新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ

 私の名前は森川雪。妹,弟と3人でマンション暮らしだ。私は憧れの惣流さんと友人に なり,惣流さんの家を訪れた。そして,君も交えて夕食を食べることになった。

外伝その9 惣流さんの家(後編)

 私が,『惣流さんのお話が,何でもいいから聞きたいな。』と言ったら,惣流さんは, 使徒と呼ばれる敵のことを色々と話してくれた。 「使徒がいきなり現れて,ドッカーンっていう音がして,軍艦が沈んじゃったのよ。」 「アタシは急いで着替えようとしたら,シンジが覗いててさあ。」 「アタシはエヴァで軍艦の上を飛び移ったのよねえ。ピョーンとね。」 「海の中で,使徒がこ〜んな大きな口を開けて,アタシの乗ったエヴァを飲み込んじゃっ たのよ。」 そんな調子で,時には身振り手振りを加えて,面白おかしく使徒との戦いの様子を話して くれた。そして,碇君と最初に出会った時のことも。 「シンジったら,アタシのスカートがめくれたのを,顔を赤くして見てたのよ。」 「だから,軽〜くほっぺたを撫でてあげたわ。」 そうしたら碇君は, 「思いっきり引っぱたいたくせに。」 と小さな声で呟いた。だが,それを聞き逃す惣流さんではなかった。 「あっそう。じゃあ,望み通り,思いっきり引っぱたいてあげようかしら。」 「あっ,ごめんアスカ。僕が悪かった,許してよ。」 碇君はそう言いながら,思いっきり身を引いた。 「あっ,なによ〜っ。それじゃあ,アタシが恐い女に思われちゃうでしょ。」 惣流さんは頬を膨らました。 私は,この二人は良いコンビだと羨ましくなった。 ***  食事の後は,碇君が食器洗いをして,私は惣流さんとお風呂に入ることになった。碇君 は惣流さんをお風呂場まで運ぶのを手伝うと言ってくれたが,私は丁重に断った。女の子 の肌を見るなんて許せないからだ。 そりゃあ,碇君と惣流さんは恋人かもしれないが,肌を見せるなんて中学生にはまだ早い。 そんなのは高校生になってからで十分だと私は思っていた。だから,私は一人で惣流さん を運ぶことにこだわったのだ。 だが,意外なことに,碇君は私が断ると嬉しそうな顔をした。対照的に,惣流さんは少し がっかりしたような表情を浮かべたのだ。も,もしかして,もしかしたら,惣流さんは, 碇君と一緒にお風呂に入りたかったのだろうか。そして,私はお節介だったのだろうか。 私はその考えを振り払った。いくら何でも惣流さんがそんなことを思うわけがない。私の 考え過ぎなのだ。迷いを振り払うかのように,私は惣流さんを勢い良く持ち上げた。 「あっ。」 私は驚いた。惣流さんは思った以上に軽いのだ。これでは40kgを切っているのではない か。きっと入院中に体重が落ちてしまったのだろう。 「ん,どうしたのよ。」 私の声に惣流さんが反応した。私はとっさに嘘をつこうとしたが,思いなおした。嘘をつ くのは悪いことだと思ったからだ。だから正直に言った。 「惣流さんが思ったよりも軽かったので,驚いたんです。」 それを聞いた惣流さんはちょっと困ったような,それでいて嬉しそうな笑顔を浮かべた。 「そんなことを言っても,何も出ないからね。」 惣流さんはほめ言葉と受け取ったようだ。それならそれでいい。私は軽々ととまではいか ないまでも,割合楽に惣流さんをお風呂場へと連れて行った。 *** 風呂場に惣流さんを運ぶと,最初に頭を洗った後に背中を洗った。惣流さんの背中は思っ たよりも小さかったが,肌は白く滑らかでとても綺麗だった。私はため息をつきそうにな った。 胸は手で直にもみ洗いした。私のよりも大きくて柔らかくてとても揉みごこちが良かった。 あと何年かしたら,ここは碇君のものになってしまうのかと思うと,少し残念な気持ちに なった。ちょっと長めに洗ったためか,惣流さんはくすぐったそうな感じだった。 「大きくていいですねえ。」 と思わず呟いたが,惣流さんが言うには,戦うには邪魔なだけだと言う。本音ではAカッ プ位が良かったと言うことだった。ああ,私も一度でいいからそう言ってみたい。胸の小 さな私には叶わぬ夢だが。 体を洗い終わったら,惣流さんを持ち上げて湯船に浸けた。そして私も続けて入った。ち ょうど惣流さんの後ろに私が座るような格好だ。 「ねえ,お願い。腕をマッサージして欲しいの。」 惣流さんの頼みに私は快く応じた。惣流さんの腕は私と違って筋肉質で固かった。これが 戦士の腕かと感心した。やはり私達一般人とは違うのだ。 でも,湯船に浸かりながら,主にファッションの話をした限りでは,私と同じ14歳の女 の子だった。だが,驚いたことに惣流さんは,ドイツにいた頃はファッションに関しては 余り知識が無かったそうだ。そんな余裕は無かったと言っていた。日本に来て初めてそう いうことに時間を割けるようになったのだと言う。 ***  楽しい時間は早く過ぎるようで,もう9時を少し回っていた。私は惣流さんにお別れの あいさつをして帰ろうとしたが,ちょっと呼び止められた。 「ねえ,ユキ。買ってきて欲しい物があるんだけど,いいかな。」 「ええ,いいですよ。」 「買って欲しいのは,ミニスカートとそれとセットになっているブラなの。色は赤,青, 緑,黄,白,黒,オレンジ,ピンク,紫に豹皮がいいわ。たしか駅前の『ヴァンサンク』 っていうお店で売っていたと思うの。お願いしていいかしら。」 そう言いながら,惣流さんはお金を渡してきた。 「ええ,分かりました。明日の夕方でいいですか。」 「うん,お願いね。今日は本当に助かったわ。ありがとう。」 「いえ,どういたしまして。お休みなさい。」 こうして,私は惣流さんに買い物を頼まれた。私は惣流さんがこれから着る服を選べると いう栄誉に預かったので,とても良い気分になった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2002.6.7  written by red-x