新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第108話

今日は金曜日。明日が女子部の試合で、明後日が男女混合の試合だから、練習にも当然な がら気合が入るわ。アタシは明日はシングルス、明後日はシンジと男女混合の試合に出る んだけど、シンジは明後日の試合だけなの。 でも、アタシはシングルスでは絶対に負けないから、今日はシンジとの連携プレーのみの 練習よ。ここ数日、シンジの頭にテニス理論を叩き込んでおいたから、シンジの動きはア タシが考えたよりは数段良かったわ。 でもね、アタシが考えていたのは小学生低学年レベルだったから、まだまだ全然駄目なの よね。シンジは元々スポーツが不得意だし、特訓を始めてからまだ2週間しか経っていな いから、体力もてんでないのよ。 そうなると、当然ながらアタシがシンジをカバーしつつ戦うはめになるのよね。それも、 ただカバーするんじゃなくて、シンジがいじけないように気を遣いながらだからもう大変。 精神的な疲労も無視できないくらいありそうなのよ。 なんてことを考えていたら、短い休憩時間が終わったわ。3年生の松岡さんが声を立ち上 がって声をかけてきたの。 「碇君に惣流さん、それじゃあ練習を再開するよ。」 「はい、分かりました。」 「…はい、…ぜえぜえ、分かり、…ぜえぜえ、ました、…ぜえぜえ。」 二人は元気よく、とは到底言えないけど返事をしたわ。 「じゃあ、さっきと同じ試合形式でやるよ。サーブはこちらからいくからね。」 松岡さんは、そう言うなりのろいサーブを打ってきたわ。なによ、これ。ハエが止まるわ よ、こんなに遅いんじゃ。 「ハッ!」 それでも声だけは気合を入れたフリをして打ち返したわ。あまり力を入れずに腰を回転さ せただけのリターンだったけど、松岡さんと組んでいた北岡部長は見事な空振り。 「いやあ、参ったなあ。惣流さんて、男子として出ても勝てるんじゃないかな。」 なんて言いながら、頭をかきかき。 「いやだ、おだてないでよ。」 と言いつつも、そんなのあったりまえでしょと心の中で言ってたりするわけよ。 「ようし、次は碇君だ。」 松岡さんは、今度ものろのろサーブを打ったわ。でも、シンジったら空振りしたのよ。 「うわあ、なんて早いんだろう。さすがは3年生で一番上手いことはありますね。手も足 も出ないですよ。」 ねえねえ、ちょっと待ってよシンジ。アタシが簡単に返せる球なのに、なんでアンタは空 振りするわけ?この、すっとこどっこい。 「シンジ、惜しかったわ。次はきっと打ち返せるわよ。」 心の中とは裏腹に、アタシはにっこり笑ってシンジを励ます。 「ごめんね、アスカ。次は頑張るから。」 シンジも松岡さんと同じように頭をかきかき。はあっ、ため息ついちゃうわ。こんなんで、 本当に勝てるのかしら。ううん、駄目駄目。アタシが自信を無くしちゃ駄目なのよ。シン ジが全然あてにならない以上、アタシが一人でプレーするくらいの気持ちでいなくちゃ。 う〜ん、思った以上に大変そうだわ。 *** テニスが終わったら、ゲームセンターに行ってエヴァゲームをやったの。今日もアタシ達 の勝利だったわ。シンジは、こっちの方は上達が早くてなかなかいい感じよ。MAGIで 計算したら、今のシンジは幼稚園に入った頃のアタシと同じレベルなんですって。あまり の上達の速さにアタシは驚いちゃったわ。 えっ、シンジのレベルが低すぎないかですって。そんなことないわよ。普通の人の幼稚園 レベルじゃなくって、このアタシの幼稚園レベルなのよ。かなりのハイレベルじゃない。 えっと、何かいい例えは無いかしら。そうそう、こういうのはどうかしら。アタシが天闘 士だとしたら、シンジは一般人から青銅聖闘士になったばっかりのようなものっていえば いいかしら。えっ、何のことだか分からない?2月に映画を見た人なら分かると思うんだ けど。 あとはねえ、こういうのはどうかしら。アタシが中田だとしたら、シンジは幼稚園のサッ カーチームのスタメンに大抜擢っていうところかしら。 まあ、とにかく、アタシが凄すぎるからシンジの上達がかすんでしまうんだけれど、一般 人と比べたらシンジの上達は凄いのよ。ミサトもリツコも、シンジの上達には目を見はる ものがあるって言ってたわよ。 だからこのまま上達すれば、あと1カ月くらいで本当に使い物になりそうなのよ。次の使 徒には間に合わないけれど、その次あたりには間に合いそうなのよ。嬉しい誤算っていう やつかしら。 でも、エヴァゲームのことをシンジにはまだ何も言っていないし、今後も当分言うつもり はないから、シンジには別のことで誉めないといけないのよ。で、こういうことにしたの。 シンジには、2週間も特訓に耐え抜いたご褒美に加えて、今度のテニスで頑張るようにっ てことで焼き肉を好きなだけ食べさせてあげるってことにしたの。で、ヒカリ達も誘った のよ。もちろん、いつものメンバーとその妹さん達もね 高級牛肉を食べ放題って言ったら、鈴原だけじゃなくって、相田やユキまでもが目の色を 変えたのよ。で、いつもの6人に加えておチビちゃん達が4人、合計10人で食べること にしたの。 *** ヒカリ、ユキ、鈴原の3人は、妹さん達を連れてくるためにいったん家に帰ったの。だか らのこるシンジと相田がうちに直行したわ。 「さあて、シンジも手伝って。相田君もね。」 「うんいいよ、アスカ。何でも言ってよ。」 「俺も何でも言うことを聞くぜ。」 「それじゃあ、シンジは野菜をお願い。相田君はテーブルやお皿なんかの準備をお願いす るわ。」 そして、残るアタシは肉の用意をしたの。アタシが用意したお肉は、松阪牛って言ったっ け。結構値の張るお肉だったわ。それを大量に買い込んだのよ。もちろん、野菜もたくさ ん用意したし、デザートの用意もバッチリなわけ。 飲み物はヒカリと鈴原が途中で買ってくることになってるし、これで準備は万端だわ。 つづく(第109話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  テニスの試合の前に焼き肉パーティーです。アスカはお金持ちなので、お金に糸目をつ けずに肉を買いまくったようです。     2004.6.30  written by red-x



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