新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第63.5話 やけ酒

「あっ!あれは、先輩と日向さんっ!なっ、何で二人で歩いているのっ!」 マヤの顔は、蒼白になった。憧れのリツコが、よりによって同僚のマコトと、二人で仲良 さそうに歩いているのを見付けたからだ。 時は少し遡って、金曜日の夜のことであった。 「青葉さんっ!日向さんから聞いていなかったんですかっ!」 「あ、ああ。あいつは、そういう話は嫌がるからなあ。」 何故かマヤと一緒に歩いているシゲルであったが、マヤの剣幕にタジタジである。 「もお〜っ、悔しい〜っ!青葉さん、今日はトコトン飲みましょうねっ!いいですねっ!」 「あっ、ああ。」 こうして、二人は居酒屋をはしごすることになった。 *** 「うううっ、先輩ったら、最近私に冷たいなあって思っていたんですけど、男が出来たな んて。それも、葛城さんに振られたばかりの、日向さんなんて。」 マヤは、完全に酔っぱらっていた。 「おいおい、マヤちゃん。もう、帰ろうよ。ここからだと、電車で帰らなきゃならないの に、もうこんな時間だよ。早くくしないと、電車が無くなっちゃうよ。」 「いいんですっ!青葉さん、今日は朝まで付き合ってもらいますよっ!」 「そりゃあ、まずいよ。」 「いいんですっ!それとも、青葉さんて薄情な人だったんですかっ!」 「いや、違うけどさ。」 「じゃあ、飲んでくださいっ!」 完全に目がすわっており、少し眉がつり上がっているマヤであった。 「わ、分かったよ。」 シゲルは観念したのか、首を縦に振った。 「わ〜い、青葉さんて優しいんですね。」 マヤは、今度は涙を流して喜んでいる。泣き上戸のようだ。 「ああ、マヤちゃんだけには優しいんだよ。」 「嬉しい!」 マヤは、シゲルに抱きついてキスをした。 この後、何があったのか知る由も無いが、シゲルもマヤも帰宅したのは翌日の夕方であり、 この日を境に二人の仲はかなり親密になっていった。 リツコとマコトのデートコースを設定したのがアスカであり、シゲルはアスカからの情報 で、うまくマヤに二人がデートしているところを見せることができたことなど、マヤが知 りようがなかった。 その日の夜に、シゲルが弾んだ声でアスカにお礼の電話をしたことも、アスカとシゲルの 二人だけの秘密であった……はずなのだが、アスカはシンジには話してしまっていた。 だが、お子さまのシンジは、何が起こったのか全く分からなかったようだ。 『マヤさんのことだから、仕事の話を夜明けまでしていたんだよ。』 などと言っていたらしい。 (第64話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シゲルとマヤの仲が、急速に接近していきます。アスカは、マヤとシゲル、リツコとマ コト、ユキとケンスケの3組のカップルをつくるのに尽力しています。リツコとマコトは、 あともう少しといったところでしょうか。 2002.12.1 written by red-x



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