新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第21話

「じゃあ、早速行きましょうよ。」 こうして、アタシとシンジは訓練を中止して、宝石店へ行くことになったの。 *** 「うわあ、凄い宝石だね。」 宝石店に入ったアタシ達は、店内に輝く宝石の数々に見入っていた。シンジはこんな所は 初めてだろうし、アタシも同じだったのよ。 「こんなに一杯あるなんて思わなかったよ。どうすればいいかなあ。」 なんてシンジはまごまごしていたの。 「何をお探しでしょうか。」 困ったシンジを見かねてか、ニコニコしながら若い女性店員がやって来たわ。 「え〜と、あの〜…。」 シンジは上がって声も出ない。しょうがないからアタシが出張ることにしたの。 「欲しいのは、ダイヤの指輪なんです。出来れば2個1組で、二つで10万円位のものが 良いんですが。」 「ダイヤの指輪ですか。」 店員は少し驚いた様子だったが、さすがに販売のプロなだけあって、余計なことは聞いて こなかったわ。 「これなんかいかがでしょうか。0.2カラットですが、色・形とも良く、お値段も手頃 ですよ。」 そう言って、3組の指輪を持って来てくれたの。アタシはそれらを見比べると、一つだけ 気に入ったデザインの指輪が見つかったわ。ごてごてしてなくて、割合シンプルなデザイ ンのやつなの。 「ねえ、シンジ。これなんかどうかしら。」 アタシはシンジに聞いてみたわ。 「う、うん。アスカは可愛いから、何でも似合うよ。」 げっ、シンジったら何てこと言うのよ。アタシは恥ずかしくなったわ。さすがに店員も笑 いを堪えるのがやっとという状況みたいね。もう、シンジったら、アンタもはめるのよ。 何で1組なのか分かっていないのね。 「うん、ありがとう。でも、シンジもはめるのよ。だから聞いているんだけど。」 「ええっ。僕もなの。」 シンジは驚いたわ。だからアタシはシンジにこう言ったの。 「アタシがシンジと同じ指輪をしていたら、アタシがシンジのものだって誰にでも分かる でしょ。アタシが他の男のものになるのが嫌だったら、お揃いの方が良いわよね。シンジ もそう思うでしょ。」 アタシはそう言いながらにっこりと笑ったわ。 「そ、そうだね。アスカの言う通りだね。」 シンジはちょっと興奮したみたい。『アタシがシンジのもの』っていう言葉に過剰反応し たみたいね。まあ、無理も無いわね。それが狙いだもの。 「じゃあ、これに決めましょう。」 「うん、そうしよう。」 アタシはシンジの返事を聞くと、店員を呼んだの。そして買いたい商品が決まったことを 伝えて、いつサイズ合せが出来るのか尋ねてみたの。 「こちらの商品なら在庫がありますから、今、合うサイズがあれば、お持ち帰り出来ます よ。お急ぎですか。」 え〜っ。信じられないけど、良いことだわ。こういうのって、善は急げって言うじゃない。 アタシは急いで在庫を持って来るように頼んだわ。 結局、アタシにもシンジにも合うサイズの指輪の在庫があったのよ。アタシはニンマリし たわ。嬉しい誤算っていう奴ね。計画では、無理やり脅して明日の朝までにはサイズ合せ をやらせるつもりだったんだけど、必要無くなったわね。 せっかく保安部の副部長を脅して…じゃなくてお願いして手筈を整えたのが無駄になっち ゃったけど、まあいいわね。結果オーライよ。 *** 「わたくし、惣流・アスカ・ラングレーは、碇シンジを愛し、ここに将来結婚することを 心から誓います。」 「わ、わたくし、碇シンジも、惣流・アスカ・ラングレーを心から愛し、ここに将来結婚 することを心から誓います。」 今アタシ達は、丘の上の公園で、二人だけの婚約式を行っているの。二人で誓いの言葉を 言い合って、これから指輪を交換するのよ。シンジはちょっと興奮して、言葉を間違えた ようだけど、まあ、これ位なら問題無いわね。 シンジはアタシの指にはめるのに少し手間取ったけど、それ意外は割合順調にいったわ。 そして、お互いに固く抱き合っての、誓いのキス。10分位していたかしら。ちょっと息 苦しかったわ。でも、これで一安心ね。ここまでこぎつけたからには、ちょっとやそこら の邪魔が入っても、アタシとシンジの仲は割けないわね。 長いキスが終わると、アタシは予め用意していた言葉をシンジに言ったわ。 「シンジ、嬉しい。シンジが18歳になったら結婚しようね。そして、その日の夜に二人 は結ばれるの。そうして、身も心もアタシとシンジは一つになるの。それって凄くロマン ティックだと思わない。ねっ、シンジ、そうしようね。」 「う、うん、そうだね。」 「だからアタシ、結婚するまでは綺麗な体でいたいの。結婚したら、アタシは身も心もシ ンジのものよ。何をしてもいいわ。だから、それまでは我慢してほしいの。そうしてくれ ると、アタシはシンジのことがもっともっと好きになると思うのよ。アタシのことが好き なら我慢出来るわよね。」 「う、うん。我慢するよ。」 シンジは少しだけ残念そうな顔をしたわ。ふふっ。アタシにはシンジの気持ちが分かるわ。 今は無理でも、1〜2年のうちには最後まで出来ると思ったに違いないわ。でもお生憎様。 アタシはそんなにお安い女じゃないわ。婚約した位でアタシを自由に出来ると思ったら大 間違いね。まあ、とりあえずはシンジが18歳になるまでは、貞操の危機は去ったわね。 「シンジ、嬉しい。大好きっ!」 アタシはそう言いながらシンジに強くしがみついたの。心の中でペロリと舌を出しながら ね。ごめんねシンジ、騙しちゃって。でも、誤解しないでね。シンジが18歳になった時 までにアタシがシンジのことを本当に好きになってたら、今の約束は実現するんだから。 えっ、そんなの当たり前だろうって。た、確かにそうね。 でも考えてもみてよ。男は相手が美人なら、会ったその日にでも何してもOKだろうけど、 女の子はそうじゃないのよ。やっぱり、相手のことを好きにならないと嫌なのよ。だから、 アタシとしては、そのための時間を稼ぎたいのよ。決してシンジを裏切ると決めた訳じゃ ないのよ。 そんなアタシの思惑を知らないシンジは、アタシのことを強く抱きしめていたわ。 ***  こうして、シンジと婚約したアタシは、あらゆる困難に打ち勝って、末永く幸せに暮ら すのよ。 おしまい…。 …という訳で、第1部「出会い…そして婚約へ」終了よ。 えっ、これでおしまいかと思った? まだまだ続くわよっ! つづく(第22話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  とうとうアスカとシンジが婚約します。でも、会ってから3日目で、48時間も経って いないんですよね。超スピード婚約ですね。 2002.5.21  written by red-x