新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ


第11話

アタシ達は、おやすみのあいさつをすると、横になって電気を消したの。でもって、アタ シはシンジの方に手を伸ばしたわ。そうして、シンジの右手を握ったの。シンジったら、 アタシの手を握り返してくれたわ。 アタシは、何故か今日は、気分良く眠れそうな気がしたわ。 ***  その夜、アタシはシンジから何かアプローチがあるかもしれないって思っていたから、 最初は狸寝入りしていたの。でも、シンジったら、疲れていたから、直ぐに眠っちゃった みたい。シンジをからかおうと思って、色々考えたのが、全部無駄になっちゃったわ。 でも、アタシは予知夢を少し思い出したの。だから、一旦トイレに行って、戻ってきたら シンジにくっつかんばかりの距離まで詰め寄って寝たの。そうしたら案の定、しばらくし たら、シンジがそっとキスしてきたわ。 アタシは、どうしようか迷ったけど、そのまま眠ったフリをしていたの。でも、シンジは それ以上のことはしなかったわ。ちょっとがっかりね。いいところで起きたフリをして、 からかおうと思っていたのに。 「アスカ、大好きだよ。君は、やっぱり僕の運命の人なんだね。」 なんて、訳の分からないことを呟いたかと思うと、アタシの手を握って今度こそ眠っちゃ ったのよ。でも、いいわ。アタシは、どうやら、シンジのハートをがっちりと掴んだよう ね。 そう思ったら、アタシは急に眠くなったの。そして、アタシの意識は、急速に薄れていっ たわ。 *** その夜、アタシは、ママに抱きしめられる夢を見たわ。ママは、アタシの方を向いて、に っこりとしていたの。そして、アタシにこう言うの。 「アスカちゃん、いい子ね。良く頑張っているわね。偉いわね。」 「ママ!」 アタシは、嬉しくなって、夢中でママにしがみついたの。そうして、何度も何度もママに 抱きしめてもらったわ。嬉しくなったアタシは、お返しに、何度も何度もママを抱きしめ たの。アタシは、久々に良い夢を見たわ。 *** 朝起きると、驚いたことに、アタシはシンジにがっちりと抱きついたまま、眠っていたの。 それも、シンジの頭を抱えていて、自分の胸に埋めていたの。 「シンジ君、起きてる?」 アタシは小声で聞いたら、シンジから返事があったわ。 「うん、起きてるよ。」 「シンジ君ったら、エッチね。」 アタシがそう言ったら、シンジは反論したわ。 「だって、起きたらこの格好だったんだよ。」 「でも、気持ちいいから、動けなかったんでしょ。」 「違うよ。アスカさんを起こしたらまずいと思ったんだよ。」 「まあ、そう言うことにしてあげるわ。」 アタシはそう言うと、抱えていたシンジの頭を解放したわ。 「もう、シンジ君ったら、エッチなんだから。そんなにアタシの胸は気持ち良かったの?」 「そ、そんなこと…無いとは言えないかな。何て言うか、柔らかくて、良い匂いがして、 気持ち良かったから…。」 あら、シンジったら、言うようになったわね。アタシは驚いたわ。あ、でも、一応嫌そう なフリをしないといけないわね。 「もう、シンジ君のエッチ。今日の夜は、そんなことはしないでね。」 「えっ。今日の夜って言うと、またアスカさんと一緒に寝るの?」 「あっそ、嫌なら良いけど。」 「ううん、ちっとも嫌じゃないよ。」 シンジは、思いっきり首を振ったの。シンジったら、自分に正直になったわね。いい傾向 だわ。 「じゃあ、決まりね。しばらくの間、一緒に寝ましょう。でも、あんまりエッチなことは しないでね、シンジ君。」 アタシはそう言って、にっこり笑ったわ。 *** 「う〜ん、やっぱりすき焼きの翌日は、これよねえ。」 ミサトは、すき焼きうどんを食べながら、こう言ったわ。今日の朝は、昨日のすき焼きの 残りにうどんを入れて煮込んで作ったすき焼きうどんよ。残りと言っても、肉が無くなっ ていたから、結構追加したけどね。 これって、昨日のうちからうどんを入れておいたから、うどんにすき焼きの味が良く染み ていて、おいしいのよ。ミサトの大好物だし、アタシも結構気に入っているの。シンジも 気に入ったみたいね。 こうして、アタシ達は、うどんをお腹一杯食べて、良い気分になったわ。 朝御飯が済んだら、今日はネルフで検査が待っているわ。本当は行きたくないけど、昨日 リツコと約束しちゃったから、しょうがないわね。シンジがちょっと不安そうな顔をして いるけど。 そうだ、アタシの超能力で、シンジに元気を出させよう。アタシは、『バイブレーション ハンズ』を使うことにしたわ。 それは、両手を振動させて、特殊な電波を発生させるの。そうして、相手の体にくっつけ ると、相手の神経に特殊な効果を及ぼして、顔に笑みが浮かぶという訳なのよ。 アタシは、シンジにこの超能力を迷わず使ったわ。 「あっはっはっはっはっはっは。」 シンジは、さっきまでの暗い雰囲気からは想像出来ないほど、大きく笑ったの。流石はア タシの超能力ね。 えっ、だあれ。脇の下をくすぐっているだけなんて、野暮なことを言う人は。傍目には、 そう見えるかもしれないけど、これは立派な超能力なのよっ!このアタシが言うんだから、 間違いないわっ! *** 結局、シンジはアタシが説得して、ネルフへ一緒に行くことになったの。リツコの検査を 1日中受けるっていう、ちょっと嫌な理由だけどね。 でも、ミサトがいくら言ってもウンと言わなかったシンジだったけど、アタシが頼んだら 割合簡単にOKしてくれたの。これって、とっても嬉しいじゃない。 てな訳で、アタシ達は、ネルフへと向かったの。 つづく(第12話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  少しずつシンジの心がほぐれていきます。最初から優しいアスカかレイ、それともマナ がいれば、本編でも、シンジはもっと変わっていたかもしれません。 2002.3.12  written by red-x



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