新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第27.5話 戦いの序曲



 高校生達が,病院に運び込まれようとしていた時,公園から離れた所に,ジャッジマン とレッドウルフが並んで座っていた。 「あれが,惣流・アスカ・ラングレーか。あんな強い女に警護なんか必要なのか?凄まじ い強さじゃないか。」 ジャッジマンは,そう言うと,肩をすくめた。 「ああ,そうかもしれないが,彼女も人間だよ。油断を突かれることがあるかもしれない じゃないか。」 そう答えるレッドウルフは,見たところ,15,6歳位の少年に見える。 「彼女と戦うには,軍隊が必要なんじゃないか?」 「そうかもしれないね。」 「一体,彼女は何者なんだ。何か,耳に入っていないか?」 「彼女は,ある筋の話では,ドイツの赤い死神らしい。」 「おい,嘘だろう。彼女が,あの,レ…,いや,正式なコードネームは,『ラブリーエン ジェル』だったか。そんなバカなことがあるか。」 「あのカイザーナックルを見たかい。『ラブリーエンジェル』は,カイザーナックルを愛 用していると聞く。それに,病み上がりなのに,あの身のこなし。かなり可能性は高いと 思うけど。」 「だが,いくら何でも,信じられない。あんな少女が,あの,『ラブリーエンジェル』だ なんて。お前の思い違いだろうよ。何たって,『ラブリーエンジェル』は,南米で,カム ラン大尉の1個中隊を全滅させたほどの猛者達だろう。あんな娘が,ワイルドウルフの精 鋭部隊には,いくら何でも見えないぜ。」 「確かにそうかもしれない。だが,『ラブリーエンジェル』は,銃を使わないと聞いてい る。それは,あの娘がエヴァのパイロットだから,銃の扱い方を知らなかったということ で,説明出来るんだよ。」 「俺は,そんなことは信じないぜ。もし,それが本当だったら,お前よりも強いってこと になるんじゃないか。」 「ああ,そうだ。悔しいけど,僕があの娘に勝てるのは,変装の腕位なものさ。今なら, 病み上がりだから,勝てるかもしれないけど,彼女が本調子になったら,まともに戦った ら,勝ち目は無いね。」 「おい,冗談も休み休みに言えよ。」 「ジャッジマン。あんたは,彼女の婚約披露パーティーで,僕の殺気を感じたって言って いたよね。」 「ああ,そうだ。」 「僕は,あのパーティーには行っていない。あんたが感じた殺気は,間違いなく彼女が発 したものさ。何たって,あんたは彼女のお気に入りの加持を,一度は殺そうとしたんだか らな。」 「まあいいさ,どっちでも。俺は,報酬分に見合った分を働くだけさ。どっちにせよ,俺 は彼女を守るだけだ。」 ジャッジマンはそう言って,その場を去った。 「ジャッジマン,あんたは,惣流アスカのことを分かっちゃいない。あの娘は,あんたの 想像を遥かに超えた戦士なんだぜ。」 レッドウルフは,そう呟くと,遥か遠くをみつめていた。 ***  それから数日後,市内のとあるホテルの広いホールに,レッドアタッカーズのメンバー が続々と集まってきた。それ以外の組織のメンバーも集まり,総勢2千人を超えていた。 集めたのは,ネルフである。今後予想されるゼーレの攻撃に備えて,傭兵をかき集め,守 りを固めるためだ。全員が集まったのを確認すると,加持が正面に置かれた台の上に立ち 上がった。 「みんな,聞いて欲しい。俺は,ネルフ諜報部の部長代行の加持リョウジだ。これから, 我々は,ゼーレと戦うことになる。ここにいる者達は,俺の命令に従って戦うことになる。 命令違反をする者がいると,作戦行動に支障が出る。だから,俺の命令に絶対服従を誓っ てもらう。」 加持が一気に言うと,ホール内の傭兵達は,口々に不満を言い出した。そして,そのうち の一人が,皆の声を代弁すべく,加持の前まで進んで行った。 「おう,加持さんよお。あんたの言うことも分かるが,俺は,俺のやり方でやらせてもら うぜ。あんたの命令に絶対服従っていうことは,あんたに俺の命を預けることになるんだ よ。とてもじゃないが,実力も分からないあんたの言うことなんて,聞けないぜ。」 男はそう言って加持を睨んだ。加持もその男を物凄い目付きで睨み,一触即発の状況にな った。だが…。 「待ってください。」 そこに,アスカが現れた。 「あん,お嬢ちゃんは誰だい?」 男は,笑いながらアスカを見た。こんなところに,子供が何をとういう顔をしていた。 「私は,エヴァンゲリオンのパイロット,碇シンジのフィアンセです。私達は,ゼーレの せいで,一回は命を失いました。もし,もう一度同じことが起きた場合,もう二度と奇跡 は起こらないでしょう。それでは,シンジが命をかけて守ったことが,無駄になってしま います。だから,そうならないように,加持さんに命を預けてください。お願いします。」 アスカは,そう言って頭を下げた。男は,何かを言おうとしたが,それは初老の男によっ て遮られた。 「サードチルドレンは,命をかけて,人間の世界を守ったといわれている。そのサードチ ルドレンのフィアンセ殿がそこまで言うほどの男だ。我々『ヴァンテアン』は,命を預け よう。」 そう言うと,初老の男は,加持に向かって,片膝をつき,頭を下げた。他のヴァンテアン の傭兵達も,次々にそれに倣った。 「我々,『ワイルドウルフ』も,加持に命を預けよう。」 その声と同時に,ドイツの傭兵達も,加持に向かって,片膝をつき,頭を下げた。 「我々も,加持に命を預ける。」 ジャッジマンも加持に向かって,片膝をつき,頭を下げた。ジャッジマンの部下達もこれ に倣った。 「僕は,レッドアタッカーズのレッドウルフだ。僕も,加持に命を預けよう。」 その声と同時に,レッドアタッカーズの傭兵達も,加持に向かって,片膝をつき,頭を下 げた。 ジャッジマンとレッドウルフは,この場の誰もが認めるほどの凄腕だった。その二人が揃 って加持に命を預けると言ったため,最初に加持に食ってかかった男は,蒼白な顔になっ ていった。 「俺も命を預ける。」 「俺もだ。」 雪崩を打ったように,ホール内の傭兵達は,加持に向かって忠誠を誓っていった。そうし て,最後には,加持に食ってかかった男も含めて,全員が加持に跪いた。 「皆さん,ありがとうございます!」 アスカは,深々と頭を下げた。 こうして,ゼーレを迎え撃つ準備は,着々と進んでいった。 (第28話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2002.3.8   written by red-x



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