新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ
第69.5話 悪夢再び
「ぎゃあっ〜っ!」
真夜中に、かすかに少女の叫び声が聞こえてきた。
(これは、やっぱりアスカの声だ。)
シンジは、他の3人を起こさないように気をつけて起きると、アスカの元へと向かった。
***
「マリアさん、アスカはどうなの?」
アスカの寝ている部屋に入ると、マリアが真っ青な顔をしていた。
「そ、それが、アスカはさっきから物凄い叫び声を上げているの。私ではどうしようもな
いのよ。」
「分かったよ。後は任せてよ。」
シンジは、アスカの側に寄ると、アスカの手を優しく握りしめた。
「アスカ、僕が付いているよ。安心していいんだよ。」
シンジが何度か繰り返して言うと、アスカの叫び声が聞こえなくなった。そして、安らか
な寝息に変わる。
「ふうん、愛の力っていう奴かしら。私がどんなことをしても駄目だったのに、碇君なら
一発で直る訳ね。」
「そ、そんなんじゃないよ。」
シンジの顔が少し赤くなる。
「まあ、いいわ。私は赤木先生のところで寝るわ。だから、後はよろしくね。」
「うん、分かったよ。」
マリアは去ろうとしたが、一旦足を止めてシンジに向き直った。
「碇君、アスカをよろしくね。私の大切な仲間だから。本当にお願いね。」
「うん、任せてよ。アスカは、僕が守るよ。」
「頼りにしてるわよ。それじゃあ、お休みなさい。」
「うん、お休み。」
そう言うと、今度こそマリアは去って行った。マリアが去ったのを見ると、シンジは思わ
ず呟いた。
「アスカ、やっぱりまだ駄目なのか。」
実は、今回のキャンプの隠れた目的の一つに、アスカが一人で眠ることが出来るかどうか
試すというのがあったのだ。さすがにもうすぐ高校生になろうかという男女が一緒に寝る
のは良くないため、今回のキャンプを機会にアスカがシンジと離れて眠れるのか試すこと
になったのだ。
だが、結果は見てのとおり大失敗だった。これで、当分アスカは一人で眠ろうとはしなく
なるだろう。
「でも、その方が僕は嬉しいけどね。」
シンジは、アスカに優しくキスをすると、アスカを後ろから抱きしめる形で眠ることにし
た。
「あ〜あ、明日は早く起きないといけないんだよね。それだけは参ったよな。」
グチをこぼすが、顔はにやけているシンジであった。
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あとがき
アスカが悪夢から解放されるのはいつの日か。でも、シンジはアスカと一緒に眠れるので
嬉しそうです。
ログハウスA
1号室 ケンスケ、カヲル、トウジ
2号室 リツコ、マリア
3号室 マコト
ログハウスB
1号室 アキコ、マモル、ハルナ、ノゾミ
2号室 ユキ、ヒカリ
3号室 シンジ、アスカ
2003.3.2 written by red-x