新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第94.5話 ゼウスの少年少女達

「ランブロ様。失礼します。」 ゼウスの幹部ランブロの元に、部下のアリが4人の少年少女を引き連れてやってきた。 「おお、アリか。長い間、ご苦労だったな。それに、君達も。今まで厳しい訓練によくぞ 耐え抜いてくれたな。」 ランブロは、アリと一緒に来た少年少女達を優しい目で見つめた。 「はっ、ランブロ様。ありがたきお言葉。さあ、ランブロ様に挨拶するんだ。」 アリに促され、一人の厳めしい顔つきの金髪碧眼の少女が前に進み出て敬礼した。 「隊長のニコリーナです。準備は万端です。なんなりとご命令下さい。」 次にラテン系の黒髪黒眼の少年が前に進み出て敬礼した。 「副隊長のケヴィンです。惣流アスカ襲撃に失敗した汚名返上は、必ずや。」 そう、ケヴィンは今年の5月、アスカ襲撃に失敗した少年の一人だったのだ。その後ドイ ツ第2支部に強制送還されたのだが、2カ月前に表向きは事故で入院したことにして、ゼ ウスに復帰していた。 「その件は気にするな。もう少し様子を見るべきだったな。私も少しあせりすぎたようだ。 君に責任はない。」 「はっ。ありがたきお言葉。」 ケヴィンは深々と頭を下げた。 次にアラブ系の黒髪黒眼の美少女が前に進み出て敬礼した。 「イリスです。つい先日ネルフから戻ったばかりですが、準備は万端です。なんなりとご 命令下さい。」 イリスは、ネルフエジプト支部に潜入していた。同じ支部のサーシャやザナドとも仲がよ かったため、この二人から様々な情報を得てゼウスに報告していたのだ。 イリスの報告でアスカのガードがかなり固いことや、シンジがいつもアスカにストーカー のようにへばりついていること、シンジがアスカにべた惚れしていることなどが判明した ため、ゼウスとしてはアスカ襲撃を強行しないことになっていた。 また、パイロット全員の特徴なども報告していた。ゼウスはアスカの睨んだ通り、碧眼の パイロット全員の殺害を企図していたので、イリスのもたらした情報は貴重だった。 だが、もちろんイリスには血なまぐさい話は伝わっていない。サウジアラビアでのテロも イラクの仕業だと教え込まれていた。 最後にラテン系の黒髪黒眼の少女が前に進み出て敬礼した。この少女は髪を短くしている。 「ラビナです。私も準備は万端です。なんなりとご命令下さい。」 ランブロは何度か頷いた。 「お前達には期待している。世界平和のため、我等が偉大なる祖先の夢を果たすため、全 力を尽くして欲しい。」 「「「「はっ!」」」」 ニコリーナ達は、揃って敬礼した。 *** ニコリーナ達が退出した後、ランブロはアリに尋ねた。 「どうだ、彼女達は使えるのか?」 「はい、おそらくは。」 「分かった。お前を信じよう。ではこれで、準備は全て整ったと考えて良いのだな。」 「はっ。」 「そうか。もうすぐだな。もうすぐ、我々の時代が来る。」 ランブロは、そう言いながら窓の外の景色を見やった。 (第95話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  なんと、研修生のうちの2人がゼウスのスパイだったのです。実は、研修生達について は入念な調査が行われていたのですが、それを上手くすり抜けていたのです。というのは、 イリスもケヴィンも数世紀前の世代から現在の住まいに住んでいたからです。それ故に、 どんなに念入りに調べても全く不審なところが見つからなかったのです。  ゼウスは、かなり前からある組織だったので、そのような芸当が可能なのです。さすが にアスカでも、スパイの存在には気付いていないようです。 2004.8.8 written by red-x