新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ
第71.5話 対立の火種
一方、他の研修生達の間でも、イラクに対してどうするのかという議論が起きていた。
「フセインなんか、早くやっつければ良いんだ。」
そう主張するのが、アメリカ支部、イギリス支部、オーストラリア支部の研修生達だった。
「駄目だ、今は戦争を起こす時じゃない。」
これはドイツ、フランス、ロシア支部の研修生達の主張だった。
他の支部は、支部の中でも意見がまとまっていなかった。このため、奇しくもイラク問題
の影響で、ドイツ派と反ドイツ派の争いが下火になったが、代わって英米支部と独仏露の
支部の対立が表面化していった。
そして、その対立は次第に大きくなり、特にドイツ支部とアメリカ支部が強く対立するよ
うになっていく。その争いの火種は、研修生だけでなく、大人達にも広がっていく気配を
見せていた。
***
エジプト支部の研修生では、ザナドがイラクへの先制攻撃を主張していたのに対して、
他の2人は反対していた。クウェート人と結婚した叔母を持つザナドにとっては、フセ
インは悪魔の力を借りてでも倒すべきだとの考えだった。
だが、他の二人は考えは違った。フセインがクウェートを侵略したのも、アメリカの罠に
はめられたからであり、セカンドインパクト後は同じアラブ国家は侵略しなかったから、
今後もアラブには攻め込まないと考えていた。
したがって、同じアラブ国家を先制攻撃などとんでもないと主張し、ザナドと激しい言い
争いをしていた。
インドネシア支部の研修生も、仲間内で激しい意見をかわしていた。同じイスラム国家を
侵略したフセインを裏切り者だと思う者、イスラム国家をまとめる力を持つと考える者、
先に手を出すのが悪いと考える者、その3者で意見がバラバラであった。
こうして、研修生間の亀裂が深まっていくのだった。
***
「おい、レッドウルフ。お前はどう思う?イラクを先制攻撃すべきか、それとも敵が攻撃
してくるのを待つべきか。」
ジャッジマンはニヤニヤしながら聞いた。イラク問題は、ジャッジマンも気になるらしい。
「ふん、くだらない。どっちだっていいさ。行って戦って来いと言われれば、戦うまでだ。
それだけのことだろう。」
レッドウルフは、けだるそうに答えた。
「まあ、そうだな。じゃあ、言い方を変えよう。研修生達の意見が二つに割れていること
は知っているな?果たして、どちらの主張がより正しいと思う?」
「ますますもって、くだらないね。ドイツはイラクに化学兵器の技術支援をしたし、フラ
ンスとロシアは大量に武器を売りつけた。だから戦争に反対なのさ。アメリカは、金儲け
し損ねたから、ここぞとばかりに利権を確保しようとしている。どっちもどっちさ、間違
っているよ。」
「はん、可愛げがねえ答えだな。」
「ふん、どうでもいいさ、そんなこと。」
レッドウルフは、最後にポツリと言った。
「だが、先に攻めるのは、ネルフにとっては不利だな。」
その考えは、奇しくもアスカの考えと一致していた。
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○ 今までの対立の構図
ド イ ツ派:ドイツ2支部、エジプト支部、インドネシア支部、中国支部
反ドイツ派:イギリス支部、フランス支部、ロシア支部、アメリカ2支部、インド支部
中 立 派:ブラジル支部、オーストラリア支部
○ イラク問題での対立の構図
先制攻撃派:イギリス支部、アメリカ2支部、オーストラリア支部、ブラジル支部
反 対 派:ドイツ2支部、フランス支部、ロシア支部、インド支部
中 立 派:エジプト支部、インドネシア支部、中国支部
2003.4.23 written by red-x