めたわ。 「返事は、『はい。』でしょ。いちいち、余計なことを言わないの。」 「ちぇっ。そんなこと言わなくてもいいじゃないか。」 あら、ちょっとまずかったかしら。シンジは少し怒ったみたい。アタシは少しだけ迷った けど、素直に謝ることにしたわ。だって、シンジに嫌われたりしちゃあ、まずいじゃない。 「あら、シンジ、怒っちゃった?ごめんね。でも、アタシだって恥ずかしいから、誤魔化 すためにどうしてもこんな変な言い方になっちゃうのよ。だから、ちょっと大目に見て欲 しいなあ。でも、駄目なのかしら。嫌われちゃったのかしら。」 アタシはわざと小さな、そして少し落ち込んだような言い方をしたわ。そうしたら、シン ジの方が慌てたみたい。 「えっ。そんな、嫌うなんて。僕も言い過ぎちゃってごめんね。」 あら、シンジったら、自分が悪くないのにすぐ謝る。まあ、今は助かったけどね。 「シンジは優しいから、ついついアタシったら言い過ぎちゃうのよね。でもね、それだけ シンジに心を許しているっていうことなんだから。それは分かってほしいのよ。女の子は、 好きな人にはついつい甘えちゃうもんなのよ。」 「えっ、そ、そうなの?」 あら、シンジの声が少し明るくなったわ。 「そうよ、本当よ。」 「じゃ、じゃあ、1回だけでいいから、アスカの胸を触りたいなあ、なんて。」 な、なんてこと言うのよ、シンジのドスケベ。でも、良く考えたら、シンジはアタシの胸 を会ったその日に触っているじゃない。だから、婚約者になったのに、今更断るのも何か 変かなあって、思いなおしたのよ。そして、アタシは良いことを閃いたわ。 「ア、アスカ、ごめんね、冗談だから。」 アタシが黙っちゃったから、シンジは慌てたみたい。でも、アタシは少し震える声で、こ う言ったの。 「…良いよ、少しだけなら。シンジがアタシのことを本当に好きなら良いよ。でも、アタ シのことを捨てないでね。裏切らないでね。アタシ、信じているからね。」 「えっ、本当に良いの。」 「アタシのことを本当に好きなら…良いよ…。」 「ア、アスカ。僕は、アスカが好きだ。本当に好きだ。だから、アスカを捨てる訳ないじ ゃないか。裏切る訳ないじゃないか。それだけは間違いないよ。」 シンジはそう言いながら、アタシを後ろから抱きしめながら、胸をそっと掴んだの。そう、 そうっとね。でも、アタシはそのことよりも、シンジの異様に硬くなった芋虫君が背中に ぴったりとくっついた事の方が気になったけどね。 「こんな事、好き人にじゃなきゃ、許さないんだからね。」 アタシが小声でそう言うと、シンジの体がぴくりとしたわ。しめしめ、ちゃんと聞いてい るみたいね。これで、シンジはアタシのことを、可愛くていじらしい女の子だって思って くれたに違いないわ。そして、アタシの虜になった筈よ。 「アスカ、大好きだよ。」 シンジがアタシのことをギュッと抱きしめたけど、アタシは恥ずかしくて、こう言ったの。 「シンジ、もう時間が無いわよ。」 「あっ、そうだね。急がないとね。」 シンジは名残惜しそうに、アタシから体を離したわ。 こうして、短い時間だったけれど、シンジは、一層アタシのことを想うようになった筈ね。 でも、シンジって、やっぱり優しいわね。ドスケベなのが玉に傷だけどね。 つづく(第27話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  今回も、シンジ君はかなり美味しい状況です。でも、シンジ君は、次第に心からアスカ に惹かれていきます。でも、アスカみたいな美少女が、シンジみたいな普通の人間に迫っ たら、普通は速攻で落ちるでしょうね。 2002.6.25  written by red-x