新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第59.5話 奇跡の女神

「はっ!」 それまで眠っていたレイは,急に目を覚ました。 「そんなことをしたら,ダメ。碇君が悲しむ。」 レイは唐突に呟いた。 「どうしたんだ,レイ。君には休息が必要だ。もう少し休んでいるんだ。」 近くで声がした。だが,レイは首を振った。 「駄目だよ,レイ。今,力を使ったら,君は死ぬかもしれない。運が良くても,長い間, 眠り続ける破目になるだろう。」 だが,再度レイは首を振った。レイの本質は,誰にでも慈愛を捧げる女神である。自分の 身可愛さに,大切な人を見捨てることは出来ないのだ。アスカもシンジも,レイにとって はかけがえのない大切な仲間であったから,尚更だ。 「ダメ。今を逃したら,碇君が死んじゃう。」 だが,シンジに対する気持ちの方がやや強かったようだ。レイの側にいた少年は,軽く首 を振ったが,諦めたようだ。 「分かったよ。それなら,僕も力を貸すよ。それで良いね。」 無論,レイは頷いた。そして,手を合わせ,精神を集中させた。側にいた少年も,同様に 精神を集中させた。2人の気は徐々に大きくなり,ついには膨大なエネルギーの塊となっ た。 「碇君,私の力を受け取って!」 レイが声を発したその瞬間,火星の大地の割れ目から,まばゆいばかりの光が地球に向け て放たれた。 「碇君,どうか,生き延びて…。」 レイはそこまで呟くと,意識を失った。 (第60話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  やっぱり,レイ抜きのエヴァンゲリオンは味気ないですね。でも,アスカと張り合うよ うな世俗的なレイではなく,もっと上の,女神的な存在にすることにしました。でも,当 分出て来ないかも,と言うより,これが最後の登場になるかもしれません。 2002.10.18 written by red-x



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